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第八話 ライブ会場にて

 プリティエンジェルのライブが終わった次の日の朝、仄香は携帯の着信を告げる音で目を覚ました。寝ぼけ眼で携帯のディスプレイを見ると画面には進藤刑事と書いてあった。

仄香は、とりあえず電話に出た。

「もしもし、相澤さんですか? おはようございます。進藤です。昨日あれからすぐに帰られたんですか?」

「はい、あれからすぐに帰りましたよ。それが何か?」

「そうですかぁ~、いや、あれからプリティエンジェルのライブを見に来ていた男性たちが急に何かにとりつかれたみたいにおかしくなりまして……何かご存じかなとおもいまして」

「そうだったんですか? すみません、何にも知らないんです。その後、男性の人達はどうなったんですか?」

「それが……プリティエンジェルが居なくなった途端に皆さん正気に戻ったみたいなんですよ」

「そうなんですか?」

「すみませんねぇ~、朝早くから……また何かあったら連絡下さい。では……」

「分かりました」

そう言って仄香は電話を切った。その電話の一部始終を聞いていたオルトロスが

「やっぱり、あのけったいな三人娘等が怪しいな。早いとこ化けの皮を剥がさねぇとな」

「でも、どうやって? 調べようか?」

「もう一回、昨日みたいなライブに行くってのはどうやろ?」

「やっぱりそうなっちゃうかぁ~、じゃ、チケットの手配しなきゃだね」 仄香は、その日の放課後に男子に交渉しプリティエンジェルのライブチケットを譲ってもらった。

 プリティエンジェルのライブ当日、学校が終了すると足早にライブ会場へと向かった。

ライブ会場に着くとすでに満員になっていた。仄香は、人混みを押し退けてステージの前に行った。

 開演時間の午後六時になるとステージにライトが灯され、ドライアイスの煙が舞った。

ドライアイスの煙が舞っている中、煙の中に三人の人影が出てきた。

ドライアイスの煙が消えるとプリティエンジェルの三人がポーズをとって立っていた。

「みなさ~ん、こんばんはぁ、ココアでぇ~す」 「モカでぇ~す」

「ミルクでぇ~す」

「今日は、私達プリティエンジェルのライブに来てくれてありがとう~、今日はみんなの為に頑張って歌うからヨロシクねぇ~」

と、三人は観客に向けて投げキッスをした。

観客は大歓声を上げ盛り上がりをみせた。

「じゃ、早速新曲ガムシャララ聞いてねぇ~」

軽快な音楽が流れ始め

『ガムガム・シャララ ガムガム・シャララ~ ガムガム・シャララ ガムガムシャララ~

乙女チックに あなたが大好き

ガムガム・シャララ ガムガム・シャララ~

ガムガム・シャララ ガムガムシャララ~

ガムを踏んでも 明日は晴れるわ


愛の鼓動が震える わたしの拳が燃える

この手で掴む勝利は 栄光の絆に変わる

我夢沙羅羅羅 我夢沙羅羅羅

強敵(とも)と競う友情

我夢沙羅羅羅 我夢沙羅羅羅

「ラ」がひとつ多い


ガムガム・シャララ ガムガム・シャララ

泣いちゃう時もあるけど元気 愛に生きるわ

女の子だもん』

三人がそれぞれ決めポーズをとった。

観客からは、大盛り上がりの大歓声が起こる。

その後、一時間にわたりライブが続いた。最後の 曲の前に、プリティエンジェルのココアが

「みんなぁ~、次で最後の曲だよ。みんなぁ、私達と仲良くなりたいぃ」 「もっちろん」

と観客の男性達が相づちを打つ。

その観客達の反応を見てプリティエンジェルの三人は一瞬ニヤッと笑い 「じゃ、みんなは、今日から私達のしもべとして働いてもらうねぇ~。じゃ、最後の曲『あなたはしもべ』聞いてくださぁ~い」

歌い始めたプリティエンジェルの体から黒い霧が出てきた。仄香は

「やっぱり魔族だったの、どうしようか?」

「どうしようかって、魔族だぞ。ボコボコにして倒すだけじゃ」

と、オルトロスはプリティエンジェルに向けて炎を吐いた。

炎は、プリティエンジェルの一人ミルクに当たり 「きゃ、熱いなぁ~、誰? 誰がしたのよ」

と辺りを見回す。仄香が 「どこ見てるの? 私よ、私がやったのよ、あんた達魔族に挨拶したの」 「な……何で、私達が魔族って……? あなたもしかして魔狩り?」

「ご名答、その通り私は魔狩りよ。覚悟してよね、神より与えられし魔狩りの力よ我が右手に宿りたまえ」

仄香の右手が光だした。 プリティエンジェルの三人はライブの時の笑顔ではなく、醜い者をみるように恐ろしい顔つきになっていた。

「もう、怒ったよぅ~魔狩りの分際で私達魔族バンシー様をバカにして、許さないんだからぁ~」 バンシーと名乗ったプリティエンジェルの三人は みるみるうちに本来の姿に変わった。同じ顔の小さな女の子が宙に浮いている。

バンシーは洗脳された観客達に向かって

「あんた達、この生意気な女を捕まえて」

バンシーに指示された観客達は一斉に仄香を囲む 「ちょっと、辞めてよ。みんな正気に戻って。やん、変なとこ触らないでよ」

仄香は取り押さえられてしまった。

バンシーは、取り押さえされ身動き出来なくなった仄香に向かって

「さっすが、私達のしもべだね。言うこと聞いてくれておりこうさん。さて、よくも私達の邪魔をしてくれたわね。じっくりゆっくりいたぶってあげるわ」

バンシーが大きく息を吸い込むと、仄香に向かって一気に大声で

「わぁ~」と言った。すると、衝撃波となり仄香を取り押さえていた観客達もろとも吹き飛んだ。 仄香も吹き飛ばされ勢いよく壁に叩きつけられた。オルトロスが仄香の元に行き

「仄香、大丈夫か? あいつは、衝撃波を出してくるから気をつけろ。シャレにならんぐらい強力だからな」

「オ……オルちゃんそう言うことは早く言ってよ……さすがに痛かった」 「いや、まぁ~すまん」 「もう~」

仄香は立ち上がると、すかさずバンシーのしもべと化した観客達に囲まれた。仄香は、咄嗟にオルトロスの背中に飛び乗りバンシーの元へ向かう。オルトロスが炎を吐いてバンシーの目をくらましている中、仄香はオルトロスから飛び降り、ステージにあったマイクスタンドを掴む。

仄香は、マイクスタンドを振り上げるとバンシーが直ぐ様衝撃波を放ち仄香は再び吹き飛ばされた。

「仄香ぁ~」

と、オルトロスが仄香の元へ行こうした時、バンシーの一人がオルトロスに向かって

「ちょこまかと飛んでうっとうしいなぁ~、あんたも私達のしもべになっちゃえ」

と歌を歌い始めた。オルトロスは

「はん、そんなしょうもない歌声なんかに洗脳なんかされっかよ。なぁ、トロ」

「ええ歌やなぁ~、ワテどうなっても構いまへわぁ~、バンシー様ぁ~」 「こんにゃろぅ~、テメェ洗脳されてんじゃねぇよ」

「あっはは、いい子ねぇ~、じゃ、あそこで倒れている生意気な女を燃やしてちょうだい」

「はぁ~い、燃やしますえ~」

トロの口に炎が溜まると一気に仄香へと吐き出した。炎は燃え上がり炎が消えた時には、仄香の姿形もなかった。バンシーはそれを見て

「あはは、所詮魔狩りの分際で私達魔族にたてつくからこんな目に会うのよ。バカよねぇ~」

と高笑いしている時、後ろからマイクスタンドが振り下ろされ、一人のバンシーが真っ二つになり、黒い霧になり消えた。 「な、何が起こったのよ?」

残ったバンシー二人は辺りを見回すと確かに燃やしたはずの仄香が立っていた。

「ど……どうして?」

「トロちゃんの炎に包まれる瞬間に、ある人に助けられたのよ。助けられた為、私の正体バレちゃったけど、仕方ない。さぁ、あなた達覚悟しなさいよ」

「ふん、また、衝撃波で吹き飛ばしてあげるわ」 と、バンシーが息を吸い込んだ瞬間、仄香はマイクスタンドをバンシー目掛け突き刺した。マイクスタンドは、バンシーの身体を貫通していた。

「う……うぅ、こんな女に負けるなんて……悔しいぃ……」

仄香は、マイクスタンドを抜き取るとバンシーの身体から血が大量に吹き出して、そのまま倒れて黒い霧になり消えた。

「さてと、後一人だね」仄香は、じわりじわりと最後ね一人のバンシーに近づいていった。

「いや、来ないで、私達が悪かったわ、許してぇ~」

「何? 泣き落としなんてきかないわよ。あんた達魔族に恨みはないけど魔族はほっとけないの。残念だけど、消させてもらうはさよなら」

仄香は、怯えているバンシーに向けてマイクスタンドを突き刺す。見事に身体を貫通し、バンシーの

「きゃぁ~」

と言う悲鳴にも耳をかさずすぐに、マイクスタンドを抜き出す。バンシーの身体からは大量の血が吹き出して仄香の顔にかえり血を浴びた。仄香は、顔に浴びた血をペロッとひと舐めしたあとバンシーに向けマイクスタンドを上から振り下ろした。バンシーは、最初の一撃でぐったりしている中振り下ろされたマイクスタンドに当たり真っ二つになり黒い霧になり消えた。

「やっと、終わったよ。最初はどうなる事かと思ったよ。とりあえず倒せてよかったよ」

「仄香、お前人が変わったみたいだったぞ。それはそうとお前、トロの炎の時どうやって交わしたんだ。お前、動けなかっただろ」

「うん、実はね。あの時もうヤバいって思ったよ。そしたら、あの進藤刑事さんが私を助けてくれてね。私の正体バレちゃったよ」

「何ぃ~、あの刑事いやがったのか?」

「うん、隠れて一部始終見てたみたい。あっ、トロちゃんは大丈夫?」

「ああ、コイツ今は寝てるけど大丈夫だ。気にするな」

「そっか、よかった」

「よし、魔族も片付けたし帰るか」

「ちょっと待って、進藤刑事に助けてもらったお礼しなきゃ」

仄香は、ライブ会場の外にいた進藤のところに向かった。進藤の元に着き 「刑事さん、さっきはありがとうございました。助かりました」

「いえいえ、まさか、仄香さんが魔族ってものと闘ってるなんて思いもしませんでしたよ。だから、事件現場でよく会う訳だったんですね」

「はい、隠しててすいません」

「いや、いいんですよ。何か、人事じゃありませんし、私も仄香さんに協力させてもらいますよ」 「でも、危険ですよ」

「女の子が危ない目になってるのはほっとけませんし」

「そうですか、ありがとうございます。じゃ、進藤さんに紹介しなきゃ」 「何をですか?」

「オルちゃんトロちゃんいいよね? 姿見せてあげて」

「ちっ、しゃぁねぇなぁ~」

と、声がした方を進藤が向くと見た事がない獣の姿があった。

進藤は、一瞬言葉を失ったがオルトロスに近づき 「仄香さん、メッチャ可愛いじゃないですかぁ~僕は、犬大好きなんですよ」

「でしょう。オルちゃんトロちゃん可愛いんですよ」

進藤は、オルトロスの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。トロは撫でられてうっとりしているが、オルは 「やめろぅ~、仄香はともかく、男に撫でられるのは虫酸がはしる」

「ええやん。気持ちええですやん」

「ったく、お前はぁ~」

一方、その頃一人の少女が仄香達の街に現れた。 「やっと、着きましたわぁ~、ここに私のライバルの魔狩りがいるのね。早く会いたいですわぁ~どっちが上か証明して差し上げますわよ~。おっほっほ」


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