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第三話 オルトロスの特訓

 仄香が、ゴブリンを倒して、数日後無事に仄香は退院した。仄香の横にはあの日以来オルトロスがいる。仄香は、犬の頭が二つ付いている生き物に周りの人みんな驚かないのか不安だった。

「ねぇ、オルちゃんとトロちゃんって目立つじゃない、みんな驚かないよね。どうしてなの?」

「それはやなぁ~、ワテらの姿は、魔狩りの仄香はんにしか見えへんのや。ワテらは、魔狩りの守護獣さかいに普通の人間には見えへんで」

「そうなんだ、二人とも可愛いのにねぇ~」

と、仄香はオルトロスの頭を撫でた。

「てめえ、頭を撫でんじゃねぇよ。ワシは撫でられるのは好かんのじゃ」 「ええやんかぁ~、ワテは好きやで。気持ちええやん」

「しゃ、しゃーねえな。でも、あんま撫でんなよ。仄香」

「えぇ~、可愛いのに、撫でたいよ。それよりもオルちゃんトロちゃん学校まで着いてくるの?」 「そりゃ、そうだろ。いつ、魔族の奴らに狙われるか分かんねぇんだ。それに、ワシらが近くにいれば魔族の気配を感じられるしな。仄香の邪魔はしねぇから気にすんな」 「そっか、いつ現れるか分からないんだもんね。よろしくね、オルちゃん、トロちゃん」

仄香は、一ヶ月ぶりに学校の校門をくぐった。

教室に入った仄香は、すぐさまクラスメイト達からの質問攻めにあった。 「仄香、もう大丈夫なの? 重症だったんでしょ」

「うん。もう大丈夫だから。心配かけてごめんね」

仄香の周りにクラスメイトが集まり会話に花がさいた。それを見ていたオルトロスが

「いや、人間ってよく喋るんやなぁ~」

「くだらねぇ話ばっかしやがってバカじゃねえのか。まったくよ」

「ええやんかぁ~、仄香はんも楽しそうに話してるんやさかい」

と、仄香の顔を見ながら言った。

仄香は一通りクラスメイトを相手にして、チャイムが鳴るを待った。

しばらくすると、授業が始まるチャイムが鳴った。クラスメイト達はチャイムの音に合わせて自分達の席に着いた。仄香は、やっと解放され安堵の溜め息をついた。

少し禿げ上がった島崎先生の授業が始まる。

お経のようにブツブツと教科書を読み上げていく。クラスメイトの数名は、先生のお経に負けて夢の世界へ行ってしまっていた。

仄香も、さすがにウトウトしたが、何とか島崎先生のお経に耐え抜いた。 その後の授業も睡魔と戦いながら授業を終えて、 家路に着いた。

学校から帰る途中にオルトロスが

「仄香はん、いつ魔族が襲ってくるか分からへんから、特訓でもしまへんかぁ?」

「特訓って? 例えばどんな?」

「仄香はんは、まだ魔狩りの力の引きだし方を掴んでまへんやろ」

「う……うん、いまいち分かってないかな?」

「情けねぇなぁ~、そんなんじゃ、いつ魔族に襲われてもワシ等も庇えきれんぞ」

「せやから、特訓するんですわ。早く魔狩りの力を自由に引き出せるようになってもらわんと」

「分かってるよ。でも、何処で特訓するの?」

「せやなぁ~、じゃ、ワテ等の背中に乗りなはれ。人気のないとこでしましょうかぁ」

と、言われ仄香はオルトロスの背中に乗った。

オルトロスは背中に生えている蝙蝠のような羽根をばたつかせ勢いよく飛び上がるとそのまま空を走るように飛び出した。 しばらくの間、空中遊泳を楽しんでから人気のない工場跡地を見つけて

「ここなら誰もいまへんやろ」

と、工場跡地に降りた。 「ほな、始めましょうかぁ~」

「えっ、何を? どうやって?」

「魔狩りの力を引き出す特訓だろうが、さっさとするぞ」

と、言った瞬間にオルトロスが炎を仄香目掛けと放った。

仄香は、突然の事にびっくりしてしゃがんだが、間髪いれずオルトロスは再び炎を放った。

「ちょ、ちょっと待ってよ。私、魔狩りの力の引きだしかたも分からないのに……どうしたらいいのよ」

「せやったなぁ~、えらいすいません。じゃ、教えますわぁ。右手を前に出して右手に意識を集中させてみて下さいな」

「うん、やってみるよ」 仄香は、言われた通り右手を前に出して右手に意識を集中させた。

「では、意識を集中させたら次に、神から与えられし魔狩りの力よ我が右手に宿りたまえと、唱えて下さい」

「えっと、魔狩りの力よ我が右手に宿りたまえ」 仄香は唱えてみたが何も起こらなかった。

「何も起こらないよ」

「まぁ、最初は仕方ないかもしれませんなぁ。ですから、ワイ等が仄香はん目掛け炎を放ちますさかいに、避けながらもう一度やって見てくださいな」

「えぇ~、無理だよ」

「つべこべ言ってねぇでさっさとやってみろや。当たったら火傷じゃすまないからなぁ~、必死でやらないと死ぬぞ」

「そんな事言われたって、やっと退院したばかりなのに」

「うるせぇ~、ほらいくぞ」

と、炎を放った。

仄香の目の前に炎が迫ってくる。仄香は慌てて炎を避けた。

間髪いれずすぐさま炎が迫ってくる。仄香は、炎に当たらないよう必死で走り炎を避ける。

そんな状況が続き、仄香が息を切らし立ち止まった。オルトロスは、そんな仄香に情けをかけず炎を放った。

一歩も動けない仄香に迫る。仄香は、

「もうダメ。このままじゃ死んじゃう」

と、右手を前に出し意識を集中させて

「お願い! 魔狩りの力よ我が右手に宿りたまえ」

と、叫んだ。

すると、仄香の右手が光だし、オルトロスの炎を 右手で跳ね返した。

「で、出来た……」

仄香はその場に座り込み安堵の溜め息をついた。 オルトロスは、仄香の元に降り立ち

「仄香はん、出来たやないですかぁ~。今の感覚を忘れないでください」 「う、うん。分かった」「やれやれだな。全く世話を焼かせやがって」

「ごめんね、オルちゃん。私、頑張るから」

と、頭を撫でた。

「あ~、頭を撫でんな。うっとうしい。とにかくこれからは、ちょくちょく特訓するから覚悟しとけよ」

「うん」

「ほな、今日はこの辺にして帰りましょうかぁ」 仄香達は、工場跡地から帰ろうとオルトロスの背中に乗り家に帰った。


 次の日、仄香はオルトロスを連れて学校に行き教室に入るとオルトロスが仄香に

「仄香、気をつけろ。少しだが、魔族の気配がする」

「え、何処?」

「分からねぇ~、だが、学校に来た時から僅かに感じるんだ。ワシ等少し調べてくる」

と、オルトロスは仄香の元を離れた。

チャイムが鳴り、全体集会の為体育館に移動して、校長先生の長い話を聞いたあとに、教育実習生が紹介された。

「皆さん、おはようございます。今日からこの学校でお世話になります。田島宗助といいます。よろしくお願いします」

宗助は、仄香のクラスの担当になった。

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