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裸天使にバスタオル、僕には生きる意味を下さい。  作者: にゃんと鳴く狐っ娘
Loop.1【送る言葉は薄荷味】
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日捲り暦を今日も破ろう。:急

「ふふふっ……あははっ、あははは、あはっ?」


 不気味に立ち上がる青白い影、目映いばかりに輝くそれは死の具現に思えた。また1つ過ちを犯した2人は、頷き合って鼓舞し合う。


「行くよ《姫九里滸黄泉》!!」

「行くよ《八千代高千穂》!!」


 炸裂するスパーク光に未来姉が飛び込む。私に火が効かないのと同じで感電死は有り得ないのだ、お陰で大分無茶な物作っているらしいけど。


「馬鹿ぁ……けひっ」


 七ヶ崎乃々葉が左手で火の粉を払う、そんな動作で電撃を放つ。これまでの狂いっぷりも影を潜め、その動作の素早さには目を見開いた。電撃をものともせずに未来は踏み込む、ふわりと真白な髪が躍った。


 未来姉は前回りから両手を着きカポエラが如く回し蹴りを叩き込む、通信教育がどうこう言っていたが未だに信じられない私が居る。追従する私は火炎を呼び出して投げ付ける、稲妻と火焔とか交錯した。


「にゃはっ、《バラクタス》……!!」


 目前、爆ぜる爆炎の中から飛び出したワイヤー群が襲い掛かる。右へ左へ、惹き付ける様に回避する。自分狙いだからこそそいつが出来た、対して未来姉は何処から取り出したのか短剣を構えていた。


「未来ガジェット肆号機《【永遠の音律】ハーモニクスΣ【永久の約束】》!!」


「うわっ……芳ばしい」


「気にすんな!! 趣味だからな、ていっ!!」


 紅く輝くダガーが火花を散らす、その度にワイヤーが折れる様に沈んだ。一体どんな技術なのやら、私は甚だ不思議である。


「史上最強の半田鏝はんだごて、空前絶後にて絶理の境地……それがコイツよ!」


「うわ、要らな」「だまらっしゃい!!」


 そして、そのダガーが装甲に向いた瞬間に拡散する光。七ヶ崎乃々葉もブレードを引き抜き対抗していた、白光と甲高い唸りとがぶつかる。


 眩しい光だ。重なり合うように響く快音、逆手の刃と舞い踊る羽とかぶつかる。火花を散らして七ヶ崎の羽が折れた、さも意外そうに七ヶ崎乃々葉は呟く。


「……まさか、貴女でさえも未来人だと?」


「いいえ、ケィアです」


「そんな貴女、何者よ……?」


「ミクルですが何か? 斬っ!!」


 胸部装甲に当てられた刃が真横に切り裂き、未来姉が飛び退いた途端に火柱が殺到する。高熱にやられたのかスプリンクラーは死んでいた、ラッキーだと思う。


 赤々と噴き上がる業火から、白くつや消しされた無個性な刃が突き出され、それが斜めに軌跡を描き出した。縦横に走ったそれは、焔の赤さえ切り裂いた。


「《フォレンへイト・ディスペトピア》――理想に潰えて、消えれば良いの。良いんだよ、楽にしたげてアゲルんだから……あははっ!!」


 声に続いて跳躍する影、煌々と輝く白の刃を握る七ヶ崎が笑った。行く手には未来姉、七ヶ崎乃々葉は一旦引いた刃を叩き付ける様に突きだした。


「……ひゃっ!!?」


 避けようとする未来姉の脇腹を霞めたそれがもう1度構えられる。走り出していた私の前で、白亜に照らされた真顔は言った。


「なんで……普通なのよ、貴女達ばっかり――」


「へっ……?」


 ぐっと狙いが絞られる。ひきつった笑みが目前に有って、すぐ目の前に姉が居るというのに、私の手は絶望的なまでに短く思えた。


「不平等な世界なんて、死ねば良いのよ」


「未来姉え――――っ!!」


 手を伸ばす、儚げな白髪へと沈む白光、悪魔の翼に遮られて傷こそ見えない、音も無く深々と刃は刺さってゆく、此方を向いた未来姉が声も無く呟いた、


『いき、て――?』


「さよなら、そしてまた何処かで……」


「未来姉、お姉ちゃん……私、私……っ!!」


 倒れもせずに身体はほどけていく、まるで元から居なかったかの様に夢幻へと果ててゆく、何もできなかった、何一つ救えなかった。


 私は、無価値だ。


「ううっ、えぐっ……うわあああああああっ!!」


「罪な人、遅かったわね? 《アダムユニット》七ヶ崎一喜憂――あははっ!」


 主役は遅れて登場する。遅れすぎだよ、遅すぎたんだよ……?


『早すぎたんだ、腐ってやがる。なんてねっ』


 フラッシュバックする光景はもう帰ってこない、私の前で姉は消えた。2度と、もう2度と逢えなくなってしまった。私を支えてくれて、励ましてくれた力強い瞳と声。


 それはもう、この世界には――居ない。


「久遠!!」


「い……一喜憂……?」


 感情の波が、ベクトルを変えた。

――機械仕掛けの神。


 デウス・エクス・マキナ、あるいはデウス・エクス・マキーナ及びデウス・エクス・マキナーと呼ばれる物をご存知でしょうか?


 こんばんは、作者です。


 これは古代ギリシアの劇から来た言葉らしいです、日本語訳は“機械仕掛けの神”といった具合です。


 空飛べちゃう先輩やら幼なじみの幽霊が憑いてる作品で見掛けた方も多いでしょう、あるいはゲームにも時折顔を出すかも知れません。


 で、デウス・エクス・マキナとは何者かと言うと――


『破綻した物語の最後に現れて、展開を無視して強引に事態を収める存在』


――ようはご都合主義的な存在ですが、歴史改編物でもそっくりさんが居たりします。


『歴史の因果率による修正作用や揺り戻しにより、時間旅行者が生んだ矛盾を自然に修正してしまう』


 こんな存在が神として居る訳ではないですが、歴史や世界事態がまるで生き物が如くそれを行うのです。


 実際に《タイムパラドックス》を起こした人がいる訳じゃないですし、居ても私達は気付けなかったりするんでしょうね? 気付かない内に貴方も書き換えられていたりしちゃって……なんて。


 では皆さん、また明日にでも逢いましょう?



PS.数学嫌あ……フラクタルの方が好き、てかこれどんな趣味なのさ。段々とキャラが板についてきた件について。

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