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第十五話 魔王復活

 トールを倒した仄香は、気が狂ったかのように笑い続けていた。次第にトールを覆っていた黒い霧が仄香を包む。

オルトロスが仄香に近づき

「仄香! お前何やってんだ!」

と、オルが仄香に叫ぶも仄香には聞こえてなかった。

「仄香! 正気に戻って早くこっちに来い」

オルは必死に叫ぶも駄目だった。

見兼ねたオルは、仄香の元へ行こうとするも、それをトロが止めた。

「まぁ、待ちや! オルはん」

「トロ、お前何で止めるんだ」

「オルはん、今仄香はんは変わろうとしてるんやで、オルはんは、ワテ等の本来の目的を忘れてしもうたんか?」

「忘れてはいねぇよ。ただ」

「もう、手遅れやで……もっと早く止めるべきやったんと違う?」

オルトロスが口論している最中、仄香を包み込んでいる黒い霧が段々大きくなり、仄香の身体に吸収された。黒い霧を吸収した仄香は、まるで別人のように真っ赤な瞳をしていた。

オルトロスは、仄香の元に行き

「仄香だよな?」

と、オルトロスは仄香の顔を覗き込む。すると、仄香が

「ふっ、ふははは、我はもうお前達の知る仄香ではないわ。我は、ようやく目覚めたのだ。この日を待ちわびていた」

と、赤い瞳を光らせながら言った。オルトロスは 「そんな……いくらなんでも早すぎだろ……」

「仄香はんに素質があったって事やろ。実際、仄香はんは、魔王の血族なんやからな……」

「そうじゃけど……最初は、早く次期魔王にならす為に傍にいたが、仄香が段々強くなって行くに連れて正義の心も強くなってたからな……魔王の力に目覚めさせたくなかった……」

オルトロスが悔やんでいると、

「貴様等何をブツブツ言っている。我は目覚めたのだ! もっと喜べ」

「くそ~、素直に喜べるかよ! こうなりゃ、破れかぶれだ」

と、オルトロスは仄香に向けて炎を吐いた。

すると、仄香は

「ふははは! バカ共め! そんな炎が、魔王の我に効く訳がなかろう。愚かな」

と、オルトロスの放った炎を手で弾き返した。

「どないするんや、オルはん! 魔王化した仄香はんは、半端やなく強いで……」

「ああ、分かってる!」 オルトロスは大きく吸い込み一気に炎を吐き、炎柱を放った。

「フレアランスじゃ、食らえ~」

フレアランスは仄香へと向かう。しかし、

「まだ、分からないようだな! 我にそのような攻撃は効かぬ!」

仄香、いや魔王はそう言うと、力を溜め始め魔王の身体の周りに黒い霧が現れた。オルトロスの放ったフレアランスは、黒い霧に当たり爆発した。 「ふっ、ふはははは~、効かぬと言っただろう。にしても、貴様等は、我の僕であろう。我に歯向かうとは許しがたい」

と、魔王はオルトロスに向けて手を伸ばすと、黒い霧が勢いよくオルトロスを包んだ。

「貴様等にもう一度チャンスを与えてやる。我に従うか、従わぬ場合は死んでもらうだけだがな」 オルトロスは、黒い霧に包まれた中で、

「外見は仄香でも、内面は魔王……くそ~、仕方ねぇなぁ~、ワシ等は仄香の守護獣だ。いいな! トロ」

「ワテはいいですよ」

「貴様等、答えは出たのか?」

「魔王……いや、魔王様! 私達はあなたの僕です。何なりとご命令下さい」

と、オルトロスは魔王に頭を下げた。

「うむ、それでよい。では、手始めにこの地を混沌に変えてやろう」


 一方、沙耶華と進藤は 遠くで仄香の姿を見てから落胆していた。

進藤が溜め息をつき

「とうとう変わってしまったな……仄香さん……私は君を信じていたのに……」

と呟いた。それを聞いた沙耶華が

「魔王が復活してしまいましたわ……私がもっとしっかり仄香さんを見てれば……で、進藤さんは何者なのですか? 仄香さんに渡したグングニルもそうですが、一体あなたは?」

質問に対して進藤が

「仄香さんがああなってしまった以上、隠しても仕方ないですね……私はオーディーンの末裔なのです。ですから、グングニルは代々伝わる家宝なんです」

「オーディーン様の末裔だったのですか?」

「はい、そういう沙耶華さんも、ただの魔狩りではないのでしょ?」

「私は、ワルキューレ一族の末裔ですの。私は、初めて仄香さんに会った時から分かってましたの。仄香さんが魔王の末裔だと……ですから、仄香さんを魔王にさせないように近づいたんです」

「そうだったんですか? 私も何ですよ。仄香さんを初めて見た時に、胸騒ぎがして、その後仄香さんを調べていたら魔王の末裔と分かりました。 私は、オーディーンの末裔として、魔王の復活は阻止しなければと思ってたんですが……甘かったですね……」

「そうですわね。でも、私達が何とかしないと、この世が混沌と化してしまいますわ」

「ですね、出来れば仄香さんが元に戻ってくれればいいんですけど……いざとなれば……」

と、進藤は拳を握りしめた。

「キマちゃん、イラちゃん準備は宜しいですか? これが、最後の戦いかもしれませんから気を引き締めていきますわよ」 と、沙耶華はキマイラに視線を送り言った。

「フッ、僕達はいつでもいけるよ」

「やってやるニャ」

と、沙耶華に言った。

進藤が、

「多分ですが……オルちゃんトロちゃんは、今は魔王の守護獣になってるでしょう……沙耶華さん、オルちゃんトロちゃんの相手をして押さえてて下さい。その間に私が魔王を討ちます」

「分かりましたわ。オルちゃんトロちゃんは任せて下さい。やってみますわ」

と、沙耶華は頷いた。

「では、行きましょうか! 最後の戦いに!」

進藤はそう沙耶華達に告げ、キマイラの背中に乗って、

「私のこの手で仄香さんを救わなければ……私に出来るでしょうか、オーディーン様……」

と、進藤は目を瞑り天に祈った。

そして、これから始まる戦いの場、魔王と化した仄香の元へと向かった。

 その頃、オルトロスは、魔王に、

「オルトロス、我に忠誠を誓う為に力を与えてやろう。ありがたく思え」 と、魔王は両手でオルトロスの頭を掴んで力こめた。すると、魔王の身体から黒い霧が現れ、オルトロスの頭に黒い霧が流れこむ。

その時、オルトロスの頭の中に仄香との楽しい記憶が走馬灯のように流れたが闇に消えオルトロスは気を失った。

暫くして、オルトロスは目を覚ましたが、眼光鋭く赤く光って凶暴化していた。

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