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裸天使にバスタオル、僕には生きる意味を下さい。  作者: にゃんと鳴く狐っ娘
Loop.2【永久に続けとキミは】
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穢れた身体と私の天使

 獅子威しが床間に響いた、私は纏わり付く眠気と前髪を払って起き上がる。怖い夢の後は身体が寒い、なんとか身体を起こした私に悪夢の残滓がドップリと濃厚な倦怠感を与えている。泡立つ肌と渇いた喉、私は自分の胸を抱き締めながら朝靄かかる廊下を歩き始めた。


(あれは……夢?)


 不思議と夢は色濃く、心中で呟く度にも現実味が増していった。まだ不快感が残る唇を撫でる、変わらないプルンとした感覚しかないが、何故だろうかそれをもぎ取りたい衝動に駆られた。だが、私はなんとかそれを堪える。


 夢の中、傷付いた一喜憂を介抱した。縁起でも無く、大好きな姉は息を引き取り、沢山の友達が肉片へと果てていた。悲しい夢、見るも無惨な夢だった。


 そして私は、そこで唇を奪われてしまった。今でも泣き出しそうに胸が痛む、目尻の視界がぼやけ、私は立ち尽くしてその朝寒さを噛み締めた。


 姉は昔、私を白だと言ったが今は汚れ、くすんだ鈍色だと私は思った。夢中だったが告白した相手、私を受け入れてくれた一喜憂以外に唇を許したのだ。それはもう、限られている“初めて”の1つを捧げた事になるのだから。


 私は呟く、小さな声で唇を震わせて。ふと視界に飛び込む塀の上で寄り添う雀が羨ましく思えた、私の視界は濃厚な朝靄に霞む。


「久遠はもう……汚れちゃったの?」


 何故か、処女さえ散らされた様な気分になった。多分姉なら、夢なのに真に受けすぎだとか、久遠はロマンチストだなとか笑い飛ばしてくれるのだろうか。歩き始めた時、廊下の彼方に浮かんだ少女姿の揺らめきに手を伸ばした。届かないと、触れられないと知りながら。


「どうして? 教えてよ……お姉ちゃんっ」


「振り返れば良い、想い出を辿れば答えは有るさ。例えば行く手に何も無くても、楽しい夢握って生きるしか能が無いのさ」


 唐突に響く声、振り返ると寝起きの夢現に見た白い髪の少女、姉、天津風未来ことくる姉がそこに居た。音も無く、気付けば背後に居る様はさながら猫のようだと私は思った。


「何を悩んでいる、イロコイか? と、いうか久遠が泣いているだなんて珍しいな、嫌な夢でも見たのか?」


 そう言われて、私は目尻を確かめてしまう。泣いている私は、出来る限り見せたくない姿だった。しかし、目尻に涙の冷たさは無い。


「泣いて……ない、よ……?」


「無理するな、泣きたい時は泣いても良いんだぞ? よーしよ……、んっ、んっーっ! と、届かない……」


 私はそう言い返した。心配かけまいと強がるが、いつも私を心配してくれる姉には無意味だった。くる姉はまた、背伸びして私の頭を撫でようとするが届かない。その様子が余りにも健気で、私はついくすりと噴出してしまった。


「もう、無理してるのはどっち? くすっ……ありがと、くる姉」


「取り敢えず、そんな事より身長欲しい……黄色タイツに嘘吐かれた」


「国営放送の黄色い悪魔さんの話は駄目だよ~、くる姉?」


「まいんちゃんと毎日ちゃんとって似てるよね?」


「朝からそのテンション、付いていけないよ……」


 結局、色々あっても普段のノリに乗せられてしまった。どうやら未来姉にはシリアスと言う概念が無いんじゃないのかな、今更ながらにそう思った。


「それで、立ち直れそうなのか? なんならじっくりとお話を聞くけど?」


 安定しない口調、それでも私を気遣う一言だった。私は取り敢えず頷きを返した。するとくる姉はポケットから良く分からない物を取り出して差し出してきた。受け取って見ると、それはどうやらUSBメモリーらしかった。やたらと細い端子からして機器には刺さらないだろうが、金色に輝く本体の眩しさには目が眩んだ。綺麗だなって思ってしまった、機械なのに。


「これ、お守りね? 開いちゃ駄目だからね、絶対だかんね!」


「あ、ありがとう……でもこれ、どっかで見た気が……」


「気のせいだよ! 高かったんだけどきっと気のせいだよきっと!!」


 そう赤面しながら、それをぎゅっと腕に押し付けられた。それをポケットにしまい込んで、私はくる姉へとお礼を述べた。照れくさそうなくる姉が、まるで可愛い妹みたいに思えてしまった。


 双子、出てきた順番だけできまった姉妹の立ち位置なのに何故、こんなにも固執してしまうのだろうか。不思議だな、そんな束の間に得た安息は、私の心に麻酔を打ってくれたのだろうか。私はくる姉へと提案した、にこやかに笑みを浮かべて。


「ねぇ……くる姉、学校いこ?」


「失敬な、私は毎日登校してるぞ?」


「だから、一緒に行こっ?」


 こうして、現実的な悪夢抱いて2周目の今日が幕開けた。何故だろう、未だに彼を夢だと思えないのが不自然だ。心なしか、未だにざらつく唇を摩りながら私達は居間へと急いだ。準備を終えたら、そしたらきっと落ち着くだろうか。断言できない曖昧さが、どうしようもない蟠りを生んでいたのだった。

 タイトル意味深だよね、また遅れてごめんなさい(ぺこり)、作者の狐娘です。盛り過ぎだろうと良く言われます、はい。


 今宵もまた遅くなりました、やっとです。作者も予想外の急展開で、作者もあたふたしております今日この頃、故に更新が遅いのです。USBの展開とか本当に予想外です、回収できる気がしませんよ伏線。


 取り敢えず、あのメモリーは心当たりがある方が居るのでは?


 某作品中に登場するロボットの起動キーがモチーフとか、ファンにとっては最高ですよねきっと。そうゆう使えるグッズが増えても良いと思うんですけどね、某友人になんかはキーチェーンがじゃらじゃらで筆箱より重いですよ、なんですかアレ、軽く鈍器じゃないですか。ホライゾーンってしちゃいますよあんな凶器。


 最近、巷ではハードーカバーも増えてきた気がします。ただハードになると上質な紙使ってたりしますが持ち運びには厳しいですよね、重いですし。かといってソフトカバーも、最早あって無いような物ですが。


 そこで主はソフトカバーの持ち歩きに、辞書ケースやティッシュ箱を試したのですが、なんと百円以外も置いてる百円均一でもっと便利なのがありましたよ。なんかズバリな袋、ザ・なんとかって感じのなので探してみるのも一興だと思います。友人に貸す際、折れて返ってくる事が減るかもです。


 と、まあ社員染みたコメントをしますが作者は高校生ですので?


 では、居眠りしたくはないのでまた明日ですね。おやすみなさいませ、良い夢を。おはようございます、良い朝ですね。きっと今日は幸せですよ、きっと……貴方に幸福が訪れると信じて。


 では、また逢いましょう? ではでは。



P.S.最近見た中で一番吹いたのはDT捨てろ! で話題の歌でした作者です、絵は古いけど一週回ったネタが斬新かな? おすすめ、かも。

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