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裸天使にバスタオル、僕には生きる意味を下さい。  作者: にゃんと鳴く狐っ娘
Loop.2【永久に続けとキミは】
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希望の淵からコンニチハ。弐

「俺が来たからには、もう狼藉だなんて許さねえぜ!! 歴史改編犯罪犯は我々《タイムパトロール》ことArtificial Attractorアーティフィシャルアトラクタが処罰させて頂こう!!」


「寝言は寝て言ってくれないか、友人A……お前今もの凄く痛いぞ?」


 いきなり現れ、唐突に変な口上を述べた友人Aに僕は軽く冷笑を浴びせた。場の空気はシリアスから一転、冷めた硬直時間へと突入していた。


「いや、お前には話してないけどマジだからな俺?」


「お前がマジで馬鹿なのは周知の事実だからさ、なあ皆?」


 そうして俺は辺りを見回す、どの顔も一様に頷く素振りを見せていた。唯、七ヶ崎乃々葉だけはその衝撃と悔しさからか身悶えしていた。


「みんな、酷いぜ……」


 自転車ともバイクともつかぬ細身且つ重厚なフォルムの黒い2輪車に跨がったままで、友人Aは目頭を拭った。


「てかお前、それってバイクか?」


 僕の視線はどうしても友人Aが跨がる奇っ怪な2輪車へと向いてしまう、何だかんだいってデザインが格好良いのだ。童心に帰る様な、忘れかけていたヒーローへの憧れが帰ってくる様なそんな感覚を僕は覚えた。


「未来ガジェット参号機《ミラクル上等ミクルサイクルKOGANE10》、最速の電動アシスト自転車だ。ちなみに9段変速だったりするんだぜ」


「その両サイドに雄々しく突き出た排気用マフラーを見ても、猶それが言えるのかお前は!?」


「いや、ペダル漕がなきゃ吸気系も駆動系も動かないし良いんじゃないか?」


「「良くねーよ!!」」


 僕と久遠のツッコミが重なった、ついに彼女も痺れを切らしたらしい。そんな彼女に友人Aは確認した。


「そんでさ、それはともかく……あの黒髪ロングが犯人って事で良いんだよな久遠? メールには『急いで学校きて』ってしか無かったけど良いんだよな?」


 あー、僕以外には文明の利器が使えた事を今更ながらに思い出す。しかし時既に遅し、今回ばかりは事後なので意味が無いだろう。

 今回は人が死んだ、出来るだけ死者を出したくない身としてはやり直したいと僕は思う。だが、それでも足掻けるのであれば足掻いてみよう。僕はそうも考えた。


 友人Aの質問に久遠は座り込んだままで答えた、それも依然として放心状態の未来さんを抱えたままだった。先程は首を縦に振っていた気がするが、気のせいだろうと僕は結論付ける事にする。


「正解、まあよくもあの速度で見分けられたわね。後、あんたの腕力どうなってるのよ一体……」


「え、耳尾を生やした怪力少女に言われたく――ぐっはあああああ!!?」


 ※太さ約5センチのステンレス防腐加工済タングステン合金・アルミニウム合金製フレームが歪曲しました。久遠さんはムカついた時に限り、通常より数段階速度が増します。


「なあ久遠どうして軍が装甲車にも使う合金を曲げ……ぐはっ!!」


 ※フレームが大破しました。


「なんでそんな馬鹿げた材料が此処に有るのよ!!」


 それは自分も甚だ疑問では有るが、いつからこんな緊張感の無い状況になったのだろうか。まあ、友人Aが着たからでは有ろうが……反対側に立ち尽くす七ヶ崎乃々葉は未だに俯いたまま、頭を掻き毟りながら咽ぶ様に肩を上下させている。


「……っ……、……っつあ! ……ぁぁ……あはっ、あははははっ?」


「あれ、なんかコレは不味いんじゃないか……?」


 バチバチとうねる蛇の様に太い電流がとぐろを巻き、音も無くのそりと七ヶ崎乃々葉は起き上がる。僕が見た事無いこの状況って、漫画とかで良くある暴走する流れな気がする。そう考えると背筋が泡立ってくる、今回は殺しの人数にしても被害にしても数倍に跳ね上がっている。もしかすると何かしらの問題があったりするのかも知れない、あくまで憶測だが。


「お前らも、じゃれあって無いで逃げろ!!」


 これ以上、僕は久遠が死ぬのを見たくは無かった。いや、久遠だけじゃない。誰が死んだとしてもそれは悲しい事だし、それは容認されて良い事じゃないのだ。明らかに僕の感覚は麻痺してきている、それは生死を繰り返す内に実感してきた。


「一喜憂はっ!?」


「後から行く、お前は取り敢えずお前がノックアウトしたのを頼んだ!!」


「……後で、覚えてなさい?」


「せ、台詞が悪役!!?」


 そんな会話をしながら背に久遠を見送る、ずるずると破砕した自転車ごと友人Aを引き摺って退散していく。戻ってくるまでは時間が稼げる、それまでに状況を変えるか、それとも死ぬかしか道は無いだろう。だが……それでいい、僕は今回得る物は得た。ならば死んでも構わないんじゃあ無いのだろうか? そんな、どんどん自分の命が軽薄になる感覚がジリジリと僕の心を書き換えていく様な気がする。怖い。


「乃々葉っ、お前も逃げろ!!」


 その瞬間に思い出す、先ほどの結論。僕達は――“先に死んだ方がその周の記憶を失う”――それを得る為にはもう1人を蹴落とさなくてはいけない、どちらかが死んで初めて、生き残って再び連鎖は幕を開けるのだから。


 しかし、呼んだ少女の姿は無い。そこには誰も見えず、僕は悪魔の方へと振り返る。


「残念でしたぁ……今回、殺すのは私じゃあ無いの……あははははっ!!」


 そんな悪魔は立ち上がり、何処からか顕現させた銃身を引き抜いて真横に向ける、その先には乃々葉を抱える用務員、波多野さんの姿が有った。その大きな腕の中で四十九院乃々葉はもがくが、彼女の力をもってしてもその腕を振り解くことが出来ない様だ。何故、僕の周囲には怪力ばかりが居るのだろうか。


「走ってください、今なら貴方の力で……!!」


 ――パァン! いつぞや聞いて依頼の乾いた音が響いた。砕け散る頭蓋と弾け飛ぶ肉片、吹き零れる紅い血と視界に残る真っ白な残像。2人の影は倒れ、今一度亡骸の海へと死体が増えた。唯一立ち尽くす少女は狂気の笑みを浮かべる。


「残念、ざぁんねんでした。さぁて、七ヶ崎クン……?」


「な……なんだっ!!」


「ふふっ……怯えちゃって、殺し甲斐に満ち溢れてるわよ貴方。何度でも奪ってアゲル、絶望なんかじゃ済まさない、もっとリアルで現実的な死をアゲル。浪漫ばかりじゃ飽きるのよ、貴方には……鎖鋸の様な無残で手痛い死をあげたい。あは、あはは、あはははははははは、あ――っはっはっはっは!! きゃはは、ぎゃは、きゃはははははは!!」


 そんな高笑いと共に向けられた銃口、貫く様な視線と目線が交錯する。


 静寂、完全なる無音の中で向かい合うのは悪魔の様な未来人だった。


 僕の前には冷徹なる白亜の銃口が、虚無を此方に向けている。


 少女は呟く、歌う様に。



「うしろのしょーねん、だーあーれ?」



「ううううなあああああっ!!」


 ※こちらは本編では有りません、あくまで作者の呟きです。


「どしたの、お前さん? てか取り敢えず拾ってきたのは良いが、何で猫と一緒に狐な女の子が捨てられてるんだよ……」


「んーっと、必要悪?」


「お前の神経の図太さには当惑したよ! てか何でお前は平然としてるの、お前捨てられたんだぞ!?」


「貴方も私を捨てます?」


「……重いな、話題」


「にゃっ、お腹が……お腹が空きました」


「カップラーメンでも良いなら」


「不束者ですが、よろしくお願いします……塩味で、できればキツネで」


「そんな組み合わせ聞いた事ねえよ!!」



◆◇◆◇◆



 どうもこんばんは、趣味丸出しなオマケ付きの作者です。むしろオマケ本編の方が需要ありそうな気がする不思議……。


 中二病でも恋がしたい、あれの2話、神戦闘シーンに夢中なまま勢いで某ゲームの殴る魔法使いマスターな友人と“どちらが厨二病な短編書けるか大戦”が勃発しちゃいそうです。タライとかも有りますけどそのうち、ガッッ!! っと勢いで書ききってしまおうと思っています。


 さて……予告でもしてみる? テレビアニメ風に?



◆◇◆◇◆



 或る晴れた日、突如降り注いだ涙雨。駆け足で街角を曲がり、鞄で雨を凌ぎながらも僕は“それ”を見付けてしまった。


「お前……此処で何をしているんだ?」


「んっとね、んー……待ち人来たらず?」


 其処に居たのは少女、ピクリと立った耳を震わせて大きな尻尾をユサユサとメトロノームの様に揺らす少女だった。ずぶ濡れの子猫を庇う様にしながらも、自身を和服姿ごと雨で塗らした少女。きょとんと、丸く大きな瞳で僕を見詰めて少女は言った。


「あ……待ち人、みっけ」



◆◇◆◇◆



 ああ、予告の時点で香ばしいよコレ。さすが黒歴史ノート発掘しただけある……恐ろしいなぁ小さい頃って。



P.S.あ……お蔭様でITパス受かったぽいです。これで私も念願のレベル1だねやったねたえちゃ(以下略 

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