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第11話 仲間がいた

更新かなり遅れました。ってか今回の話つまんないです……。

 何が起こったのだろうか。

 目を開ければ、暗い空が広がっている。

 その空に、大きな花火が一つ、光ったのが見えた。



 仰向けになり、杖を手放し、僕は一体どうしたのだろう?

 何故か右腕の肘の部分が痛い。

 あと、右脚にも痛みを感じる。



 ゆっくりと、先程の事を思い出す。



 僕は、ドラゴにフレアを放たせようとしていた。

 そしたら、視界の端に裕貴君が見えたんだ。

 そして……裕貴君が“何か”して、僕もあの人もバランスを崩して……。



 体を起こし、辺りを見回す。

 目の前にはあの人が倒れ、右を向くと裕貴君が倒れていた。

 一瞬、大丈夫か声を掛けようかとも思ったが、裕貴君は息をしていた。

 震え、目を見開いている。

 気を失ってはいない。

 ただ、何か恐怖に駆られているようだった。



 ドラゴはというと、僕の後ろで伸びている。



 これには驚いた。



 何故なら、ドラゴが伸びている状態など、例え一生掛ってもお目にかかれるかかかれないかという、とても貴重な姿だからだ。

 召喚の契約をするには相手を無理矢理にでも従わせる必要があるのだが、このドラゴは契約をする際に従わせたのではなく、情けで契約させてもらったらしい。



 そのドラゴが、伸びている。

 しかし、特に目立った外傷は見られな……


「ん?」


 自分の手の下に、白い欠片。

 それは手に取って見てみると、固く、スベスベしている事がわかった。

 何だろうと考えていると、それが辺りにたくさん散らばっているのが目に入る。



 ――ある一つの可能性が、頭を横切った。



 慌ててドラゴに近付き、顎を掴んで下に引く。

 すると、口がガッポリと開き、中から白い歯の欠片がポロポロと落ちてきた。


「……何したの?」


 仰向けに倒れている裕貴君に問掛けるが、返事は返って来ない。

 ただ、荒い息遣いが聞こえてくるだけだった。



 正直、裕貴君が“何か”したのは分かったのだが、“何を”したのかは分からない。と言うより、見えなかった。

 速く、瞬間的で、その速度に反応する事も出来なかったのだ。

 だから、裕貴君の能力が何なのかは、大体予想がついたとは言え、未だ未知数のままなのである。



 上を見上げる。

 さっき花火だと思った光は、どうやら違うらしい。

 あれは恐らく、僕とこの人の攻撃が上空で爆発したものだろう。

 裕貴君がした“何か”が、僕とこの人の攻撃を上に吹き飛ばしたのだ。



 ――という事は。




「……あちゃー。」


 遠くから、人のざわめきが聞こえる。

 空にあんなにも眩しく光るものが上がれば、当然、人も寄ってくるのだ。

 しかし、普通に考えて、今姿を見られるのはまずい。この世界での動きが取りにくくなる。



 僕は即座にドラゴを帰し、倒れている二人に呼び掛けた。


「おーい、人が来るよー。」


 すると、今まで気絶していたと思っていた危ない人が目を開き、飛び起きる。

 そして、辺りをキョロキョロと見回しながら、僕に話し掛けてきた。


「ひ、人!?」


 性格が元に戻っている……。

 この人は精神が落ち着くと、力が無くなるらしい。

 何故なら、今のこの人の魂の大きさが野球ボール程度しかないからだ。

 二重人格である故に、片方の性格の時は魂の力を使えないのだろう。

 少し、扱い難い人材である。



 それにしても、彼の慌て方が尋常ではない。

 息を荒げ、あちこちを見回している。

 臆病から来るものなのかはわからないが、とりあえずそれを利用する事にした。


「そんなにまずいの?」


 わざと驚いた様に言ってみる。


「だ、だって、見付かったらマスコミとか酷いだろうし、働けなくなっちゃう。働けなくなったらきゅんきゅん☆プリンセスをやる為の電気代とか、稼げなくなって……。」


 僕は、この人をどう言いくるめるかを考え始めた。



 気が弱く、ややどもり気味な危ない人。

 簡単に騙す事も出来るが、脅せばもっと楽か……。頭悪そうだし。

 裕貴君みたいに親がいない訳では無いだろうけど、まぁ、その辺はこの人の中毒性に賭けるかな……。



 この人を仲間にする算段が決まると、僕は口を開いた。


「さっきさぁ、不良の人達がいたよね。」


 彼が頷く。

 僕は話を続けた。


「もしもここから見付からずに逃げられたとしても、あの人達には僕達の顔が知られていると思わない?」


 それを聞いて、彼はハッとする。

 僕は更に言葉を繋いだ。


「実はね、見付からない方法が一つだけあるんだ。」


 フッ、と笑って見せる。

 この言葉に彼は、興味深々で耳を傾けてきた。

 それを見て、僕は口を開く。


「僕は、旅をしていてね。色んな世界をあちこち回っているんだ。でも、旅をする世界はここじゃない。別の世界さ。あの不良達のいない、ね。つまり、僕に着いてくれば見付からないんだよ。……まぁ、着いてくるには君の親とか友達とかも全部捨てて……」


「ほ、他の世界……って?」


「へ?」


 ここで質問が出る事は予想外だったので、僕は一瞬戸惑った。


「ほ、他の世界って……も、もしかして、“ファイナルクエスト”とか、“ドラゴンファンタジー”とか、そ、そういう所に行けるとか、そ、そぅぃぅ……。」


 最後の方で何を言ったのかは分からない。

 しかし、要は“ファンタジーの世界に行けるのか”と聞いているらしい。


(……あんた自身が既にファンタジーでしょ。)


 出かかった言葉を脳内で消す。

 やはり馬鹿だと思いつつ、僕は笑顔で嘘の返答をした。


「そうさ!剣を取り、仲間を集め、魔王を倒す冒険へ。今、素晴らしい旅が始まるんだ!そして僕は、貴方を迎えに来た使者さ。」


 僕は魔王が本当にいるとは思わない。

 だが、僕がこの人を迎えに来たのだけは本当だ。

 それに案の定、この人は話に乗ってくれた。


「ほ、本当に在ったんだ、ファンタジーの世界って……。じゃあ使者さん……じゃない、名前は?あっ、僕の名前は金沢 祥です。」


 先程の慌てた顔とは打って変わった表情で、この人はそんな呑気な事を聞いてくる。(あと、この人……もとい、祥さんが何故最後に敬語を使ったのかは謎だ)。

 僕はいつもなら、こんな切羽詰まった状況の中で自己紹介など応じないのだが、そうなると疑われそうなので、素直に自己紹介をする事にした。


「申し遅れたね勇者様、僕の名はトール・レオナゲート。迎えの使者さ。」


 実は、“トール・レオナゲート”は決して偽名ではない。

 どちらかと言えば、“五十嵐 透”の方が偽名なのだ。

 ただ、偽名を使って疑われるくらいなら、本名がバレても雰囲気を壊さない方が良い。

 何より、恐らくこの世界の人の常識でこの名前を理解する事はできないだろう。


「“トールレオナゲート”?長い名前だなぁ……。トールって縮めて良い?」


(やっぱり……。)


 僕はそう思いながら首を縦に振り、“もちろん”と答えた。


「それはそうとして、貴方にはこれから……」


 その時、ファシーの警告が頭の中に響く。

 ギャラリーがすぐそこまで来ているのだ。



 僕は途中で話すのを止め、地面に大きな魔法陣を描いた。


「……ゴメン、話は後。時間が無いんだ。LV10召喚、“ジャプ”!」



 ――溢れる光。

 青白い、巨大なブヨブヨした皮膚。



 先程のタートと同じくらいの大きさのジャプを召喚する。

 そして僕は裕貴君を無理矢理連れてその背中に乗ってから、祥さんに呼び掛けた。


「乗って!」

「うぅ……。」


 しかし祥さんは近付こうとせず、その場でビクビクと後退りしている。

 この行動を不思議に思った僕は、再度呼び掛けた。


「どうしたの!?乗って!」


「カ、カエル……。」


「へ?」


 この人が呟いた言葉に、僕は呆れた。

 カエルが駄目らしい。



 仕方なく、僕はジャプに命令し、祥さんに舌を巻き付かせる。


「うわっ、ぎゃ」


 叫ぼうとする祥さんの声を残して、僕はジャプにここから離れた場所目掛けてワープさせた。

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