はてな。
「一喜憂、妹っ!」
「くる姉!!」
走ってくる未来さんへと、久遠が手のひらを広げて腕を伸ばした。呼び交わす2人。
次の瞬間には、2人がきつく抱き締め合う姿がそこにはあった。
頭を寄せてすりすりしながら――身長は似ていないがそっくりな姉妹――双子は、互いに名を呼び合ったりして存在を確かめていた。未来さんに関しては、足が地面から浮き離れているが構わないらしい。些細な事だった、何よりも大切な命がそこには居るから。
「久遠、無事で良かった……」
乙女モードというべきか、素顔や素が全開の未来さんは囁く。自称《歩く残念》、そんな彼女には優しさしかなくなっていた。残念だなんて、そこまで彼女に似合わない気がしてくる光景ではある。
久遠は、少し顔を離してから未来さんと向き合う。未来さんの瞳、赤く眩しいその色を見詰めて久遠は佇む。
「くる姉……お姉ちゃん、信じてたよ。私はずっとね、ずっとずーっと信じていたから」
「私もだ。さあ、行こうか? 感動の再会、それも良いがな? お前の亭主が待ちわびているんだ」
「ちょっとーっ!!!!?」
赤面、鮮やかに久遠の頬が染まった。月明かり、その最中でも分かるほどに真っ赤に。
一目瞭然、明らかに困惑した久遠はぎこちなく喋った。恥ずかしそうに、それでも平静を取り戻そうと必死に。
「わ、私はね!? ま――まだ、そんななな先まで考えていないっていうか、いうか――今の初初しさを大事にしたいって思うの!!」
自爆だ。未来さんが、首だけで此方を振り向いて首を傾げた。
「……だ、そうですよ少年」
「あー……ああ、まあそうだな、そうしようか?」
「え……?」
久遠は沈黙する、そして未来さんがいつものテンションで舌打ちをする。
「ちえっ。砂糖が甘いぜ」
「常に甘いだろう、砂糖はさ!」
「……さあ、どうでしょうね?」
「何を匂わせたいんだ貴女って人は――っ!!」
「んー、『スペースノイドの自治独立』?」
「ジーク・ミクルとか言い難いですから!!」
「よし行こう、滑る前に次に行ってケリを着けよう!!」
「はあー……」
久々のネタトークだった。今思えば、未来ではこの人が義理の姉になるのか。悪くはないが騒がしそうだ、そう思った矢先に白刃が閃く。
姉妹と僕との少しの間隙、そこには一人の少女が現出していた。フード姿、疾風の様な速さで現れ――僕へとナイフを突き付けたまま――此方を睨む少女。
彼女は、フードから覗いた唇を揺らし呟く。
「…………クチナシ」
はい、おはようございます作者です。ああ、もう時間が無くなってしまいました
と、いう事でまた次回、後書きは今度また改まってになりますね!! それでは、また次回にでも、また逢いましょうね!!
P.S.また友人Aとの懐かしい掛け合いを書きたい。




