黒鎖断裂ふぉっくすてーる。弐
僕の視界に焔が爆ぜた、途端にか直前にかひしゃげたワイヤーが地面に墜ちた。見えたのは黒い閃光、そこに聞こえたのは絶叫と続く爆音。それに閉じた目を見開く、未来さんと過去さんとが対峙する合間、友人Aを背後に立ち尽くす乃々葉と僕との目線の先、そこには葉月と久遠とが臨戦態勢で構えていた。
「私達はどうしましょうか、それにこの子……!」
いつのまにか乃々葉の両手に移されていたのは西園寺百合香、確か先ほど葉月が――過去さんの指示で半ば無理矢理――救出した筈だったが、つまりは乃々葉も気付かぬ間に手渡していたという事か、流石というか無理矢理な手法だなと僕は思った。だが、そのお陰で2人、合計にして計3人が救われた。そういう意味では感謝したい。
でもしかし、いつからだろうか? いつから僕は犠牲を人単位で数え始めた? これは正常なのか、どう考えても否定、ノーとしか今は言えない。僕の精神は破綻しつつある、常識も変質していくのが時たま分かる、自分が狂ってしまうのが手に取る様に理解できる。
価値観は変わる、生き残ろうとする程に命を軽視しているという矛盾に僕はまた苛まれる。犠牲はつきものだ、悪魔が頭で囁いた。
「大丈夫だ……きっと、もう……!」
天使は笑う。自嘲か謗りか気休めか、はたまた僕への嘲りなのか天使が笑う。自信なさげな僕の笑み、零れたそれは不安交じりで、どう考えても根拠は無かった。だけど、
「久遠さん、2人を確保しました!!」
「ちょっと……早過ぎないっ!!?」
不安拭い去る葉月の声が響いた、続いて耳に飛び込んだ声に尚更僕は安堵した。さぞかし驚いたのであろう久遠の声、僕から見れば2人とも早過ぎる訳だが、久遠すら遅れをとる素早さとは並大抵のそれでは無い。バトル漫画での脇役視点、世界の中心、自分の軸を奪われた様な感覚にも頷けた。
やはり、遠のいている気がする。理想が、遠く彼方へ。
「遅すぎるより、遥かに良いですよ? 違いますか、違いませんか?」
葉月が見回す様に視線を移して呟く、久遠に向かって首を傾げる。その仕草、それに合わせて黒髪が踊った。闇色の髪、2つの白の髪とが絡み合って宙に舞う。
左右の脇に2人の未来さん、過去と未来を布団干しの様に抱えて更に振り向く。それは久遠と殆ど同時だった、続けざまに久遠が口を開いた。
「違わないかな。そうだよね、一喜憂?」
それに対して、言葉を無くした。
こんばんは、作者です。暫く長編書けません、諸都合とお約束って奴です。尺の都合です、一日24時間じゃ足りませんね世の中。
とりあえず、修学旅行ゆえに多忙を極めますので、暫くは予約投稿を駆使して細々と更新します。内容が可笑しければ、後日に修正するか改めて補足回を設けさせていただきます。
とりあえず、こんかいも閲覧をありがとう御座いました。また次回、明日か明日か明後日かに会いましょう? 明日が2回に意味は無い、きっとそうだと信じたい、きっと……そうだと。
とりあえず、おやすみなさい。良い夢を、良い明日を貴方へと。世界の皆に幸せ羽ばたけ、なんて小さく願います。
P.S.予約投稿分……書けるかな、なんて呟く。




