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裸天使にバスタオル、僕には生きる意味を下さい。  作者: にゃんと鳴く狐っ娘
Loop.1【送る言葉は薄荷味】
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Chain Thaumaturgy:壱

 僕は例の理科室に居た、先程まで話していた場所だ。扉の鍵こそ掛かっていないが、だからこそ最新の注意を計らい中に入る。


 さっき移動を始めた僕達は、目前を横切った衝撃波のお陰で戦闘に気付いた。数歩早足なら死んでいたが、そうなればまた夜中に戻るのだろうか?


 僕には分からない、だけど死にたくは無かった。痛いし辛いし苦しいし、そして何よりも寂しい。あのまま意識ごと闇から還れないなんて御免だ、そんなのは2度と味わいたくない。


 チェーンソーの在処は分かる、3番目の薬棚によりかけられていたのは見ている。だから僕は早足気味の忍び足で道を急いだ、張り詰めた静けさが怖かったからだ。


「お、有ったじゃないか」


 そこに居てくれた事に安堵する。桃と白亜のチェーンソーは大人しく鎮座していた、盗まれて居なくて良かったと僕は思う。


 いざ僕はその胴体に手をかける物の、中々上手く持ち上がってくれない。相当な重さだぞ、これ。


 台車か代わりになる物を探してみる。そんな時、ぶつかった棚からバラけたファイルとプリント用紙が落ちてきてしまった。バラバラと紙は枚落ちる、細かく字が綴られた紙は数十枚にも及んでいた。


「あ……」


 視界に飛び込む拙い字。その中には《コペンハーゲン解釈》や《衛星軌道上マスドライバー衛星の可用性及び汎用性》なんかに並んで気になる物が混じっていた、《環北緯圏型量子衝突型加速器》とか《ボトムアップ方式によるナノマシン開発計画における懸念事項一覧》……聞き覚えがある様な気がする。


「何々……? 『ボトムアップ方式でのナノマシン開発には分子乃至原子レベルまでの物質分解とそれを正確に組み立てる技術が必要、トップダウン方式にしろ限界を感じる。こんなの作るより別項の加速器壊して時間旅行の方が有意義かも知れない、回転するブラックホールが出来ればだがな……』か、やはり未来さんの手記か……高校生の字じゃないよなコレ」


 そう言いながら適当に広い集めて戻していく。何やら随分と葉月を連想させられる資料だが、実際に被るイメージも存在した気がする。


「『未来の自分と握手して、過去の自分を殺してみたい。か……我ながらに歪んだロマンティシズムだ。自分殺しのパラドックスの人体実験だなんてな、雷と比べて誰にも分からず消え去ると言うのに……』とか、随分とネガティブだなあの人」


 僕は忘れていた、いや知っていても逃げられなかった。誘惑にしては余りにも高尚なそれは、何故か余りにも煤けていた僕の興味を駆り立てる。


「『《姫九里滸黄泉》と《八千代高千穂》の科学的考証』……これ、姉妹の狐?」


『《姫九里滸黄泉》は肉体に対して遺伝子的変質効果を齎すマターではある。


 詳細は不明だが汗腺からのリン分泌制御機能と外気に接する皮膚への発火及び高熱耐性の付与が見られた。


 猶皮膚片の燃焼実験は失敗、まるで火鼠の皮布だ。皮膚は用意できうる最高火力である2500℃でも焦げなかった、新たな核燃料炉素材にでも出来るんじゃないか?


 続けて肉片や糞尿でも検証したが、結果はあっさり燃えてしまった。新世代耐熱煉瓦が期待され……る訳が無かろうが、提供してくれたくーには感謝している。残りはスタッフがゲフンゲフン。


 この報告書でさえふざける癖は直すべきだと痛感している。反省はしている、だが後悔はしていない。だから消さない。


 後、誰が妹を電力会社なぞに差し出すかバカタレ。


 一方の《八千代高千穂》は帯電作用を持つ。セーター着ると物凄く蓄電が可能だが直流電源にしかならない、よって鼻コンセントは不可能である。安心しろ、冗談だ。


 能力としては任意の放電が可能でさながらピチュウである、ピッピカチュー♪


 体内にトランジスタに類する器官、いわゆる電気袋の存在が考えられたが類する物は見受けられなかった。細胞単位の調査は機器不足な為、MIB監査会に打診する事にする。


 私の皮膚には発火耐性は見られないが、皮膚や肉片には蓄電作用が確認された。糞尿は駄目だったが、公共機関用電源に屋外用発電機6機を加えた電力を始めとする用意可能な電源を総て用いても限界は確認できなかった。化け物か私達は、こんなにも人間してるのに……ね?


 後、先日MIBの皆様に「葬式帰りかぁ?」との軽率な発言は反省している。出来心だったんだ、ネタに走るのをAKIRAめたく無かったんだよ……許してくれれば私は嬉しい』


「……何コレ?」


 いや凄い話だとは思いますよ、思いますけど内容が……にしても、これが本当ならあの姉妹は恐ろしい超能力者じゃないか、耳と尻尾は謎だが。


「……まあ良いや、台車も有るしチェーンソーを乗せようじゃないか。随分とタイムロスがあった気がするが、大丈夫だろうか……?」


 そして僕は棚へと手記を戻した。何故か、思いの外時間が経っていなかった。熱中すると時を忘れる、怖いものだなと僕は再認識した。


 なんとかチェーンソーを台車に積んだ僕は器用に足で扉を開く、そしてガタガタと台車を鳴らして駆けて行く。


『過去に存在した半有機生命体時跳躍個体』


 そんなレポートが零れていたとも知らないで……。

【Chain】

鎖、連鎖

【chain saw】

鎖のこ、チェーンソー

【Thaumaturgy】

魔術師、奇術師


 さてこんばんは作者です、うまい台詞回しが浮かびません。残念さんなら書けるのに不思議。


 今回は一喜憂君の覗き見パートでした、解説も兼ねたファクターですね。伏線にしてはバレバレですけど、ね……?


 ますます葉月さんと四十九院乃々葉さんが立場無いです、ええ残念ながら主人公達しぶといんですよこれが。


 テスト期間なのですが次回予告! ……したいけど少し内容悩んでますので、ぐたりつつありますが次回もよろしくお願いします!!


PS.明日、テストなんだ……私。

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