それは、巡り廻る。
「実の話、ナノマシン自体を開発したのはお父様、一喜憂くん自身ではありませんでした。……敬称がややこしいですね」
やはり、本人もややこしいらしく――そりゃあ、同世代のクラスメイトで両親だから仕方ないのか――とても、釈然としない表情で首を捻っていた。
だから、僕は断る。
「好きに、呼んでくれても構わないんだからな?」
「あ、はい。有り難う御座います一喜憂くん。優しい素敵な人ですのね、私のお父様である貴方は。最初は、どんな人かとやきもきしていましたわ私」
「ああ。それはどうも、有り難う。まあそれで、肝心の続きはどうなんだ……? 乃々葉」
「私、気になります! うっはー! これすっごい懐かしいな!!」
突如乱入して来た過去さん。彼女と俺の顔を眺め、葉月と頷き、乃々葉はまた語り始めた。
「取りあえず。貴方が行っていた事は総て、自身に存在していたナノマシンを解析し、分析して改良をする事から始まりました。やがて、そのうち幾つかが驚くべき機能を保有している事を知ってしまうのです」
「《タイムスリップ》や加重操作、液体操作や発火現象とでも言った所か?」
過去さんが尋ねる、どうやらビンゴらしい。
乃々葉は、部屋にある水道へと近寄り、蛇口を捻って、手のひらへと水を溜めながら答えた。
「そうです。開発者と言っても名ばかり、貴方は頭を捻り、研究者達へと指示を飛ばしていました。私は、それを外から眺めていました。寂しかったわ」
「それじゃあ、ナノマシンは一体何処から生まれてきたんだ? 分からない、始まりが見付からないぞ……コレ」
「そうなのです、始まりも無ければ終わりもない。確か、お父様は時計のパラドックスだとおっしゃったそうなのです」
「巡り廻る、そういう存在になった。そういう事なのか? ナノマシンは」
「ええ。あの、形見の懐中時計の話みたいに、貴方のナノマシンはループをしていました。開発者も使用者も、所有者も貴方自身でした」
「いやまて、僕の体質、“力”は生まれつきの筈だぞ!!」
こんばんは、おはようございます作者です!
最近、細切れの投稿が続いていますが、どうか多目に見ていただけましたら幸いです。
さて、やっと最近になって話が明かされ始めました。おかしな話です、縁と原因、そして結果ががんじがらめな物語なのですから。
この物語が、平穏に終わる事を願って。
さて皆様、今回の更新は以上です。なので、続きは明日になりますが、また明日にでもまた逢いましょう。
では皆さん。さよなら、さよならっ? ※続きます。
P.S.ベースって格好いいね! 最っ高にCOOLだぜ兄貴!!




