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4-5.穢れ、襲来

 覚悟決めたレオ。

「っしゃあ!来いや、風野郎!!!」 


黒風の穢れは二人の動きに反応し、風の障壁を片刃の腕に集め、攻撃の準備を開始した。

「レオさん、風が解けました!引きましょう!」


「ダメだ!!!すぐに引いたらまた風をまとっちまう!こいつが攻撃する、その瞬間まで引き付ける!!カリムは下がれ!」

レオは真向から黒風の穢れに対峙する。


「…わかりましたよ!!攻撃が来たら盾に隠れてください!!」


穢れの腕にはみるみる風が集まっていき、刃の切っ先から徐々に赤く変色していくのを二人は見た。

穢れはその腕を高く振り上げるとレオ達に向かって高速で大きく振り降ろす。

刃から赤い風の衝撃波が生まれ、それは地面を割りながらレオ達に向かった。



アーヴィンはその様子を見逃さず一の矢を放ち、すかさずリセルに声をかけた。

「師匠、今だ!二の矢を!!!」


リセルは声が聞こえる時にはすでに矢を放ち、それぞれの矢が黒風の穢れの左右から一直線に飛翔、二本の矢は穢れ目掛けて突き進んだ。



黒風の穢れが放った衝撃波は速度を増しながら二人に迫っていた。


「まずい!!」カリムがレオを押しのけ前にでる。


「カリム!!!!」


カリムは咄嗟に盾から手を離し、衝撃波と盾が接触する寸前で身を引いた。

衝撃波の威力は凄まじく、盾は粉々に砕け散り、衝撃波は貫通、カリムに直撃する。

吹き飛ばされたカリムは、村の門柱に激突し気を失う。


レオがカリムに元へ駆け寄る。

「おい、大丈夫か!」


どうやら生きてはいるようだ。

先に木っ端微塵となった盾のお陰か、直撃だったもののほんの少し威力が弱まってくれたのだろう。

しかし、これ以上はどう見ても戦えない。

レオは心の中で感謝を告げ、周りにいる村人達を呼び、彼を村の中まで運ぶように伝えた。




アーヴィンとリセルの放った二度目の同時攻撃。

時間差で放たれた矢は先程と同様、ほぼ同時に着弾を目指していた。


レオとカリムのお陰で障壁が無くなり、アーヴィンの矢は黒風の穢れの胸の近くに命中。

その瞬間、黒風の穢れは大きく咆哮する。

胸の辺りが赤紫と言えばいいだろうか、血管のようなものが光りながら浮き上がり脈動する。


しかし、もう一方のリセルの矢は違った。

黒風の穢れは片刃から風を放出させ、矢をいなす様に跳ね返す。

確かに胸部を目指していたその矢は、穢れの風によって極端なU字を描き、逆にリセルの方向へとてつもない速度で飛んでいった。


リセルは咄嗟に動こうとしたが、避けきれない。


矢が彼女に迫るその瞬間ーーー


ユカレイがリセルの前に立ち、矢を受け止めた。


「ユカレイ!」リセルが驚きと共に叫んだ。

ユカレイは腹部に刺さった矢に苦痛の表情を浮かべながら、膝をつき、そして力無く倒れ込んだ。


リセルの心は一瞬にして凍りつく、それと同時に激しい怒りが込み上げる。

彼女の矢が跳ね返った結果、自分の夫であり、仲間であるユカレイが重傷を負ったのだ。


「許さない…」リセルの声は震えていたが、その目には決意が宿っていた。

彼女は腰に付けていた鉈を引き抜き、黒風の穢れに向かって突進した。


「師匠、ダメだ!!」アーヴィンが叫ぶが、リセルの耳には届かない。

冷静であるべき戦士としての心が揺さぶられ、怒りに突き動かされていた。


リセルは鉈を振りかざし、黒風の穢れに攻撃を試みた。

しかし、黒風の穢れは片刃の腕でその攻撃を防ぎ、二つの武器が鍔迫り合いを起こす。

圧倒的な力で押し込まれるリセルは、一瞬でその差を感じたが、それでも攻撃の手を緩めなかった。だが黒風の穢れの一撃は重く、リセルの鉈は破壊される。


「リセルさん、危ない!」レオが叫びながらリセルに向かって走った。

黒風の穢れの片刃がリセルに迫り、彼女を斬り倒そうとした瞬間、レオが飛び込んでリセルを救う。


「大丈夫か!」レオは息を切らしながらリセルを支えた。


「くっ…ありがとう、レオさん…」リセルも息を整えながらも、再び立ち上がろうとした。


黒風の穢れは再び風を集め、片刃に力を集中させていた。

周囲の空気を震えだし、片刃が再び赤く染まっていく。

アーヴィン達の間に緊張が走った。



その瞬間、ヤマタの森では聞き馴染みのない、耳をつんざくような『パーン!』という音が空気を切り裂いた。



タビーの撃った銃弾はリセルと対峙していた黒風の穢れの背中に弾丸が命中した。

黒風の穢れは撃たれた反動でよろけるが、足を一歩踏み出しその場にとどまる。


驚いたアーヴィン、そしてリセルとレオが振り返ると、そこには見た事のない武器を構えたタビーが立っていた。


「タビー…!」

アーヴィンは彼がここに来るとは思っていなかった。

さらに、自分が過去に発見して持ち帰り、使い方もわからず放っておいたギフトを使っているのだ。アーヴィンは運命めいた何かを感じた。


「ヤッバ!!…おーい!大丈夫ですかーー!!!」


慣れない手つきでガチャガチャと排莢を行いながら、

レオとリセルに向けてすぐに後ろに引くよう声をかける。


タビーの一声、その行動でレオとリセルは間一髪救われた。

二人もアーヴィン同様に朝のタビーを見ていた為、その行動力に驚いていた。


当の本人と言えば、得体の知れない化け物に向けて放った弾丸、自ら何かに意図を持って攻撃する等、彼には経験がなかった。その指は、その手は震えていた。


ーーー当たったっ!…いや怖すぎやろ…!無理無理無理!


彼の心はもう迷っていなかった、とはまだ言えないだろう。

だが自分を助けてくれた周囲の人達が危険に晒されている現実を目の当たりにし、

彼自身も戦う覚悟が少しづつできはじめていた。


弾丸を受けた黒風の穢れは幾度かの攻撃でダメージも蓄積している事はわかる。

だが、脅威は依然変わらずそこにある。


黒風の穢れが再び動き始める。

それはリセル、レオから標的を変え、タビーに向けて歩き始めた。


リセルとレオは起き上がり構えをとる。

アーヴィンは木から降り、ユカレイの元へ向かった。


タビーは銃を再び構え、照準を黒風の穢れに向ける。

先を見据えたその視線の先に化け物が映る。


一度照準から目を離し、化け物を見る。

そこには風を纏いゆっくりと自分の方へ向かっている異形。



ーーーえ?これ俺に向かってきてる…?


ここまで読んでいただきありがとうございます!

今回は 黒風の穢れとの激闘がさらにヒートアップする展開 となりました。


アーヴィンとリセルの見事な連携 による弓の同時攻撃、

レオとカリムが命を賭けた囮作戦、そして――


タビーが遂に銃を手に戦場へ!!


最初は戦うことに躊躇していたタビーですが、

仲間が傷つく姿を目の当たりにし、遂に 「自分にできること」を見つけました。

しかし、銃が通用するのか? そして黒風の穢れはまだまだ健在……。


次回、ついに 決着編に突入!

アーヴィンたちは この脅威にどう立ち向かうのか――!?


引き続き、よろしくお願いします!

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