表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/13

第10話 激闘の果てには

 また書き方を変えました。

 祥はタートの落下攻撃を避けた後、直ぐに炎を放った。



 とてつもなく硬そうだが、所詮は亀。動きは遅い筈だ。

 超攻撃力の炎を連射すれば、あっと言う間に終わるだろう。



 しかし遅い筈の巨大亀は、瞬きをした瞬間に消え去った。

 だが、別に標的を見失った訳ではない。

 あの小僧と巨大亀が消える事も、更にその行き先まで、既にある程度の予想はついていた。



 上を向いて、自分の予想が間違っていない事を確認する。

 そして迫ってくる黒い塊を見ると、毎度同じ様に避け、攻撃をするあの小僧に、溜め息が漏れ、段々と腹が立ってきた。


「……同じ事を何回も繰り返されるとよぉ。」


 手を上に向ける。

 そして、その手の中に光の玉を作り出した。


「つまんねぇんだよッ!!」



 ――瞬間、爆音と轟音が混ざり合う。



 再び落下してきた巨大亀に光の玉をぶつけ、凄まじい爆風で斜め上へ吹き飛ばしたのだ。

 それも丁度真ん中にぶつけたのならば、巨大亀はただ真上に吹き飛ばされただけで、俺は今頃そいつの下敷きになっていただろう。


 しかし自分から焦点をずらし、巨大亀を斜め上へ吹き飛ばす事で、それを回避したのだった。

 吹き飛ばされた巨大亀は地面を破壊しながら着地し、黒く焦げた腹を上にしながら必死にもがいている。


 しかし、ここで気を抜いてはいけないとわかっていた。

 ピエロの様に観客の意表を突くあの小僧にとっては、恐らく、ここからが勝負なのだろうから。

 その証拠に、巨大亀を爆撃してから、奴の姿が見えない。

 今までのパターンから言って、どこかに瞬間移動したのは明らかだ。

 そして、その行き先を予想すれば……。


「……そこか!?」


 言いながら、後ろを振り向く。

 しかしそこに奴は居らず、ただ虚しく電柱が立っているだけだった。


「……どこだぁ?」


 予想が出来ない。

 恐らく、どこかに隠れているのだろうが、その先がわからないのだ。



 その時、何か耳障りな音が聞こえている事に気付いた。


(何だ……?)


 俺は、それがとても気になった。

 風を切る様な高い音。しかし、その発信源がわからない。

 つまり、あの小僧が起こしている可能性もある。



 気になり、落ち着かずに辺りを見回す。



 ――と、



「ギエェェェーーッ!!」


 突然、鋭い鳴き声。


「あ゛ぁッ……!?」


 それと共に、背中を激痛が走った。










「残念でしたぁ〜。」


 笑みが溢れる。

 その腹には、青い魔法陣が光っている。

 僕はその魔法陣から召喚したLV3の“バーディス”で空中から急降下し、この人の背中を引き裂いたのだった。



 この人は唸り、振り向こうとする。


「てめッ……うおああぁぁぁッ!!」


 しかし、攻撃の手を緩めない。

 この人が反撃しようとした瞬間、バーディスに命令し、右肩に噛み付かせた。


「ぐおぉぉ、ああぁぁぁッ!!」


 ミシミシと骨の鳴る音がする。

 それに応じて、悲鳴が辺りに響いた。



 ここで、僕はこの人の動きを封じたと思い、一緒に旅に行こうと交渉を試る事にした。


「ねぇ、提案なんだけど」


「がああぁぁぁッ!!」


 しかし僕の言葉を遮り、この人は咆哮を轟かせる。

 そして、右肩にある巨大な嘴を右手で掴んだ。


「お゛ぉい!焼き鳥が食いてぇなぁッ!?」


 後ろを振り向き、バーディスの目を睨む。

 すると、この人の迫力に圧されたのか、バーディスはいきなり嘴を離した。


「バーディス!?」


 自分の召喚獣が命令に背いた事は、僕には一度も無い。

 その所為で、僕は頭の中が真っ白になり、この人がバーディスの嘴を掴んで離さない事にも気付かなかった。










「だあぁぁぁ……!」


 俺はこのデカイ鳥に振り回されながらも、両手で嘴を掴み、手の先に熱を溜める。

 そして熱が溜り切った瞬間、そのエネルギーを一気に解放した。


「燃・え・つ・き・ろッ!!」



 ――瞬間、爆発と炎上。



 巨大鳥は炎に包まれ、その背中に乗っていた小僧は後方に吹き飛ばされた。



 しかし小僧は気を取り戻し、杖で何回も地面を突いて衝撃を緩和しながら着地する。

 それと同時に、杖で突いた地面に魔法陣を張り、新しい召喚獣を召喚した。


「LV3召喚、“ラター”!」


 出てきたのは、あのネズミだった。しかし、あの時のネズミとは違う。



 まず、その大きさが違う。常人の見る限り、それは最早ネズミとは呼べないだろう。まるでバスケットボールの様に大きい。

 しかも背中には無数の棘が生え、ハリネズミと化している。



 そしてその召喚された五匹のネズミは、攻撃の反動で動けない俺の体のあちこちに噛みついた。



 堪らず、俺は悲鳴を上げる。


「ぎゃああぁぁぁ!!ぐ……おおぉぉぉッ!!」


 しかし、噛みついた瞬間に炎を纏ってやる。

 その炎に焼かれ、ネズミ共は小さくキィキィと鳴きながらボタボタと地面に落ちた。


「っ……全く……。厄介な相手に手を出しちゃったなぁ。」


 奴が苦笑する。



 奴の着ている服は焼け、ボロボロだ。先程の爆発で焼けたらしい。

 もちろん、自身へのダメージも少なくはないだろう。


 しかし俺も、かなり傷を負ってしまっている。

 まだ、倒れはしないが。


「そろそろ本気を出さないと……マズイかな?」


 小僧はそう呟くと、未だ腹を上にしてもがいている巨大亀と、未だ炎上を続けているデカイ鳥とネズミとを全て帰す。

 そして一回深呼吸をすると、杖を地面に突き立てた。


「……はぁっ!」


 そして杖に力を込めると、杖を中心に半径5メートルはあろうかという召喚陣が形成される。


「出よLV15召喚!古よりの災い、“ドラゴ”ッ!!」



 ――青い、閃光。



 召喚陣から発せられた、眩い光。

 その光の後に立っていたものは、その場の空気を一変させるものだった。



 ――それは、竜。



 誰でも、絵本ぐらいでは読んだことがあるだろう。



 力強い足と胴体に、巨大な翼。

 手には鋭く長い爪があり、どんな物でも簡単に引き裂いてしまうと言う。

 そして竜の体の中でも最も恐れられているのは、長い首の先にある頭から放たれる、全てを焼き尽す業火。

 体色は様々な色があるが、この竜は灰色だった。



 普通なら、この巨大な竜を見れば誰でも恐怖するだろう。

 しかし、俺はこの竜を見て怯むどころか、笑っていた。


「ヒャハハハハ!良いぜぇ、そう来なくっちゃなぁッ!!」


 そう叫び、左手に光の玉を作り出す。

 そして更に、その上に右手を添え熱を加えて、どんどん大きくしていった。


「こいつは……特別製だぜぇ……!!」


 出来上がった巨大な光の玉を、高々と掲げる。

 それを見ると、小僧も笑った。


「フフッ……死なない程度には、しておいてね……!」


 そう言い、奴が杖を前に突き出す。

 すると、竜が口を開け、光を口の中に集めていった。

 そして、それが丁度俺のものとほぼ同じ大きさになると、奴は光を集めるのを止めさせた。


「僕も、殺さない程度にはしておくからさ……!」










 二人は対峙したまま、暫く睨み合っている。



 この光景を見ていた俺は、焦っていた。

 それは、俺にこの戦いの先が読めたからである。



 何故かはわからない。ただ、なんとなく読めた。



 この後二人は、自分の力をぶつけ合うだろう。

 そしてその結果は……












 ――死だ。



 力の塊は二つとも爆発して、二人はそれに巻き込まれる。

 今止めなければ、二人は永久にこの世を去ってしまうだろう。



 そして、止められるのは俺しかいない。

 この場には俺しかいないのだから。



 ならば、止めるにはどうすればいいのか?



 俺は、辺りを見回した。

 そして、すぐ足下に転がっている先の尖った金属の棒を見付けると、それを手に取り、握る。



 俺に、何が出来るのだろうか?

 下手をすれば、自分も死んでしまうかもしれないのに。



 でも、今はこれに頼るしかない。



 幼い頃、自分の父をも殺した恐るべき力。




 ――そう、ナイトの魂に……。




 見ていると、あの人が走り出した。

 それがこの戦いの終幕。



 幕の下には全員が最後まで立っているのか、それとも一人が残り涙を流すのか。

 そもそも、最終幕の台本などは存在しないのか。



 ――誰に聞いても分かりはしない。



 分からねばこそ、進むのみ。



 ――だから俺は、走り出した。



 雄叫びを上げながら。

 今回変えた部分はかなり多いですが、特に大きな点は、客観から主観に変えた事です。これについて、感想待ってます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ