第五話 深夜の出来事
オークを倒してから数日がすぎてから進藤刑事から仄香へ連絡が入った。
「相澤さんですか? どうも進藤です。ちょっとお話があるのでこちらが指定したお店に来ていただけまんか?」
「刑事さん? 今からですか? 分かりました」 仄香は、進藤が指定した喫茶店に向かった。
喫茶店に着いた仄香は中に入るとすでに進藤は来ていてコーヒーを飲んでいた。
進藤のところに行くと
「相澤さん、突然すいません呼び出したりして」 「いえ、それはいいんですけど……何のお話なんでしょうか?」
「まぁ、とりあえず何か飲みながらにしましょう。ここは、私が出しますから」
「はぁ、じゃ、オレンジジュースで……」
進藤が、店員を呼び仄香のオレンジジュースを注文した。
仄香は、注文したオレンジジュースを飲みながら 「で、刑事さんお話って何ですか?」
「お話というのは、この前の失踪事件の事についてなんですけどね、相澤さんの学校に行ってた教育実習生が事件後、いなくなったというのは本当なんですか?」
「そうみたいですね……何故か急に来なくなったみたいで……」
「相澤さんなら何かご存知かと思ったのですが」 「すみません、お役にたてなくて、私は本当に知らないんですよ」
「そうですかぁ、分かりました。あともう一つ、最近、深夜になると切り裂き魔がでるらしいので気をつけてくださいね」「切り裂き魔ですか? 分かりました。気をつけますね」
仄香は席を立ち進藤にペコリと頭を下げて喫茶店を出た。
喫茶店を出てから仄香は 「ねぇ、オルちゃんトロちゃんさっきの進藤刑事の話どう思う?」
「せやなぁ~、切り裂き魔の事やろ、気にはなりますなぁ~」
「とりあえず調べてみようや。もしかすると魔族のヤローの仕業かもしれんしな」
「調べるって事は、深夜 だよね?」
「そりゃぁ、そうだろ。深夜に切り裂き魔が現れるんだしな」
「分かったよ、魔族の可能性もあるし調べなきゃね」
仄香達は、切り裂き魔の情報を集める為、深夜零時を過ぎてから繁華街などを調べて回る事にした。
深夜零時になり、仄香はオルトロスと夜の街に出た。
「街って行っても広いよね? 何処ら辺で事件が起こってるのかな?」
「さぁなぁ~、手当たり次第に捜すしかないだろうな」
「そうだよね、じゃ、まずは駅前に行ってみようかな」
駅前に着いた仄香達は最終電車から降りて来たサラリーマンの人がたくさんいる中駅前を歩いてみたが何も起こる気配はなかった。
「駅前は何もなかったね。今日は、この辺にしようよ。オルちゃんトロちゃん」
「そうやなぁ~、このまま捜したら朝になってまうからなぁ。また、明日捜しましょうかぁ~」
「うん。これ以上犠牲者が出なきゃいんだけど」 次の日の深夜も仄香達は、調べに街に行き
「仄香はん、今日はどの辺を捜しますかぁ~」
「じゃ、今日は繁華街の方を捜してみるかな」
仄香達は繁華街へと向かった。繁華街では、仕事を終えたサラリーマンの人達がたくさん行き来していた。
そんな中を仄香達は歩いていた。
しばらく繁華街の中を歩いていると、酔っ払ったおじさんが仄香に近づいてきた。
「お嬢ちゃん、一人でこんな時間に何してるんだい」
仄香は、嫌な顔をして
「別に、何も。おじさんには関係ない事ですから。失礼します」
と、酔っ払いのおじさんから離れようとすると、酔っ払いのおじさんが
「お嬢ちゃんみたいな可愛い娘がこんな時間一人で出歩くのは一つだけだろぅ。おじさんが相手してあげるから行こうよ」 と、強引に仄香の手を掴んだ。
仄香は咄嗟に酔っ払いの足を踏み手を振り払って 「いい加減にしてください。私は、そんなんじゃありませんから」
酔っ払いは、仄香に踏まれた足を擦りながら
「人が下手に出てりゃ、調子にのりやがって、こっちは、無理矢理する事も出来るんだぞ」
「ふん、やれるもんならやってみなさいよ。あんたみたいな酔っ払いなんて興味ないわ」
「この野郎」
と、酔っ払いが仄香の胸ぐらを掴み殴りかかろうとした時に、突然仄香の後ろから酔っ払い目掛けて炎が降りかかった。
炎が、酔っ払いの体すれすれを通過した瞬間酔っ払いが腰を抜かし
「ひぃぃ~」
と、情けない悲鳴をあげながら逃げて行った。
「仄香はん、大丈夫でっか」
「うん。大丈夫だよ。ありがとう。オルちゃんトロちゃん」
「にしても、仄香も言う時には言うじゃないか」「だって、私酔っ払いとか大嫌いだもん。だから早く調べて違うところに行こうよ」
「じゃな、早く調べて帰ろうや」
再び、繁華街の中を調べて回っている時に、何処からか
「きゃ~、誰かぁ、助けてぇ~」
と、女の人の声が響いた。仄香達は、その悲鳴のした方へ向かうと、女の人がうずくまり左腕を押さえて震えていた。
「どうしたんですか? 大丈夫ですか?」
「あ……歩いてたら急に襲われて……」
「どんな人でした?」
「それが、真っ暗で……何が何やら分からなくて……」
「そうですか? ちょっと腕見せてください」
仄香は、女の人の左腕を見た。女の人の腕には、人間に傷つけられたような傷ではなく、違う生き物に傷つけられたような切り傷があった。
切り傷からは、血がだらだらと流れていて仄香は 、持っていたハンカチを女の人の切り傷に当てた。
「これで、血が止まればいいんですけど。最近、切り裂き魔が出るらしいんで気をつけてくださいね」
「あ……ありがとうございます」
仄香は、女の人を立たせ見送った。
見送った後、仄香は
「あの傷、魔族の仕業だよね?」
「じゃな、間違いない。この近くにいやがるぞ」 「早く見つけて退治しなきゃ。オルちゃんトロちゃん魔族の気配感じる?」
「少しやけど感じますよ。この近くにいるのは間違いあらへん」
「そっか、じゃ、もう少し捜してみよう」
仄香達は、繁華街の奥の裏道に出た。
すると、そこには女の人のように傷つけられた人や、切り刻まれて命を絶たれた人がいた。
「ひ……ひどい」
「仄香! 気をつけろ。近くにいるぞ。気配が強い」
オルトロスに言われ仄香が身構えると、裏道の反対側から小学生ぐらいの男の子が歩いてきた。




