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2-4.略奪者とレオ

息を潜め、来る脅威に待ち伏せするアーヴィンとレオ。

二つの足音がさらに近づき、止まる。


サージは短剣を手癖で回転させながら言った。

「あいつの気配はここで止まってる、この近くにいるぜ…。」


サージはアサシンであり、追跡や気配を感じ取る能力に長けている。

彼の鋭い感覚は、わずかな空気の揺らぎや音も逃さない。


「逃げたつもりかぁ?無駄だぞ、レオ!ここがお前の墓場だ!」

低く、重い声でヴァルガスは叫んだ。


アーヴィンとレオは、相手の動きを探りながらゆっくりと体勢を整える。

だが、サージは彼の位置を把握しヴァルガスに伝えていた。

そうして二人は、正確にレオがいる方向へとゆっくりと向かった。


レオの居場所には気付かれているようだが、

アーヴィンはこの森での長い狩猟生活から、

気配の消し方は一流のアサシンを欺く程だった。

サージのアサシンとしての嗅覚はアーヴィンを補足できていなかった。


ヴァルガス達の歩みは止まらない。隠れたままでは不利を背負うだけだ。


―――やるっきゃねぇか。


意を決したレオはハンマーを握り締め、精一杯の跳躍、身を伏せていた岩から飛び出した。

振りかぶったハンマーを目の前にある岩に叩きつけ、粉砕された岩石が二人を襲う。


同時にアーヴィンは咄嗟に弓を構え、矢を放つ。


「こっちだっ!」


レオの攻撃に合わせて放った矢は、ヴァルガスの肩に命中し、彼の動きを一瞬止めた。


虚を突かれたサージはもう一人いたことに驚き、即座にアーヴィンの元へ向う。

アーヴィンは反射的にもう一矢を番えるが、サージの迅速な動きに対応するのは難しかった。


アサシン特有のその素早さでアーヴィンに接敵し、短剣を振りかざす。

アーヴィンは矢を放つ間もなく身を翻し、短剣の刃を紙一重でかわす。

短剣は鋭く、切っ先が彼のフードをかすめ、加えて銀髪がはらりと舞った。


体勢を立て直し、すぐに次の攻撃に備える。

彼の目は冷静さを失わず、相手の動きを観察していた。

サージは俊敏な動きで隙を突こうとし、次々と短剣の連撃を繰り出す。

アーヴィンは矢を手に持ち、即席の防御として短剣を受け流す。


「なにもんだお前、どっから沸いて出やがった!」攻撃の手を緩めず睨みつける。

自分の気配を感知する能力にかからない相手との対峙はサージにとって初めてであった。


アーヴィンは繰り出される短剣のリズムを掴みつつあり、次の一手を考えていた。

攻撃が迫るたびに、アーヴィンは矢を手に取り、短剣の攻撃を受け流し、応戦した。


サージは相手の動きに追いつこうとするが、その巧みな防御に苛立ちを覚えていた。

アーヴィンはその隙を見逃さず、地面に突き刺さった矢を蹴り上げ、手に取り、サージの目に向かって投げつけた。目の前に迫った矢に一瞬、バランスを崩し、その瞬間を見逃さずアーヴィンは弓を引き、矢を放った。


矢は肩に命中。間髪入れず、次の矢を番え、もう一度放つ。

サージは短剣ではじき返し、それ以上の攻撃は許さないと再びアーヴィンに向かって突進してきた。


アーヴィンは思考を止めない。迫りくる直前に背後の木に飛び乗る。

サージはその動きに驚き、一瞬攻撃の手を止めた。アーヴィンは木の上から矢を構え、上からの優位を生かして攻撃を仕掛ける。


サージは素早く反応し、木を盾にしながらアーヴィンに近づこうとしたが、矢は正確にサージの動きを封じ込めた。サージは再び連続で短剣を繰り出し、飛びかかろうとしたが、彼はその動きを読んでおり、木の上から素早く飛び降りてサージの背後に回り込んだ。


アーヴィンは背後からサージの肩に手をかけ、力強く地面に押し倒した。

サージは反撃しようとしたが、アーヴィンに首を掴まれ、身動きが取れなくなった。


「くそっ!!」


命が掛かった戦いではあったが、相手の動きを制した事で、アーヴィンはほんの少し気を緩めてしまう。


しかし、殺しを生業としているサージにとって、

とどめを刺さないアーヴィンの甘さを、サージは見逃さなかった。


持てる力の全てで瞬時に起き上がり、飛び掛かるサージ。


アーヴィンは咄嗟に弓を手から離し、腰に下げていた特殊な武器を引き抜く。

それは金属製の短い棒で、先端には二つの分かれた突起がついていた。

彼はその武器を巧みに操り、サージが短剣を繰り出すその手首を狙って一撃を放った。

突起が相手の手首にかかると、一瞬のうちに相手の動きを封じる。

アーヴィンは素早く回転し、サージを地面に押し倒した。逃げる暇も与えず、サージの腕を背中に回して関節を極めた。

サージは短剣を落とし、痛みに呻きながら地面に崩れ落ちた。


「もう終わりだ。」アーヴィンは冷静に言った。


アーヴィンはサージの短剣を蹴り飛ばし、彼を縛り無力化した。

戦闘は激しく、息を整えながらも、アーヴィンは次の一手を考えていた。サージを制圧したものの、彼にはまだレオを助けるという使命が残っていた。


一方レオは―――

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