枝垂れた福音、女神の角笛。α
ガシャリ、砲身自体が役目を終えたかの様に崩壊した。そして、地へと垂れた稲穂の様に枝垂れてばらける。小さく、パラパラと乾いた泥団子の様に霧散していく。
そして、友人Aは軽く自嘲の笑みを浮かべて振り向いた。その足元へと未来さんがしがみつく、抱き締めた瞬間に白髪がふわりと踊った。
その手から、黒い小銃を取り上げて友人Aは笑った。未来ガジェット八号機《誰も知らない物語》、冷たい黒と向かいの白とを交互に見詰めた奴は未来さんへと喋り始めた。
「バラしちゃったな、未来ガジェット零号機……名前は無いけど、ユージーン・アイザック。貴方を助けに来ましたぜ、遠路遥々未来から……な」
呆然と見詰める僕ら、立ち尽くす百合香に押し黙る死体、その場には静かに声だけが響いた。
唯、僕の中では七ヶ崎乃々葉を死んだと断言できずに怯える自分が震えていた。多分、葉月や乃々葉もそうなのだろうか。
響く声に落ちた雨粒。少女が咽ぶ、男が撫でる。未来さんの声、ひっくり返った声が響いた。
「馬鹿……馬鹿、馬鹿っ。遅いよ、遅いんだよ!」
屈んだ友人Aの背中にしがみつく様にしながら、未来さんは涙声でそう言った。まるで別人の様な未来さん。
2人の会話は知り合いのそれとも、友達のそれとも違うし――端から見れば恋人同士にも見えるが――やはりどこか違和感があった。
「あははっ、すみません姉さん。約束……守れませんでしたよ」
頭を掻きながら謝り、視線を空へと打ち上げた友人A。凛々しくなったその顔を見上げ、未来さんは呟いた。
「未来ガジェット零号機、名前はまだない。なんせ、お前、みたいなのを夢想したのは確か、孤独に暮れた幼少期だからな」
未来さんの発明品、未来ガジェット、その番号は壱ではなく零から始まっていた。つまりは欲しい物が有れば作る未来さんからして、一番最初に欲しくなった存在が奴だと言うのか。
友人A、友人、友達が欲しかったんだと。幽閉されてた彼女を思うと、初号機である《鋼索アンカーKASUGAI》はまさしく求めていた物なのだろう。自分を囲う柵を越え、遥か彼方望んだ旅路の第一歩。
なら、孤独に求めた友人Aは何だろうか。自分を助けるスーパーマン、或いは恋人? いいや違う、やっぱりそれは友だろうと僕は思った。
素敵な友人じゃあないか、強くて格好いいお馬鹿さん。世界中探しても、宇宙総てを探しても見付からない1人だけの友人A。そいつも小さく口を開いた。
「未来でも、そう教えてくれましたよ。『お前は私の夢だった。だから行ってやれ私の元に、そして言ってくれ『エルヴィンのレンジ』とな』って、いつもの様にさらりと言っていたさ」
合言葉、それが通じれば仲間と言ったか。つまり、未来人だった友人Aはいつの間にか未来さんと逢っていて、彼女が望んでいた言葉、半ば諦めていたであろうその言葉を浴びせたのか。
なんだそれ、凄いロマンチックな話じゃないか……。自分だけの合言葉を呟いて、突如現れた友人Aは未来人。そいつは未来の自分からのプレゼントでもあり、何よりも一番最初に欲しがっていた友人だなんて。
死体が転がる中で不謹慎かも知れないが、僕達の目線は2人に釘付けだった。それこそ、湧いた興味の虜だった。2人を知りたい、何故か祝福したいとさえ思っていた。
それほどまでに劇的な出逢いだ。果たして、こんな時を越えた出逢いが有り得るのだろうか。
少なくとも、葉月との出逢いを発端とする今日1日――1日と言うには暫し長すぎる気がするが――その繰り返しが無ければ結ばれなかった縁にも思える。
唯、そうでなくても僕達ならば、時を経てより強い絆を結べる気がする。きっとそうだと僕は思う。
「そうか……私とお前は側に居たのか。未来でも、変わらずに……」
夢心地、夢を見ている少女の瞳で未来は言った。熱を帯びた視線、泣き腫らした頬で友人Aを見上げる。
「あぁ、これ以上は禁則事項って事で頼むわ。未来の姉さんに怒られちまうよ、ははっ」
「馬鹿だな、お前は」
「ああ、救い様の無い馬鹿だ。久方振りだな。そして何より壮観だ、因果の果ての終着点、そこには死体と案山子に喜ぶ2人。そして囲む仲間の視線とは、まるで……革命劇の終わりじゃないか? なあ、少年」
割って入った声が有った。余りにも自然で、余りにも不自然な言葉だった。トーンも発声も変わらない、総てが未来さんと一致していた。全く同じ声、その方に振り向くと案の定……
「ふふっ、逢いたかったぞ……ガンダ●!!」
「ふ、増えた――っ!!?」
おはようございました、二週間ほど前にコードギアス1期を完走した作者です。遅いですね、ええ遅いです。
今回はネタが無いため、以下暫くロボットな小話。
亡国のアギトが始まるとかで友人に勧められましたが、アギトよりアキトが気になります。ナデシコ見たいですよナデシコ、作者はあれが大好きなのです。
いつかロボット物も書きたいな〜と、作者は考えているのですがね、何せミリタリーの知識が無いのです。ゲッターとかも好きですけど、作者は多分スーパーよりはリアル派なのでしょうね。
(フルメタは買いだめしたのに、3巻までしか読めていないだなんて言えないよ……)
さて、話題を変えましょう。ロボットの話、分からない人にはどうしようもありませんし。
取り敢えず、なかなかイチャイチャも完結もしない展開ですが、またしても不思議な人影ですよ? 他にパターン無いのか作者、まさしくそんな状態ですね残念ながら。
唯、作者は停滞を恐れています。何かを残したまま、例えば理科室の伏線や謎人物の掛け合い、生死不明の七ヶ崎乃々葉に立ち尽くしたままの西園寺百合香、通常の文庫ならまだセーフでしょうか?
しかしどうにも、話の視点が彼らを忘れがちになってしまいます。それが私の弱点です、人物が増えたり展開が複雑になる度、スポットライトが狭くなるのです。舞台全体ではなく、1部だけを注視するうちに暗闇ができる。
取り敢えず、暫くはそれに気を付けようかなって思います。それと、疲れたら素直に休む事にしようかなって思います。最近体調が芳しくないのです、まあお腹とか、軽く貧血ぶり返した程度なのでご心配なく。
私、血が足りないんですよね……まあ倒れたりはしないんですが、息切れが早かったりはしますね凄く。あと起立の姿勢が辛いですね、コレが尋常じゃないです。下手すると目眩しますよ!
校長先生の有り難くないけど有難いお話とか、起立のままとか拷問ですよ!! 内心あれですよ、アニメで負けたピ●チュウ状態ですよバタンキューですよ!!
まあ、死語ですよねバタンキュー。ナウいおじさんから知りました、ルビーサファイアはリメイク出ても良いと思うんですよ良い加減。
とにかく、今回はこれまでです。また次回にでも逢いましょう、作者は皆様の来訪を心待にしております。最近狐成分が薄い。ではまた明日にでも、ね……?
いい明日を貴方に。
P.S.しかしながら、新しい地方のイラストを眺めて妄想するのが何よりも大好きだったりします。BW、街の配置が単純すぎた気がする。……なんて、作者は作者はぼやいてみたり。




