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第十話 魔狩り勝負

 沙耶華から魔狩りの勝負を言われてからすでに、一週間が過ぎていた。 「無理矢理勝負押し付けられちゃったけど、全然魔族が現れないね……」 「全くだな、魔族が現れないのはいい事なんだが、いざ現れなくなるとつまらん」

「ホンマですわぁ~、あちらさんも魔族捜しで苦労してはりますなぁ~」 「あはは、お互い様だね……私達も苦労してるんだし」

「ほな、いつものように辺りを捜索してから特訓しましょうかぁ~」

「だね! 分かったよ」

 一方、沙耶華達は、

「キマちゃん、イラちゃん早く魔族を捜して来てちょうだい。このままだと私が負けてしまうではありませんか」

「そんな事言われても……なかなか見つからないニャ」

「フッ、沙耶華も人が悪い、こんなに捜していないのだから、向こうも見つかっていないはずさ」 「それならいいのですけど。どちらにせよ、私は勝たないといけませんのよ。私に負けと言う言葉は似合いませんわ」

「さすが、負けず嫌いだニャ。でも、どうやって魔族を捜すニャ。手掛かり何一つないニャ~」

「フッ、キマくんは相変わらず頭を使わないなぁ~、僕にいい考えがあるから任せてもらおうか」「いい考えかニャ? 何だか少し不安だけど……大丈夫かニャ」

「フッ、大丈夫に決まっているじゃないか」

「沙耶華~、イラっちがいい考えがあるらしいからもうすぐ魔族が見つかるニャ」

「それは、本当ですね。では、早速イラちゃんよろしくおねがいしますわ。相澤仄香あなたが地べたに這いつくばるのは時間の問題ですわよ~。お~ほっほ~」

「では、あっちの様子見に行こうか。キマくん」 そうして、キマイラは仄香達の動向を探るべく仄香達の元へ行った。


 その頃、仄香達は毎日の特訓をしていた。

「オルちゃんトロちゃん今日は、これで終わりにしない?」

「何だ? 仄香? もう止めるのか?」

「もう少し魔族捜ししたいし……」

「そっかぁ、ほな魔族捜ししましょかぁ~。てか、その前に進藤はんのドックフード食べさせてぇ~な」

「あっ、コラッ! トロてめぇ~、またそんなしょうもない食い物食べんじゃねぇよ」

「ええやん、これホンマ旨いんや。ワテ大好物になってしもた」

「いつもすいません。進藤さん。オルちゃんトロちゃんのご飯を持って来てもらって……」

「いやいや、いいんですよ。私も何かお役に立たないといけませんし。これぐらいの事しか出来ませんが」

「いえ、全然助かってますよ。ね、トロちゃん」 「ホンマやで、いつもありがとうな。進藤はん」 「全く、ワシの相方は何でこんなお惚けなんじゃ? それはそうと進藤! 何か最近変な事件とか起きてねぇのか?」

「そうですよ。私も進藤さんに聞こうと思ってました」

「最近ですかぁ~、そうですねぇ~、ここ何日か前からドッぺルゲンガー事件がありますが……」 「ドッぺルゲンガー事件とはまた怪しい事件じゃないか」

「そうなんですよ。被害者皆さんが、自分と同じ顔の人に殺されかけたとか、殴られたとか、被害届が多数ありますね」

「そうなんですかぁ~、何か薄気味悪い事件ですね……オルちゃんトロちゃん、どうしよう? この事件調べてみる?」

「そやね、怪しいみたいやし、調べてみますかぁ~」

「で、どの辺りで事件があったんだ」

「えっとですねぇ~、駅前通りです」

「また人が多いところで事件起こったんですね」 「人が多いからこその犯行って感じですかね」

「じゃ、駅前通りに行ってみよ、オルちゃんトロちゃん」

「ほな、行きましょう」仄香は、オルトロスの背中に乗り、事件があったと言う駅前通りに向かった。

「イラっちの読みがあたったニャ」

「フッ、どうだい、キマくん。少しは見直したかな? では、沙耶華に報告して僕達も駅前通りに行こうか」


 仄香達は、駅前通りについて進藤が言っていた事件、ドッペルゲンガー事件を調べ始めた。

「ホントにいるのかなぁ~」

「捜してみん事には何も分からんじゃろ」

仄香達は駅前通りをひたすら歩いて回ってみた。しかし、何も進展がなく諦めて帰ろうとした時に仄香の前を一人の見覚えのある人が通り過ぎた。「えっ、あの娘って……プリティエンジェルのモカちゃんだよね……?」 「んなバカな、あいつ等は倒したはずだぞ」

「いや、でも確かにいたよ。ちょっと後つけてみようか」

仄香達は、見覚えのあるモカの後を追った。

しばらく行くと、モカの姿を見失ってしまったが、またしても知っている人がいた。仄香のクラスに来た教育実習生の田島だった。

「た……田島先生まで……私達ちゃんと倒したはずだよね」

「当たり前だ。倒したに決まってんだろ。いや、まてよ、これは魔族の仕業だな! 自由自在に姿を変えられる魔族、もしかして……」

オルは、田島に向けて炎を吐き出した。炎は田島に直撃し、田島の身体は炎に包まれたが悲鳴を上げる事はなかった。

「やはりな、仄香! コイツは魔族だ」

「そうみたいだね、魔族なら倒さなきゃ。神より与えられし魔狩りの力よ我が右手に宿りたまえ」 仄香の右手が光だし、道に落ちていた石を田島に向けて投げた。すると田島の身体がまるで溶けるようにトロトロの液状になり、直ぐ様違う人物に化けた。

「今度は、プリティエンジェルのココアちゃんになったよ」

「気にするな、早く倒すぞ」

「待って、人気の少ないとこじゃないと……犠牲者がでちゃうよ」

「ちっ、しょうがねぇなぁ~、じゃ、人気のないとこへコイツを追い込むぞ」

「ほな、行きますよ~」 オルトロスは交互に炎を吐き出して、ココアに化けた魔族を駅の裏通りへ追い詰めた。

仄香は、裏通りに落ちてあった傘を持って魔族と対峙した。

 その時、後ろから呪文を唱える声が聞こえた。 沙耶華だった。

「フレアアロー」

沙耶華が唱えると沙耶華の前に炎の矢が三本出現し、仄香達の前にいる魔族目掛け炎の矢が飛んでいった。炎の矢は、見事に魔族にあたって辺り一面煙がまった。

「おっほっほ。私を出し抜こうとしても無駄ですわよ。相澤仄香。残念でしたわね。折角あなたが見つけた魔族をこの私が倒してしまって、おっ~ほっほ」

「綾瀬川さん……」

「仄香はん、待ってや、まだ終わりやありまへんで」

「えっ」

仄香は、魔族の方を向くと魔族の姿は、またしても液状になってそのまま沙耶華達のいる方へ進んでいた。沙耶華達は気づいておらず、まだ高笑いをあげていた。液状になった魔族は、沙耶華の足元まで近づいていた。

仄香は、咄嗟に

「綾瀬川さん危ない」

と叫んだと同時に魔族は別の姿に変わり沙耶華に向けて手を振り下ろした。仄香は、素早く魔族の後ろまで走ると持っていた傘で突き刺した。一瞬魔族が怯んでいるうちに沙耶華の元に行った。

「相澤仄香、私は別に助けて欲しいなんて言ってませんわよ。全く、余計な事を……」

「今は、そんな事言ってる場合じゃないでしょ。早く倒さなきゃ。オルちゃんトロちゃんこの魔族は何なの? 液状になったりして」

「コイツは、スライムだ。コイツは何にでも姿形を変えられるんだ」

「スライムかぁ~、厄介そうだね。どうしよう? オルちゃんトロちゃんの炎は効かなかったし……」

「何言ってますの? 炎が効かないんじゃ、逆の氷ならいいんですのよ。キマちゃん、イラちゃん宜しくて」

「いつでもいいニャ」

「フッ、やっと僕の出番がきたかい」

「では、やっておしまいなさいな」

沙耶華に言われキマイラは同時にスライム目掛け凍てつく氷の吹雪を吐いた。

スライムは氷の吹雪の直撃を受け氷づけになった。仄香はすかさず、氷づけになったスライムに持っていた傘を振り上げて 「あなたに恨みはないけど魔族は許せないの。残念だけど消させてもらうわ。さよなら」

仄香は力いっぱい傘を振り下ろした。氷づけになっていたスライムは真っ二つになりその後黒い霧になり消えた。

「ふぅ~、終わったね」 「そのようですわね。この度は、あなたの勝ちですわ」

「えっ、でも、綾瀬川さんが、スライムを凍らせてくれたおかげだから」 「フッ、仄香さんだったかな? スライムを凍らせたのは僕達だよ。そこんとこ忘れないでくれたまえ」

「えっと、やっぱり今回は、綾瀬川さんの協力があって勝てたみたいなもんだし、引き分けでいいんじゃないかな?」

「フッ、僕を無視するとは……」

「あっ、イラっちがヘコんだニャ」

「キマちゃん、イラちゃん少し黙ってくださいますか! まぁ、今回は、引き分けにしときますわ。次は、負けなくてよ」 「私だって、負けない」 「では、また次という事で、帰りますわ。では、帰りますわよ、キマちゃんイラちゃん」

「はぁ~いだニャ」

「フッ、では、また会おう」

沙耶華はキマイラの背中に乗り家路についた。

「今日は、手強かったね。どうなる事かと思ったよ」

「だな。ワシ等の炎が効かなかったのは誤算だったが……」

「まぁ、ええやないですかぁ~、倒せたんやさかい、ワテ等も帰りましょうや」

「うん、帰ろうか。帰ったらオルちゃんトロちゃんにドックフード用意するからね」

「ほんまぁ~、楽しみやわぁ~。ほな、早く帰りましょう」

「ったく、トロの野郎食い物には目がないな。てか、仄香ワシは、ドックフードは嫌いなんだが……」

「えっ、まぁ~いいじゃない。今日はさ」

「ったく、お前等はぁ~、しょうがねぇなぁ」

仄香もオルトロスの背中に乗り家路に着いた。

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