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裸天使にバスタオル、僕には生きる意味を下さい。  作者: にゃんと鳴く狐っ娘
Loop.1【送る言葉は薄荷味】
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ツタニウムホワイトの少女。Q

「宇宙人?」


「なんとだな、昨晩北極圏でも無しにこの町でオーロラが確認されたらしく、続いて2度の衝撃と不快音が町を襲った。不思議な事に話題にもならず、大人は何も覚えていないし少年達は木偶みたいになっている。モスキートーンにでも似せた広範囲に対する洗脳兵器説が有力だ、地球人に出来る所業じゃなかろうて」


 その話に僕は葉月を思い出す。彼女と出逢った時、彼女がさながら隕石の様な勢いで墜ちて来たのは記憶に新しい。日付でこそ今日ではあるが、僕にとっては1日前の今日である。


 葉月の時は地面が軽く窪んだ事と、同時に物が吹き飛んだ程度だった気がする。久遠の疑いが晴れた今、今まで確認された敵性未来人は七ヶ崎乃々葉と百合香の2人である。


 だとすると、2つの衝撃とは彼女達の事だろうか? 今までの遭遇先が家だったり学校だったり僕が向かう筈の場所だったが、遭遇前を考えた事は無かった。


「そこで我々アーナントカの出番な訳だよ、少年。此処に来る或いは私達と邂逅できた時点で、日常生活を演ずるゾンビ擬きでは無いと分かるからな。仲間が多くて困る事は無かろう?」


「人選には難が有りそうですがね?」


 チラッと友人Aを見遣ると、彼はさも知的なキャラを装い眼鏡を持ち上げる。そんなストレスの源は、またしても眼鏡を直して補足した。


「《アーティフィシャルアトラクタ》ですよ、あねさん」


「そうそれだ。我らがアーティフィカルアトラクタは現在、此処を拠点に活動している。駄眼鏡な友人Aにはその調査を依頼していた、未来ガジェットを与えてな」


「そう、何を隠そうこの眼鏡が未来ガジェット弐号機《黒タイツ追跡眼鏡》だぜ?」


 今度は眼鏡を外し、手首ごとクルリと回して目元に運んだ。もう握力強化が止まらない、これも奴の才能なのか。傍迷惑だ、傍迷惑極まりない不快感だ。


「黒タイツってお前ら……」


 取り敢えず僕はツッコミを入れた。なんかそれが性分な気がする、そうしなきゃいけない気がする。その血を騒がせるこの2人の組み合わせは、いずれ舌を噛みそうで怖い。


「ほ、ほら……そそそそんな如何にも怪しい人物を追い掛けれるのが、こ、このっ、たたたたんてー眼鏡(?)のううう、ウリなんどす!!?」


 慌てた様子の開発者、どうやらタブーなネタらしい。申し訳程度の胸を張りつつ組織を語る雄弁さは、そんなもたつく彼女からは失せていた。


「ちなみに機能は?」


「えっと……視界内の熱源や電磁波をHUD方式で視覚化し観測できる、赤外線スコープや暗視機能もある。後ね、ツマミの調整で感度を弄れる……」


「なあ一喜憂、信じられるか? これ……透視も出来るんだぜ?」


 そして、友人Aは未来へと視線を向ける。そこには未来ガジェット初号機《鋼索アンカーKASUGAI》のガンメタリックカラー版を構える未来さんの姿が有った。


『長さは15メートル、勢いが強いから撃ち込む事も可能だ。余裕で人とか象も殺せる』


 そんな、ある種の狂気のトリガー音と奴のにやけ、奴の身体が空中を舞うのに時など関係無かった。カシューン!! そんな滑空音が部屋に響いた、鈍い音も続いて。


「恥を知れ俗物、この痴れ者があっ!! 3連正射、カートリッジ!!」


「ぐわらばっ!!」


 中々に止まない鈍い音、流石は開発者と言わんばかりの高精度かつ高速な射撃だった。色々とお見せできない図である、何故奴が死なないのかは心底疑問だが。


「お前の罪を数えろ、お前が殺した蟻蝿の数を数えろ!! さあさあさあ、成敗してくれるっ!!」


「ぐはっ、ウボァー!」


「オーラオラオーラオラオラオラオーラオラオラオラオラッ!」


「あばばばばばあばばばばばばば、あばっ!?」


「死に晒せド変態〜っ!!」


「ぬわ――――っっ!」


 ゆらり、立ち上がる修羅。膝立に崩れても猶倒れない友人A、彼に向けてアンカーを定める姿は矢鱈と様になっていた。まあ友人Aの蒔いた種には違いが無いが、流石にあの様を見ると酷になる。


「あばよ……ダチ公」


 カチリ。トリガーが無慈悲な音を鳴らし、弾丸であるアンカーが空気摩擦でフルートを奏でた。それは正しく死の音色、滅びに向かう彼に捧げる音律だった。


「ぐふっ……か、すた……む」


 恐らくアニメなら仏壇の鉦が鳴るであろう瞬間、意味不明な言葉を呟いて友人は沈黙した。彼女が額の汗を拭う中、気まずい静寂を拭い去る様に僕は訊ねた。


「死んでないか、コレ?」


「大丈夫だ、彼は死なない」


「いや、死ぬだろ普通……」


 目前には冗談で済まない血だまりがあった。横たわる友人Aは微かに肩を上下させる程度で、今まで以上に生命の危機を感じさせた。だが未来さんは呟く、唇が微かに震えていた。


「いや、あのだな……あのね? こいつもとい、この子は死ねないんだよ?」


「は……? 神様に恵まれたとか言うオチか?」


「違うよ……彼は、友人Aは『神に嫌われ過ぎて死ねない』んだ。彼には安息すら、許されないんだよ……」


「……嘘、だろ?」


 まあ確かに死なないのが不自然だった、ネタ担当だからと僕も久遠も容赦が無かった。だからと言ってもそれは残酷過ぎる、僕らの仕打ちも大概な訳だが。


「うっそピョーン☆ あいてっ……」


「お前らな……姉さんはまだしも一喜憂、お前くらいは友を庇えよ!!」


 むくりと友人Aが起き上がる、何があったか事無きを得た様なので僕達はいう。見事に2人の声が重なり、


「「自業自得だよね」」


「……そりゃあ無いぜ、お前ら」


 ため息を吐く奴に対し、俺は訊ねてみる。少し億劫になってしまうが、この回復速度はどうみても常人のそれでは無かった。


「で、あの話は本当か?」


「ああ、多分本当なんじゃね? 気付いた時にはケロッてしているしな、特に問題無いだろう?」


「絶対に痛いだろうに……」


「あれで痛くないと思うか? 痛いに決まっているじゃないか、後未来さん」


「なんだ?」


「中には誰も居ませんよ」


「おい止めろ」


 まさか、透視で見えたのが腹の中だったりするのだろうか? 下手すると視界がリアルカラーMRIになると、気付いた僕は幻滅にも似た吐き気を覚えた。


「さて、ところで友人Aよ。宇宙人の調査結果はどうなっているのか?」


「あ……そんな話が有りましたね。どうだったんだ友人A?」


「ん、ああ……」


 頭を掻く友人A、困った様に視線を泳がせて続けた。どうやら収穫は少なかったらしい、だけど僕には何故か嫌な予感がした。


「海と焦土に町が果ててたけど……?」


「は!?」


「いやまあ人が居ない区画にしても学校裏のカルデラは正に隕石衝突後だったし、港脇の辺りは島ひとつ消し飛んでたぞ。ホログラムで誤魔化されてたけどな?」


「よし、決まったな」


「何が?」


「行くぞ、少年」


「何処に?」


「凱旋にだよ馬鹿ヤロー! なんちって」


 要は出掛けるつもりらしい。なんというかアクティブな連中だ、楽しいには楽しいが命狙われてるのに良いのだろうか?


「あ、血生臭いから消臭お願い友人A」


「あいあいさー」


「何ですか、今度のそれは……」


「未来ガジェット拾七号機《ほのかにカヲル君》」


「消臭できてねえ……香ってやがるぜ、コイツ」

 取り敢えず、町壊しときゃあそれっぽいんじゃね?←結論


 どうも、行動範囲の拡大に汗タジタジな作者です。


 またしてもネタ回です、他の皆さんが空気過ぎますね残念ながら。今回までで未来みくるガジェットが大量に登場しましたが元ネタが色々と危ないです、正直言ってギリギリです。


 未来さんの性格上、仕方がないと言えば仕方がないんですけどね!!


PS.試験勉強進みませんorz

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