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裸天使にバスタオル、僕には生きる意味を下さい。  作者: にゃんと鳴く狐っ娘
Loop.2【永久に続けとキミは】
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三角形で奏でる音律:序

「さて、早速になるが質問だ。繰り返すのは8月8日、今日の日付かい?」


 僕は問い掛ける、対して四十九院乃々葉は考え始めると同時に腕を組んで、自分の頬を指で小突き始める。少しずつだが、この手の観察眼は身に付いてきた気がする。人の癖は意外と目立つ物だった、僕にもそれは言えている。


「えっと……」


 うーうー唸りながらも記憶を辿る四十九院乃々葉、実際に僕の中でも日付感覚は薄れてきている。だが、それにしてはやたら遅い気もしない訳ではない。


「恐らくはそれで合っているかと、毎朝目が覚める時刻は違っていますので。“毎朝”と言う表現には少なからずの語弊を感じますがね、繰り返しているのは確かに8月8日です」


「そうか、取り合えず此処までは同一な訳だな?」


「唯、七ヶ崎くんが記憶している思い出――まぁ思い出だなんて綺麗な物じゃないかも知れませんが――それと私の記憶にはこれまた差異が有る様に見受けられますね。恐らく、七ヶ崎くんの中では既に考えが纏まっているのでは無いのでしょうか? 私はそう推測しているのですが」


 と、淡白というか無表情と言うか、澄んだ涼やかな表情で四十九院乃々葉は僕を見据えた。その哀愁と確信を漂わせる姿、確かに僕よりも達観した印象を受けない事も無い。そして、僕は自分なりの解釈をそれとなく語り始めてみる。


「あくまで推測、もとい憶測なのだが……そっちは今6週目、僕はループ開始前にそれを聞いているんだ。つまりは単純計算で君が廻っている6週にダブった今を抜いて分、今に加えて僕が廻って来た2週を足して今は実際に8週目、七ヶ崎乃々葉、狂気笑いのドッペルゲンガーは前回にそう言っていた。1周の誤差こそ有るけれども今回は9回目、つまりは七ヶ崎乃々葉だけは総てのループの記憶を引き継げるんじゃないか?」


「……そう、かも知れませんね。私も思い当たる節が有りますから」


 自然と、呼び方を“お前”から“君”に変えていた事に気付いた。最初、『七ヶ崎くん、信じて……くれますか?』と僕に期待してくれた彼女、唐突過ぎて答えずに逃げてしまった事――当事の僕にはその意味なんて点で理解できないと思うが――それには拭い切れない罪の意識を感じていた。信じて欲しいと、助けて欲しいと縋って来た少女を僕は跳ね除けてしまったのだから。と、今更ながらに僕は思い返す。


『卑怯ですよ、ルール違反です……何回私を泣かせるんですか?』


 そうだ、あの時の彼女は期待していたのだろう。僕が同じく記憶を引き継いでる節を信じていたのだろう、今の様に共感して、共に考えてくれるのを待ち望んでいたのだろう。彼女は記憶しているだけでも5回は死を重ねてきた、それも孤独の中で。それなのに僕は腕を払って逃げ出したのだから、彼女の記憶にそれが無いにしても酷い事をした。それが頭から離れない。


「たった今考え付いたのですが、ひょっとして私達……死んだ後先で記憶の具有に死ぬ順番が関係しているのでは無いのでしょうか?」


「え……? 確かに、僕は君の死を背中に感じた、次には七ヶ崎乃々葉からも君の名前を聞いた。奴お決まりの捨て台詞からすると、どちらでも君が死んでしまった後だと思う」


 フラッシュバックする光景には奴の歪んだ笑みと高笑い、期待していると七ヶ崎乃々葉は言っていた。『四十九院と君、そのどちらかが記憶を引き継ぐこのループを終わらせてくれる』、それを期待していると言った。僕には殺し甲斐があるとも奴は言った、今思えばこの言葉には“僕か四十九院乃々葉のどちらかが、記憶をそのままに廻るループの謎を紐解く”という意味と“僕か四十九院乃々葉のどちらかが記憶をそのままに廻ってしまうループ”という意味の二重の意味が含まれていたのでは無いのだろうか? 僕は、殺意や殺人衝動に従順な奴の言葉にも裏がある事が有るのかと内心吃驚した。


「ですよね? だったら決まりです、私達は“先に死んだ方がその周の記憶を失う”……これが、結論です」


「つまり、どちらかひとりは記憶を失う……総てを紐解く為に、どちらかはいずれ総てを忘れなくちゃいけなくなるのか、そんな……!」


 蘇える記憶、何時間も掛かっていない癖にそれは色鮮やかで、掛け替えの無いものに僕は思えた。葉月との会話、その麗しい制服姿、久遠や友人Aとの再会、未来さんとの邂逅、そして5人での登校、久遠からの告白、それに今だ。この結論と罪滅ぼし、今回のループは貴重な記憶が目白押しだった。その結論に戦慄した僕に四十九院乃々葉は言った、それこそ感情を必死に押し殺した瞳――水晶の様な泪粒を目一杯に溜めている様に僕までもが感化される――歪む景色の中で呟く様に。


「そうですね、片方が死ななきゃ……進めないらしいですよ?」


 そう言いながら、こちらを一瞥して乃々葉は言った。


「どうしましょうか……、ねえ? もう……人が着ちゃったじゃあ無いですか……」

 いきなりですがこんばんは、作者です。四十九院乃々葉さんに“力”を持たせるか今更ながらに悩んじゃいました、結果は追々。


 実際、ついでなんですが調べてみると能力者物って大体が出尽くしているんですよね。昨日始めたタライとかも探したら被ってたりするかもですね、メイン以外は基本王道をあちらは考えていますが。


 現在、この作品には『磁気嵐による機器破壊』、『隣接物への重力加減』、『リン放出によるパイロキネシス』、『液体操作とその抽出』、『洗脳効果』兼『電磁浮遊を兼ねた電磁操作』、『蓄電能力』兼『不可視光線視認可』、『やたらしぶとい友人A』辺りが存在しています。カオスですね、特に友人A。


 ある意味では《タイムスリップ》や記憶保持も超能力でしょうが、これは後々に解説する機会が本編中にあるので科学的な裏付けはやめて置きましょう。と言いますか後書きに頼るのは無粋ですよね、あくまで作者のぼやきに留めておきましょう。


 さて次回、どんな展開を見せるのか《トライアングルループ》。


 下手するとこの作品、人間関係もトライアングルでトライアングラーしちゃいそうで怖いですね。記憶引き継がれない人物達のどうこうにも注目です、しかし次回は主人公パートですがね!



P.S.この作品が終わったら、俺……結(殴

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