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裸天使にバスタオル、僕には生きる意味を下さい。  作者: にゃんと鳴く狐っ娘
Loop.2#【jihad 明日を探して】
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アウト・オブ・フルスコア

「もっと、遊んでくれないのにゃ?」


 仮セツアバターエヴァンの少女、八代は足元の久遠を見下ろしてそう言った。ずぶ濡れの久遠、そして膝を支えにどうにか立とうとする葉月へと視線を送る。そして、その後だ。八代はついに、僕を見詰めて口を開いた。


「ねえね、君は……遊んでくれにゃいのにゃ?」


(う……、ついに見られたか)


 八代が此方を見詰める。濡れそぼった前髪の奥、黒の濃い瞳。此方を見詰める視線には、何より濃密な闇がねっとり渦巻いているかの様にさえ思える。


 黄昏色、空の色はより深い青へと沈みつつある。しかし、膨大な時間なんて関係なく、八代は久遠と葉月の2人を圧倒していた。身体加速に思考加速、もしかしたら限界すら超えているのかも知れない超高速の攻撃、疾風怒濤の乱舞を前に成す術などなかったのだ。


 そう、牽制として優秀だった炎も雨の中では意味がない。それでも降り続く雨、それに対して僕達は意気消沈しつつあるようだった。葉月くらいだ、今や久遠でさえも倒れている中、彼女だけが必死に立ち上がろうとしていた。


「……許しませんよ、一喜憂さんに手を、出したら!」


「えー」


 黒剣、変幻自在の武器である《エヴィエニス》を杖にして、葉月はよたよたと立ち上がり言った。すると、その時にはもう、葉月の目の前へと八代は瞬間移動していたのだ。


「お前、飽きたにゃ」


 そう言われ、後者の玄関へと葉月は蹴飛ばされてしまった。


 ガラスの割れる音、崩れる音が大きく響いた。葉月は弾丸の様に校舎玄関へと消えていく。それを眺め、八代は不敵な笑みを浮かべてから此方を向いた。――殺される、のか?――と、そう思った時だった。


「ねえねえ、そんにゃらさ? 取引しようか?」


「へ……?」


 突然の提案、それもまさかの相手からの持ちかけに、僕の空いた口は塞がらなかった。


 しかし、次の瞬間に僕は駆け出す羽目になる。八代は、倒れる久遠の頭上に右足を掲げて、


「じゅー、きゅー、はーち……」


 それを、高く掲げたその脚を振り下ろして……


「止めろォオオオ――――っ!!」


 ピタリと、止めて笑った。あどけない、子供の様な笑みを浮かべて。


「にゃふふっ♪ そうじゃにゃきゃ、つまらにゃいよねっ!!」


 僕へと飛び込んできた八代、韋駄天ともいうべき神速、その右足が蹴り上げる軌道は僕の腹へと集約する。目にも止まらぬ一撃、それをどうにか左腕で受けるが、砕ける様な鈍い音が全身へと響いた。


 瞳を見開き、してやったりと八代はニヤける、それに全身から血の気が引いた、いや――僕は出血していた――抉れた腕から止まらない血に僕の視界はかすれ始める。むしろ、次に続いた痛みに僕の視界は完全にブラックアウトしかけていた。


 明滅する視界、ドクドクと血脈のうねりが大きく聞こえて来る。耳がツーンとする、頭がジンジンと熱を持ってズキズキと痛んだ。頭蓋が割れそうな感覚、紅く霞んだ視界の中、僕が立っているのかさえ定かではなかった。


「う……」


 震える脚が、その膝ごとガクリと傾く。同時に、一時僕の思考は途切れた。


◆◇◆◇◆


 ガシャーンと、大きな破砕音が耳に飛び込む。その時、私の前へと躍り出た彼は――左手で私の手を引きつつ――右手1つと胸板だけを用いて飛び込んできた影を受け止めた。


「な、何……!?」


 すっかりと、縮み上がってしまった私は友人Aへと訊ねる。すると、彼はその影の少女をそっと、下駄箱によりかけさせる様に座らせつつ答えた。


「……あれだよ、一喜憂ところの堕天使さんだ。無茶しやがって……!」


「ひうっ! こ……これは酷い。止血、早めに止血しないとまずいぞ……!?」


 傷だらけの天使、未来人を自称していた一喜憂の所の葉月の姿がそこにはあった。泥まみれになり、そこかしこに血の赤や青アザが顔を覗かせる白い肌。意識が無いらしいその横顔、幸いガラス片による傷は無いようだが、打撲の痕が特に痛々しく思えた。


「俺が残ります、保健室で逢いましょう」


 友人Aは、そう即断した。


「なんで? ……こほん、一体、どうしてだ?」


 そんな彼へと、私は一応訊ねてしまう。以前の様な英断、素早く彼を理解する神経は何処かが途切れたのかいまひとつ作用していないのでは無いのだろうか? それ程まで、私は友人Aの意思を汲めなく、これまでの彼を信じられなくなってしまっていた。


「この先には敵が居ます、しかし……俺が行くより、姉さんと一喜憂が組む方が確実でしょう。俺なら殺しちゃいますから、だから……葉月は俺に運ばせてください!」


 その言葉、さり気に聞こえた物騒な言葉。それに私は驚きつつも、彼に有ったのであろう壮絶な過去を垣間見た気がして納得をした。頷き、玄関前の夕立と向き合いながらも友人Aへと言った。


「よし行けすぐ行け、十秒以内に手当を終えろ! 無理は承知で無理をしろ!!」


「はい、姉さん!!」


 葉月を担いだ友人A、彼は校舎の闇へと消えていく。薄暗く、徐々に色濃さを増してく夕闇の黒に。そして、私はふっとほくそ笑んで呟く。どうやら、ちょっとは昔に戻れたらしいと感慨を感じつつも、私は外へと歩みを進めて駆け出し言った。


「今行くぞ、少年Aっ!! 因果もフラグも……全部纏めてへし折ってやる!!」

 こんばんは、友人Sにあとがきの方が面白いと言われました作者です。まあ友人Sには飽きられましたよ、ええ。


 見逃したらついてこれない、そこまでの更新ペースだったのに不思議ですね。いまや点で更新ないのですよこの作品、2日に1回あれば良い方とか、まさしく由々しき自体じゃないですか。レッドアラートですよニッポンポーン!


 ……と、まあお約束は置いときましょう。正月が終わりましたね、ええ現実見てください、日付はエイトを刻んでいますから。インフィニティでも相似でもないです、エイトなのです。


『冬休み、なにそれ美味しいのォ!? 馬鹿なの、●ぬの!?』


 みたいなほぼ無休の部活動生活な冬です。別に全国のいい所まで進めてないと思います、今のところは。取り敢えずそれでも練習はしますよ、勝ちたいですからね。でもね、真冬に袴は寒いのよ?


「左舷弾幕薄いよ、何やってんの!!」


 ってくらいに風が吹き抜けます。スルーしていきますよ下をね、下を。それはもう、


「足なんて飾りですよ」


 って位にNOT温もりなんですよ、ええもう氷河期なんですよ足元が、オールウェイズツンドラですよええ。その癖、夏は熱こもるんですよ和服って。


 皆さん、ちなみに浴衣は袖の中へと扇子を扇ぐのが良いそうですよ。これ本当だそうです、顔より袖を仰いだほうが脇とか冷えやすいそうですよ。ヒエラルキー、特に意味はない。


 さて、みなさま。暴走気味に駆け抜けた今宵(今朝)もここで終わりです。また次回、明日(今日or明後日ファラウェイ)に逢いましょう……ね?


 おやすみなさい、いい夢を。或いは心地よい正月のオシマイを。


P.S.先生……バスケが、したいです。(野原)ひろしです、レイアップができねぇんだよこん畜生!! ヒロシです、ヒロシです……。

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