鏡合わせの天罰ゲーム;零
「まぁ、つまりは僕は何人かの未来人や転校生と、次のループに記憶を持ち越す権利を共有しているって事。その数人中で、最後まで生き残った上で死んだら僕らは記憶を維持したまま今朝に戻るんだ。最早、今朝とか今日とかも曖昧なんだけれどもね?」
「私も、昨日死んだ時が初めてだったんだけど――あ、日にち的には今日だけどね? ――その時の事は覚えているんだ、嫌だな……また思い出しちゃったよ」
「大丈夫か?」
「うん……まあ、なんとかね」
自分が8月8日を繰り返している事実は、みんなに明かすとあっさり飲まれた。特に中二病まっさかりな未来さんなんかは鵜呑みにしたし、解説は必死だったが葉月も経緯を明かした為にその薄っぺらい信憑性が確固たる重みを持ち始めていた。事実、僕も最初は葉月の涙に後押しされたのが強かった。
「私は未来から、一喜憂さんを殺す為に送り込まれた半有機生命体時跳躍個体が内の1人だったんです。私は一喜憂さんが持つ“機械を壊す力”によって解放されましたが、それまでは洗脳用ナノマシンに殺戮を、命令内容においての『他の時間軸、異世界に居る七ヶ崎一喜憂を理論構築前に全員拘束及び殺害せよ』という行為を強要させられていました。月弧の呼び声の手によって……」
「補足するけど、《ルナシェルコール》っていうのが僕の言う敵、七ヶ崎乃々葉の事だ。そいつも元の葉月と同じく未来の世界からやって来た未来人で、別の未来の僕が犯したタイムマシンを完成させるという過ちを阻止するべく僕を殺しにやって来ている。彼女だけは例外的に順番関係無しに記憶を持ち越せるし、やたら高い戦闘能力と、未来人2人と一般人2,000人をも纏めて操ってしまう程に強力な催眠能力を持っているんだ」
「なんか、前代未聞のスケールだな……」
友人Aが、さも信じられないといった様子で呟く。そんな意味でも、僕と同じように今を繰り返していると供述してくれた久遠の存在は大きかった。1人で言えばそれは妄言でも、それが重なれば見過ごす訳には行かなくなる。例えば唯の失踪事件なら何も感じないが、それが似た様な状況下で重なる事でオカルト染みた気味悪さを醸し出す様にだ。
「妄想を他人の視覚のデッドスポットに送り無意識の内に共有させると、あたかもそれの存在が実在の様に捉えられ、結果的には現実が挿げ変わる的な!!」
「お姉ちゃん、それは違うと思うの」
まるで僕の内心を見透かした様な未来さん、そのネタに久遠がツッコミを入れた。やはり元ネタが有るのだろうか、少なくとも僕には分からなかった。そういう知識量では、一番に未来さん、次点に久遠と友人A、僕が続いて最後に葉月といった所だろうか。僕には分からなかったが流石姉妹、やはり強く影響されあっているらしい。僕と姉貴は真逆で、互いに世話を焼き合う様な関係だから羨ましくも思えた。
それはともかく、みんなを見渡しながら僕はまた言った。
「早速だけれど、ひとつ協力して欲しい事があるんだ」
自然と絡んだ目線が頷き合い、狂った8月8日を抜け出すために力を貸してくれようとしていた。だから僕は言う、欠けてるピースを集めるためにも僕は頭を下げた。河川敷から遠い場所より、始業のチャイムが鳴り響き始めたがそれでも僕らは動かない。
「お願いだ、今日やってくる転校生、四十九院乃々葉も同じくループの対象者なんだ。だから、彼女を救いたいから力を貸してくれ……お願いだ!!」
そして、僕らは学校へと舞台を移した。
◆◇◆◇◆
それは無論、とある1人の為である。僕はまた繰り返す、わざとらしく合わせて、馬鹿みたいに、惹かれ合う様に共振するのだ。そして、僕は少女の袖を掴んだ。僕のその声に、ハッと振り返る黒髪の美少女。
「やっと……見付けたよ、四十九院乃々葉さん?」
僕のその声に、驚き混じりの怯えた様子で少女は答える。僕の名前を呟きながら、四十九院乃々葉は硬直したのだ。まるでフリーズした様に世界が脈を止めた気がした、ポプラ並木さえもが沈黙し、無音の時が流れ始める中、響いた明瞭且つ不安定な声音。
「七ヶ崎……くん?」
前回と同じ時間帯、待つ事暫く、やっと捕まえた少女相手に僕は訊ねた。重ねに重ねた既視感に、僕は更に未視感を重ねた。優しく、そっと……呟く様に僕は言う。それが、少女の心を開けると信じて。
「なあ四十九院、身勝手だが……信じて欲しい事があるんだ。聞いてはくれないかな?」
フラッシュバックする『七ヶ崎くん、信じて……くれますか?』という寂しげな声、どうしようも無く瞳を潤ませ、誤魔化す様に縋り付いて来た彼女への罪悪感が僕を動かす。そうだな、いい加減に謝ろうと僕は思った。だから、僕は言った。
「乃々葉さんは、信じて……くれますか?」
こんばんは、作者です!! みなさんお元気でしょうか、私は眠いです……にゃう。
いやー、冬は炬燵が天国ですが、うちのPCは有線なので炬燵に入るとネットが使えないジレンマに囚われます。ぬくぬく執筆したいですね本当に。今回、台詞の使い回しが多いですが、演出なので許してください。あと誰か、たまに休みと感想ください。なんて。
そういえば、お気に入り登録感謝します! 私の小説とも言えない様なカオティックSF風味半バトル学園恋愛ファンタジーノベルをご愛読いただきまして、皆さんには感謝しています。私うれしいです、有頂天ですよホント。
とりあえず今日は此処まで、作者は執筆仲間なんぞも求めています。みなさんも試しに書いてみては? と、それでは皆様いい夢を。いつも睡眠、貪る惰眠の狐っ娘でした〜! というかおはようございます!!
P.S.友人Sよ、私のキャラが変とか言うなよ悲しいよ……とか言ってみたり。炬燵でアイスが食べたい季節。




