辟易突き刺す霹靂と。零
「ねえ、一喜憂……そう言えばあの子、葉月とはどういう関係なの?」
私は歩きながら、少し手前を行く一喜憂に訊ねた。靴底に当たるコンクリ、そのやたらと無機質な感触が私を苛む。
「ああ、従妹でね。親戚中に預け回った遠い叔母の娘が、何処も駄目で回ってきたらしいんだ。姉貴からはそう聞いてる」
一喜憂は振り返り、気まずそうに頭を掻きながら答える。その自信なさげな声が、やたらと私の保護欲を掻き立てるんだ。
同時に、またしても悪戯心を擽られて意地悪をしたくなってしまう。私は少し、深くまで訊ねてみる事にする。
「標準語みたいだけど発音に波があるよね、何処から来た子なの?」
「カンボ……いや、ちょっと待て」
「今、カンボジアって言おうとしたわよね?」
唐突に聞こえたCambodiaのイントネーションに私は驚き、訂正を待たずに質問を浴びせた。
それにおどおどしながら、次に一喜憂はこう訂正をした。
「あ、あれだよカボチャの名産地! だから、内陸の方だよきっと!」
どうにも怪しい。夢の中で彼女は確か、翼を生やしつつ不定形な武器を振るっていた筈。
そうなると、益々2人の関係性が怪しまれる。私はもう少しだけ、粘り強く訊ねてみる事にした。一喜憂を小突きながら私は、
「瞳の色綺麗だよねー彼女、まるで日本人じゃないみたいだけれど……?」
「う……」
自らの言い訳の稚拙さからか言葉を失う一喜憂、黙りこくるその様が異様なまでに可愛らしい。こんな事を考えながらも、自分の心酔っぷりに頭が痛くなる。ああ、恋に酔うだなんて、いつからここまでロマンチストになったのかしらと。
こんばんわ、作者です。
とりあえず、小分けにして毎日更新を守ろうと思います。詳しくはまた朝にでも話しますね?
おやすみなさい、また明日に逢いましょう?
P.S.猫抱きたい。




