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声を届けたい

作者: Yayoi

人は愛しすぎると心が壊れるのだろうか。多分壊れても愛する人がいるだけで弱いガラスの心も強化できる、そんな経験をした女性のお話です。

この世に夢を叶えた人は数少ない。頑張っても努力しても夢で終わる人は、才能と運に愛された人には適わないのかも知れない。

堀江やよいは、才能にも運にも恵まれたとは本人は思っていないけど、夢は叶えることができ、今は声優を生業にして10年目、今年には30歳になる。

元々私の10代からの夢は歌手だったが、顔と低い声がコンプレックスで、歌う事や芝居が好きだけでなれる世界ではないと自負し、諦めかけていた19歳の時にあるアニメに出会う。コミカルがメインの中に人間模様が描かれていると感じ、(私もこの中に入りたい)と思った。何より、いわゆる”中の人”が楽しんでいると感じたからである。もちろんプロなのだから当たり前なのかもしれないが、それとは違う何かが彼女を動かした。

声優ならこの顔でもこの声でも中に入ることができるのかな?と、夢の階段第一歩を踏み出し、養成所を卒業して名ばかりではあるけど、プロとして夢を叶えている。

とは言え、どんなに有名な人気声優でも才能があっても下済みを経験している人はいると聞く。その生活が長いか短いかの差が才能と運なのだろうか?。もちろんそこには努力があったはず。


東京に上京当時は、当然生活は楽ではない。まだ19歳の女の子が都会の一人暮らしのために必死だったのは言うまでもない。

彼女は、上京してすぐアルバイトを探した。よくある話ではあるが、親の反対を押し切っての上京は、とにかく今は養成所に通いながらの生活費である。

居酒屋やファミレスなど、賄いのある所をと検索して、故郷.滋賀の人が営む居酒屋を見つけた。

当てなどなく断られるかもしれないと思いながら店を訪ねた。

「同郷だからなんて甘いことは言いません、ただ、挫けそうになった時の帰る場所が欲しいんす。週に1度でもいいんです!」

数ある居酒屋の中でこの店を選んだのはそれが本音。

しばらく考え込んだ店主は

「今は募集してないんやけど、東京の暮らしは大変なんは分かるし…、そやけど、週に1回では生活できんやろ?」

「あとはまた別のアルバイトを探します、コンビニとか…」

根負けしたのか店主は週に1度ならと了解してくれた。辛い時に帰る場所があるだけで頑張れる気がした。

養成所時代の2年とデビューしてから3 年の5年間アルバイで世話になることになる。

その間に、金土と週2日に増えて、2日間は居酒屋、残りの4日はコンビニでアルバイトをしながら養成所を卒業し、まだまだアルバイトは続行中だった。

そんなある日、低い声を活かして男子高校生役のレギュラーオーディションを受ける機会を得て役が決まり、アルバイトは居酒屋だけになった。

それだけで生活出来るはずもないが、時々、実家から送られる食料品で飢え死にせずに済んでいる。声優になる!と家出同然だっだのにと思うと、親の優しさ有り難さを実感し、いつか逆に仕送り出来るようになりたいと、彼女はまた違う夢を描いていた。

そして今年始め、運命の作品とある人に出会った。

その作品は「とある高校で生徒会長と副会長の男子高校生が突然異世界に飛ばされ切磋琢磨して行く」というW主役で、よくある異世界物。相手は数々の主役を演じ続けている人気声優の吉井 慎。芸歴18年のベテラン声優である。

やよいは芸歴約8年とは言え、相手は声優としてもアーティストしても第一線で活躍している彼とでは差があり過ぎる。そんな人との共演に、迷惑をかけるのでは?と不安でいっぱいだった。

「迷惑ばかりだとは思いますが、呆れずにお願いします!」

初顔合わせの時、少し震えながら言うと

「いやいや、俺の方が迷惑かけるかも知れないから呆れないでね~」

吉井の優しさと明るさに、頑張らなければ!。こういう人を才能と運と性格に恵まれた人なのだろうと彼女は思う。

気取りのない笑顔いっぱいの彼にドキッとしてしまった。


初めての声優としての忙しい日々となる為、居酒屋のアルバイトも辞めることになった。

大将(店主)に事情を話すと

「よう頑張ったな…、良かった良かった」

の一言に彼女は大人気なく泣き崩れてしまった。本当にお世話になったからだ。

「よう泣く子やなぁ」

と、頭をポンポンとされ

「時々、夕食べに来てもいいですか?、東京の実家なんで…。勝手にすみません」

「律儀やなぁ、気にせんでええで」

「ホンマにそう思ってますから!」

「当たり前や、こっちも助かってたしな。時々は顔見せてや」

またいつでも会えるけど、後ろ髪を引かれながらも2つ目の実家を出る事にした。

同郷というだけではない、元々の優しい店主に出会えたのは彼女の幸運なのだろう。

それからは、新アニメのアフレコ、関連イベントなど、今までにない忙しさに、こんな多忙を吉井はこなしていたのかと思うと、何事にも一生懸命な彼に、最初に感じた「ドキッ!」は尊敬と憧れ、ただのファンだったと思い返した。

そう思うとなぜか緊張が減り、とにかく楽しくて仕方なかった。

「何んか…、以前の緊張、ちょっとは減ったのかな?」

吉井はやよいの心に気づいたかのようにそう言った。

彼の人気はこういうところなのだろうか…と思う。


吉井とのW主役でのアニメは好調でアフレコが終わる頃に、近いうちにと第二期の話が出たらしい。やよいの中では彼の運を少し分けて貰えたのかな?と思っているが、これからが頑張りどころだと喝を入れられた気もした。


二期はオープニングテーマ曲も2人でとの案もあり、やよいの無理と思われた歌手としての夢まで叶えられようとしていた。

彼女か最初の夢が歌手だったとを聞いた吉井は、

「夢は強く願えば叶うんだよ」

屈託の笑顔でそう言う。どこまでも優しい彼にまた、あの感情が…

”ダメ、ダメ、絶対にダメ!!、ただの憧れなんだから!”

と、叶わない想いは後悔する前に諦めないと、と気持ちを抑え込む。けして初恋ではないが慣れない気持ちではあった。


二期の話が出てからは下済み時代のアルバイト生活時より忙しい毎日が続いた。少し痩せたようだ。

二期も終わる頃、吉井慎の音楽LIVEがあるため、LIVE運営側から2人で曲を出しているのだから出演してみては?と要請があった。

「いえ!!せっかくのお話は本当に本当に嬉しいです!。でも、大事な吉井さんのステージを壊したくないです」

と断ったが、2、3日経った頃、吉井から

「あの曲は俺の歌でもあるんだ。とても大好きで大切な曲の一つだし、LIVEには欠かせないと思ってる。俺1人で歌っては曲にならない!」

この曲は彼が作詞を担当したこともあり、思い入れが大きいようで、彼女の説得を続けた。

”これ以上一緒にいる時間が増えたら押さえている気持ちが爆発しそうで怖い”

と彼女の心が右往左往していた。

「歌手が夢だったのは嘘?、大勢の前で歌いたい夢は嘘?。

……初めて君の歌を聴いた時、正直凄いって思った。なぜ歌手より声優を選んだのか分からなかったよ」

「歌が好きだけでは伴わないものがあるんです!。顔とか声とか…」

「今、その声で今は仕事ができてるんだろ!。沢山の、夢を諦めた人に失礼だと思わないか?!」

いつもの優しい彼が少し声を荒らげた。

何も言えず、黙り込む彼女に

「……大声出してごめん…。俺は君と歌いたいんだ」

その彼の言葉に涙か溢れた。彼を戸惑わせてしまったが、この涙は、

”人の気も知らないで…、これ以上一緒にいたら、ちょっとしんどい。この人が好きだから無理なのに…”と、やよいの心が叫ぶ。

彼女の中の憧れが恋に変わっていた。

「あ~ぁ!、もう!、自信が無いという理由なら聞かないよ、スタッフにはOK出たってつているからね。決まってしまったらプロとしてやらない訳には行かないだろ?。…もっと自信持てよ」

最後の優しい自信…という言葉に、プロは恋と仕事の、脳が2つある二重人格でなければいけないのかも知れない、自分の自信のなさは自分が決めつけた事、これ以上はここまで言ってくれる彼に恥をかかせる…と思うしかなく、最初から諦めていた想いを引っずってはいけないと思いながら

「こんな私を必要だと思っていいんですか?」

「最初からそう言ってるよ?」

「失敗しないように頑張ります!」

本当に頑張るしかないと彼女は意を決した。

まだ仕事と私情の切り替えができてはない。実際、2ヶ月後に開催されるLIVEまでの2週間くらいは苦しくて、彼女はまた少し痩せてしまったようだ。

”私ってこんなに弱かったのかな?…”と、上京して初めて気弱になった。


LIVE当日、念入りなリハーサルをする吉井の姿はプロの顔で本当に歌うことが好きなんだなと感じた。一方のやよいといえば、初めての大勢の人前で歌うという緊張で歌詞を間違えたりして彼に恥をかかせないようにと、ただそれだけで彼への想いの奥に、もう1つの夢が叶うという高揚もあった。自分なりのスイッチ切り替えできた…のかな?と、自分に喝を入れ、本番に望んだ。

L

IVEが始まり、大勢のお客様を前にした時、緊張も彼への想いも一旦は空高く上げて、彼女は思いっきり楽しんた。

あくまで吉井のLIVEでやよいはアウェイ状態。終始そんな気持ちで歌唱を終えたトークで

「大事な、吉井さんとの時間を割いて頂いてありがとうございます!。でも!気持ち良かったです!」

やよいの言葉に拍手が湧き、泣きそうな彼女に気づいた彼が

「おいおい、ここで泣くな!、俺が泣かしたみたいじゃないかぁ~!」

笑いで和ませてくれた。


無事LIVEを終え、楽屋で休んでいると、LIVEを終えた彼が訪ねてきた。

「これから打ち上げがあるんだ、来るよね?」

「でも…私はあくまで付け足しというか…」

「またそういう事言う…、来てくれた人達の反応見ただろ?、歓迎されたんだって思って欲しいなぁ。それにスタッフにも誘ってきて欲しいって頼まれたしさ、俺に恥かかせるなよな」

最後の最後で彼に恥は…と、打ち上げ参加を了解した。


LIVE会場近くの少しおしゃれな居酒屋を貸し切りの打ち上げが始まった。

もちろん、彼の何度かあったLIVEに女性が参加と言うとは初めてのことて、物珍しさもあるのだろう、隅っこで座っている彼女に関係者の方々が声をかけてくれた。

その中の1人、総合プロデューサーの高田が

「企画はしたものの、正直、吉井くんのファンの反応は不安だっけど、あの歌とパフォーマンスを見たら君のファンも増えたと思うよ。ほらあの、舞台横からじゃなくバックステージから出るとこ、あれ考えたの君だよね?」

高田にそう言われ

「関西人魂がでただけです」

アドリブだったが、久しぶりに自分の中の少し陽気が出せた気がすると少しホッとしたようだ。

時々、吉井の様子を見ると、スタッフと話す彼は本当に幸せそうに見えた。

同時に、明日からはまた以前の、たまにしか会わない同業者になるのだ。

”これでいい…”と、一度空に上げた彼への届かない想いはそのまま消えることを願った。

打ち上げが終盤の頃、やよいの元に近づいてきた吉井が

「今日はありがとね、ホント楽しかったよ」

そう言って隠すように小さなメモを手渡してきた。今どきメモ…と思うが、よく考えたら、様々な連絡やスケジュールはお互いのマネージャーを通してでLINEアドレスを知らない。

メモに(明日午後6時にこの店で)とだけ書いてあった。

メモを渡してすぐに傍を離れた彼を目で追ったが何事も無かったかのように、またスタッフの輪の中に入っていった。

(え?え?どういう事?)でもよく考えたら少人数で、お互いのマネージャーとかの少人数で改めて…なのだと思い返した。

明日は、やよいは休みだが彼は午前中アフレコがあるはず。忙しい中、自分のために時間を作ってしれたことに感謝した。


次の日やよいは、待たせてはいけないと早く来たけど1時間前は早すぎた…。店はオープンしていたけど、待ち合わせだからと店のエントランスにあるベンチで待たせてもらうことにした。

その間、彼女は吉井との初めて共演した時の事を思い出していた。

3年くらい前、彼が主役の学園ドラマで彼女は同級生の1人だった二言ほどの共演だったけど、収録を終えた後、新人や、やよいたち端役のひとりひとりに声を掛けて労いの言葉をくれた。人気者なのに優しく微笑む気取りの無さにすっかりファンになってしまった。遅咲きのファンではあるけど、それからは彼の出演作品を見返すようになっていた。

そんな時のW主役の話に緊張しない方がおかしい。共演するようになってからも、益々人気声優になっても変わらず優しく明るく謙虚だった。1人の男性として好きにならない方がおかしい。共演できただけでも幸せだと思わなければいけない!そんな人なのに……と彼女は恋と仕事の板挟み状態。


30分くらい経った頃、吉井が店に来た。

「えっ?もう来てたの?、早すぎ~」

満面の笑みで話しかけてくれた。

「吉井さんこそ早いじゃないですか…。えっと……待たせたら悪いと思って…」

「それにしても早いし…、でもまあ、オープンはしてるし中入るか!」

そそくさと店の中に入って行った。

席は予約していたらしく個室形式の部屋に案内され、向かい合わせで席に着いた。

「あの~、あとの方は時間通りに来るんですか?」

「え?、何言ってんの?、俺たちだけだよ?」

「はっ?、マネージャーさんとかの少人数で…じゃないんですか?」

「プライベートまでマネージャーが付いてくるわけないじゃん。昨日は人が多すぎて、君全然楽しんでなかったろ?」

やよいに気を使ってくれたのだった。

「そんな事ないです!。本当に楽しかったです」

「そっかぁ?。…と、とにかく何が頼うか…」

少し焦るかのように注文を始めたその顔は、少し落ち着かない感じに見えた。

彼はアルコールは苦手のようでノンアルビールを、やよいは冷酒を頼んだ。

「えっ?日本酒でしかも冷酒って…。もしかして酒豪?!」

「違います!、ビールは苦くてダメだし焼酎は味無いし、日本酒でも熱燗はムセるし…」

「はははっ!、お子様か!」

豪快に笑う彼の声に少し緊張が溶けたようだ。

「お疲れ様~」

彼の掛け声で乾杯した後、徐に

「ホントに、今日は2人っきりになりたかったんだ。この半年ほとんど誰か数人と一緒だったし、中々機会が無かったら…」

「2人っきりはダメでしょ?…、変な噂立ちますよ」

「共演の間はね…、だから半年我慢した…」

どういう意味…と言いかけて止めた。

無言でいる彼女に

「昨日、沢山の人に囲まれる君を見てて、誰かに取られるのかなと思ったらメモ渡してた…」

彼女の頭の中???である。そして

「俺はさ、自分でもつくづく不器用だと思うよ。仕事の時の顔は、とにかく嫌われないためには明るく楽しい人でいなきゃって…、でも1人になると、今日も頑張っよな俺って励ましてる根暗な奴なんだ、驚いた?」

彼は自分に自信が無いという。やよいは、こんな人でもそんな気持ちになることがあるんだと彼の謙虚さを感じた。

「本当に根暗な人は表も暗いと思いますよ、頑張ってるだけじゃないですか?」

そう言う彼女をジッと見返し

「君のそう言うとこだよ、いつも欲しい言葉をくれて人を気遣い、前に出ず、でもアフレコの時は人が変わったように中の人に変身する」

「ただの二重人格ですよ、ふふふ」

「役者はみんなそうだろ?、それがプロだからね。それに二重人格じゃなくてスイッチを持ってるっていってよ~。俺が言ってるのは見返りも何も無い優しさが出せる人だよ、君は…」

アニメの二期が始まる頃、会場のエレベーターでやよいが降りた後に高齢の夫婦とすれ違い、慌てて戻って閉まるエレベーターを停めた所を見ていたらしい。

「その後も、何度も誰か乗らないか確認したり、内緒で差し入れしたり…」

「差し入れの事知ってたんですか……」

「あぁ、ずっと見てた、半年間ずっとね。それこそ心の奥底に無いことは出来ないと思ったよ」

彼は徐に姿勢を正し

「こんな人間だけど…俺と付き合って欲しい…。えっと…こんな所でする話じゃないとは思うけど…」

「はぁ?」

やよいは耳をうたがった。しばらく考えを巡らせ

「何かの罰ゲームですか……?。吉井さんってそんな人だったんですか!?。わざわざ2人っきりになって言うことですか?!」

「罰ゲー…ム… ?」

「だって、そうでなきゃ私なんかに…、ちょっとヒドイです」

”せっかく想いを消そうとしていたのに”という言葉を飲み込んだ。辛くて泣きそうになる。

「中高生でもあるまいし…、君こそ何を見てきたんだよ!、声優仲間もスタッフも関係者全員、そんな馬鹿げたことを考える人はいない!」

周りのお客さんに聞こえるくらいの声で言う彼の目が少し光ったように見えた。

「ごめん…声大きかったよな。何で君はいつも””私なんか”言うんだよ…?」

「ごめんなさい…、信じられなくて…」

しばらく考え込んだ様子の彼はボソッと

「君にそんな事を言わせる、何があったんだよ…」

ここで話す事じゃないのかもしれないけどと、いわゆる黒歴史を話した。

「こんな私でも6年前には恋人がいて…」

と語り始める。

アルバイトで必死だった頃、同じ養成所の1年先輩で既にレギュラーを持っていた才能のある男性だったようだ。

「1年くらい付き合った時、”君は俺が居なくても立派にやって行けるよ”って、綺麗事言って会ってもくれなくなったんです。後で知ったけど二股だったみたい…。その後すぐに、相手の人に子供ができたのが本当の理由だって知りました。」

「最低だな…、ぶん殴りて~!…って同じ役者?!。」

しばらく黙った後、彼は

「まだその人が好きだから後を引きずってる?」

「もちろん初めての人…だから半年くらいは引きずりましたよ。でも何んでだろう?。…多分、その相手の女性に勝てなかっただけなんだなって…、私から好きになったわけでも告白した訳でもなくて、本当に好きだったのかな?って思ったら冷静になれた気がします。」

「でも初めて…だから忘れられないから恋愛に臆病になってるんだろ?」

「いいえ、二度会いたくないし、出来れば声も聞きたくない。無理な話ではあるですけど…。何の感情も感じなくて心からは離れたけど、私の心ってこんなにガラスだったのかな?って思うくらい傷を残したまま6年経っちゃいました」

しばらく考えた吉井は

「俺と付き合ったら傷だらけのガラスが壊れると思うから?。俺をそんなヤツと一緒にして欲しくないよ」

少し怒ったような口振りで彼はそう言った。

「一緒じゃないです!、吉井さんは私から……だし、3年以上前からだし…」

言ってしまったと息を詰まらせた。

「3年も前から…、」

やよいが初めてレギュラーを勤めたあのアニメである。

「真剣に愛されない私が、吉井さんみたいな、人間としても役者としても完璧な人に好まれるはずないから罰ゲーム…だなんて…ごめんなさい」

「世の中に完璧な人間なんていないと俺は思う。俺なんか、どこか抜けてたりドジはするし、リテイクが多いのも、ずっとやってきたから知ってるだろ?。前にも言ったけど、それでも一生懸命で必死なの伝わらなかったかな?」

「何事にも一生懸命なのは分かってます。だから…」

「だから何?」

と彼は身を乗り出す。

「だから好きになったんです!、!これ以上言わせないで!」

身体中が熱くなった。

やよいのその言葉に

「俺が…、俺が強化ガラスに上書き出来たら壊れない?」

彼女を見つめる彼の真剣な眼差しに前の人とは全然違う。だから好きになったんだと言いかけてやめた。

「鉄板にするとは言わないんですね?」

「君はガラスのまま透明でいて欲しいからそのままでいい。ガラスの心の人だから好きになったんだよ」

彼の肩苦しい表情が和らいだ気がする。

「俺もさ…、2年くらい前まで付き合ってる人がいた。似たような話だし嘘だと思われるかもしれないけど…」

彼も淡々と元カノの事をはなしはじめた。

「浮気…ですか…」

「あぁ…。その言い訳さ、”叱って欲しかった”だとさ」

「何ですかそれ!、普通は好きな人には叱られるより褒められる方が嬉しいでしょ?!」

やよいにはその彼女の心情が理解できない。

「まさか、その人も浮気相手と結婚したんですか?」

「いや、未だに顔を合わせると謝ってくるよ」

「未練タラタラなんですね、……って時々顔合わすんですか!?、まさか…?」

「狭い世界だからよくある話ではあるわな、ハハハ…」

照れとは違う苦笑いと言うやつである。

「どうして許してあげないんですか?。吉井さんも未練があるから振り切れないんでしょ?、……なんか、恋愛相談みたいになってますけど…」

何だかヤキモチより先に、告白される前の片思い状態じゃないかと彼女は少し落ち込んだ。

「俺もその時に気持ちは置いてきたよ。」

吉井はそう言ったが彼女はまだ納得できずにいるようだ。

「…もういいです。私はその人を諦めるための当て馬だったんですかね?」

「違う!絶対違う!」

「でも、そうでなければいつまでも追いかける彼女を振り切るほどの言葉を言えてないということでしょ?」

「そう言われても仕方ないけど、俺には、ヒドイ言葉で泣かせることも卑劣な態度をとる勇気もない。情けない男だよ…な」

「優しさは使い道を間違えたら悪だって覚えてください!」

キツイことを言ったと後悔したが、優し過ぎる人だから好きになったのだと思い返す。

やよいはしばらく考えた後

「私のためだったらヒドイ男になれますか?」

驚いたように彼女を見つめ

「なれる!!、だから今日気持ちを伝えようと思った。今は君の気持ちを知ることが出来たから、ハッキリ言える。…ごめん、君が背中を押してくれるのを待ってたみたいで、…優柔不断だったよな。ホント、君はいつも俺が欲し言葉くれるよな。」

次にまた元カノが話しかけてきたら”大事な人がいるから”とハッキリ言うと誓ってくれた。

「何でも隠さず言うのってしんどいなって思ったけど、黙ってる方がもっとしんどいよな」

彼の顔がスッキリしたように見えた。最初はモヤモヤした気持ちの方が薄れかけていた。

「改めて言うよ。やよいさん、好きです、俺と付き合ってください!。ホントこんな場所でごめん」

唐突に切り出し右手を差し出してきた。

今まで君…が多かった彼女への呼び方がやよいに変わった時、涙で彼の顔がぼやけた。

「本当に私でいいんですか?」

「恋愛アニメみたいなこと言うけど、……君がいい。やよいさんがこれからもそのままでいてくれる限り…」

「私は生まれてから今までこのままの人間のつもりです。……よろしくお願いします」

彼女は彼の差し出された手にそっと触れた。

触れただけの彼女の手をぐっと握り

「俺も代わり映えしないヤツだと思うよ」

笑うとクシャクシャになる彼女の大好きな笑顔だった。そして

「それから、どれくらいしたら苗字じゃなくて名前で呼んでくれる?、俺はちゃんと名前で呼んだよ?」

「じゃぁ、…慎さん…」

声優らしからぬ小さい声だった。

「さん付けは他人行儀だよ」

「呼び捨ては無理!、私には男の人をできない、叱られても…」

「叱りはしないけど…、何で?。俺は呼び捨てにしたいけど」

「呼び捨てでいい、呼び捨てがいい。」

「じゃ俺もさん付けで、やよいさん」

「それもイヤ!、呼び捨てにされて彼女を…実感するもん。それに呼び捨てに慣れてしまったら、人前でうっかり言いそうでヤバイ… 」

「頑固だなぁ。負けるよ。…まぁ業界の中で下の名前で呼ぶ人は少ないし、慎さんは新鮮かもだし、特別な感じがするからそれでいいよ。」

少し納得してない感もあったが、やよいはふと、元カノは呼び捨てだったのかな?と、少し嫉妬した。

お互いに、出会ってからから今日までの全部を出せた気がしていた。

誰も過去の恋愛は話したくないもの。自分を隠さずにいられる人がいるのは幸せな事なのだと…。

店に入ってからほぼ1時間経ってやっとLINE交換した、遅!。

「私…、愛されてると分かったら、遠慮しないし傲慢になったりワガママになったりするかも知れないよ」

「望むところだ、ドンと来いだ!。俺だってしつこいくらいLINEするかも知れないし」

「望むところです!」

やっとお互いに笑顔で見つめ合えるようになった。

諦めて遠い空に揚げたやよいの恋はゆっくり降りてきて、しっかり彼女の元に戻ってきたようだ。


それからはやよいも仕事の量が増え始め、吉井は相変わらず忙しく、しばらく会えていないが、毎日のようにLINEをくれて、お互いに一日の出来事などを話していて、恋しいけど寂しくはなかった。

そして8月。やよいの30歳の誕生日に彼は、休みは取れないけど夜には一緒に過ごしてくれると言ってくれた。

「夜景の綺麗なホテルのレストランを予約したから、肩苦しいと思うかも知れないけど我慢して。男の見栄だから」

と笑い、どこても良いと言ったけど、好意に甘えることにした。生まれてこの方、箸でする食事しかしたことないのに…と、とにかく右にナイフ、左にフォーク…だけを覚えて当日を迎えた。


普段着ないワンピースを来て、自分なりのおしゃれした彼女……ガンバった…!と意気込む。

予約席で待つ彼女を見つけ、彼が駆け寄ってくる。

「遅れてごめん…、…見違えた」

いつとは違う雰囲気の彼女に、照れくさそうにそう言った。

席に着くなり、持っていた小さめの紙袋を小さめ手渡し

「誕生日おめでとう、喜んでもらえたら嬉しい」

その中には、彼女の誕生石のひとつサードオニキスのネックレスだった。

「こんな高価なもの…。たとえハンカチでも嬉しいのに…」

「やよいは、指輪とかネックレスとか付けてるの見たことないけど、好きじゃ無かった?」

「ううん、そんなことはないけど、なんか…悪いなって思って…」

「今付けてくれる?」

彼女は小さくうなずき、彼は彼女の後ろに回った。

「良かった、今日の服によく合ってる。これを選んで良かった。」

「ありがとう…。普段付けるの勿体ないから金庫買わなきゃ、ふふ」

「金庫って…、普段から付けてくれる方が嬉しいんだけどなぁ」

「大事な物は特別な時に使うものだよ?」

そう言うと、彼は照れくさそうに笑った。

食事の後、ホテルの中庭を散歩する途中、少し薄暗い場所にあるベンチに腰掛け、夜空を見上げた後、彼は

「去年の今頃は嫌いな夏をどう過ごそう…って憂鬱だったなぁ。でも今年は8月が来るの楽しみだったよ」

「私も、8月生まれなのに夏は苦手…。今年は慎さんが傍にいてくれるから…」

そう言う彼女の顔をじっと見て

「やよい…、大好きだよ」

「私は…もっと好きだよ」

そしては2人は初めてのキスをした。

プレゼントは嬉しいけど、このキスが一番のプレゼントのような気がすると彼女はネックレスな謝った。


次に会えるのは多分1ヶ月後。来月に開催される吉井慎の35歳の誕生会があり、関係者を招待してのイべントがある。

もちろんやよいも招待されたが、時々目が合うくらいで話す事はできそうにないと思っていた。

誕生会当日、パーティと言うほど盛大ではないが、立食形式の会場で気軽さを好む彼らしい。元気そうな姿は彼女を安心させる。

ある、仲の良い声優と話している彼を見つけ、彼女がさりげなく近寄って会話を聞いていると1人の声優が

「ぼちぼち結婚考える歳じゃないか?。改めて聞きたことないけど、どんな子がタイプなんだよ」

この質問に吉井は

「もちろん可愛い子に決まってるじゃん!!」

その言葉にやよいはちょっとショックを受けた。”そりゃそうだよね、連れてても可愛い方いい。それなのになぜ私?”と思った。

これ以上は聞いていられず、その場を離れ!隅っこで座り込む彼女のところに彼がやってきて話しかけてきた。

「また、この前の打ち上げみたいに~、端っこが好きなの?」

いつもと変わらない笑顔に

「やっぱり男の人は顔も声も可愛い方がいいよね…、」

意地悪を言ってしまった。

「さっきの聞いてたんだ…、その後の言葉聞いてないの?。スネてる?。顔も声も含めて心が可愛い人って言ったのに…。もちろん誰かさんを思い浮かべてね」

”そういうことを可愛いって言うんだよ”と彼は。小声でそっと呟く。

この何十人かの中で”私だけ幸せで申し訳ない”という優越感を味わう彼女だった。

「ネックレス付けてくれたんだね」

「特別な日だから…」

うつむき加減でそう言い、彼も笑顔で小さくうなづいた。

やよいは周りから隠すようにバッグから箱を取り出し彼に渡した。

「中身は家に帰ってからみてね。恥ずかしいから」

中身はちょっと良い男物腕時計たった。

彼はジャケットのポケットに忍ばせ、仲間たちのいる場所に戻った。

盛り上がりを見せた本会の後、二次会を言い出した人たち数人で居酒屋に行くらしいが、男性ばかりのようなのでやよいは遠慮した。彼も了解して誕生会はお開きとなった。

久しぶりに会えたけどゆっくり話せず、何だか消化不良だけど仕方ない。疲れがてなきゃいいけど…、と思いながら彼らを見送った。

次の朝早く吉井から電話があった。

「プレゼントありがとう。こんな良いもの、無理したんじゃない?」

「無理じゃないよ。喜んでもらえたなら嬉しい」

「ありがとね、また電話するね」

これからアフレコがあるからと電話をきった。本当に忙しい人である。


年末月になり、やよいにも運の神様が味方したのか、アニメの他にもナレーションやラジオの仕事が増え、吉井の誕生会以来2ヶ月半会えていない。

LINEも既読するのが日付を超えるようになってきた。

既読に気づくとすぐ電話をくれて久しぶりの会話。

「ごめんね、LINEに気がついても遅い時間に悪いと思ってしまって…」

「分かるよ、俺も経験あるからさ。でも身体壊さないか心配だよ」

「大丈夫、休める時ね休んでるから。慎さんは大丈夫なの?」

「俺もちゃんと休んでるから」

お互いのスケジュール把握している。吉井は31日と1日は休みになっているけど、やよいの年末はネット配信の特別番組があり、年を越してしまう。

「会いたいな…」

辛そうに彼女がそう言うと

「俺だって!!。でもこういう仕事をしてるサガだよな。せめて共演できる作品があればいいのにな」

2人で共演した作品が終了してから半年経っている。彼女は、以前に吉井のLIVEの時に言っていた”強く願えば夢は叶う”という言葉を思い出し、例え仕事であっても近いうちに会えるようにと強く強く願った。


そして願いか通じたのか翌年2月に新作アニメのオーディションで会えることが分かった。役者の神様ありがとうである。

やよいは、吉井は多分、主役か準主役で合格すると確信している。

問題はやよい自身、声質で落ちる場合もあると覚悟していた。いままでから何度もあったことである。

ただ…そのオーディション会場にはやよいの元彼.藤田達弥もいた。

藤田はここのところ、テレビのドラマ出演が多く、しばらくアニメから離れていた。今は人気俳優の有名人。本当に才能のある人物のようだ。ドラマでの仕事に区切りがつき、久々のアニメ現場だった。不謹慎なのは分かっているけど藤田が落ちることを彼女は願ってしまった。


運命の神様は少し意地悪だ。1週間の合否の返事は思った通り吉井が主役だったが、よりにもよって藤田が準主役。そして、やよいは主人公の姉役が決まった。久々の女性役で少し嬉しい。が!運命の神様!意地悪過ぎる!、と複雑だつた。

合格の嬉しさ半分、気が重いが半分。…「何の試練なんだろう…?。」と呟く。

吉井は藤田が元彼だとは知らない、知られたくない…。何もかも隠さずに話してきたのに、ここにきて吉井に秘密を持つことに彼女は心が痛んだ。


収録が始まり、3人がマイクの前に立つシーンもある。心の奥の気まずさを気づかれないようにと彼女は必死だった。

吉井とは、顔合わせ、読み合わせなどで毎日のように会えるようになり、収録後に2人で食事に行く機会もあって、

会えなかった時間を縮めるようにいっぱい話した。

「なんかさぁ、何かの試練与えられてる気分だったよ。」

スネ気味の彼を、やよいは可愛いと思ってしまった。

「でもさ、仕事でとはいえ、やっと会えて芝居の神様に感謝だな」

「私も思った!。今度の作品の話がなかったら、まだ会えないままだったもん。何も悪いことしてないつもりなのに」

「そうだよ、LINEとか電話はしてても、やっぱ会えないとさ」

何ヶ月会っていなくても愛されてると実感させてくれる。

吉井慎を充電したい衝動に駆られたやよいは彼の手を取るという、らしくないことをした。

「あっ!、ごめん」

離そうとした私の手を握り返し、

「やよいから握ってくれたの初めてじゃね?、すっごくドキドキする」

彼の顔が少し赤らんだように見え、彼の全部を充電した気がすると幸せを噛み締めた。もちろん彼女自身も顔は真っ赤だったのがわかる。”身体中か熱い。まるで中高生じゃない…”と童心に帰る。


収録を始めて話数も半分をほど過ぎた時、休憩ロビーの片隅にいたやよいに声をかけたのは藤田だった。

収録スタジオの外に出るように促され

「ひさしぶりだね、6年?、活躍見てるよ。頑張ってるな」

まるで何も無かったかのように相変わらず上から目線で、変わらない自信溢れる藤田に彼女は少しイラついた。

「ご無沙汰してます」

素っ気なく言って立ち去ろうとした彼女に

「あの時はホントにごめん。俺…、スッゲー後悔してる。」

「私に対しての後悔は奥さんに失礼じゃないですか?。お子さんいくつになりました?」

皮肉たっぷりに言った。

「子どもはいないよ。嘘だったんだ。1年前に離婚した。」

離婚したことは知らなかった。藤田も騙されたのかもしれないけど、正直、いい気味だと彼女は思った。

別れた恋人同士の中には、別れた人に対して幸せになって欲しいと願う人もいるかもしれない。でも彼女は、愛してくれなかった人が幸せになるのは不快でしかない。冷たい女かな?と思う。

やよいは、自分の中にある愛情という器の半分も、藤田の器には彼女への想いは入っていなかったのだろう。藤田は誰かを愛情でいっぱいにした事があるのだろうか?と思う。

「私は後悔してないです。私への気持ちと別れ方が心に傷を残しただけなので」

「随分きらわれたもんた。まぁ仕方ないけど…」

しばらく黙り込んた後

「一度外で会ってくれないか?。やよいと彼女では180度違うのに間違えた。」

「間違えた…ですか…、会う気なんてありません!。それに呼び捨てしないで!」

そう言ったやよいを見る彼の顔は切なそうに見えたが、

「私いま大切な人がいます。あなたより何百倍も素晴らしい人です。誰かさんみたいに浮気する人じゃないし、私も浮気するつもりありません!。」

少し声を荒らげた。

まだまだ収録が残っているのに…、。こんな会話、誰かに聞かれてなければいいけど…と不安になる。

「そっか、彼氏いるんだ。残念だけど仕方ないな」

藤田は本当に後悔しているようだか、でもただそれだけであっさり引き下がるそんな男である。


2ヶ月弱の収録が終わり、久しぶりに吉井と会うことができたが、場所が公園だったことに違和感を感じた。

大きく息を吸った後、彼は

「この前の収録の半ば、スタジオの外で藤田さんと話してたよね。たまたま見かけたけど?」

よりにもよって彼に見られていた。

「1年先輩だけど、ほぼ同期だし、久しぶりだったから」

と、苦しい言い訳…

「話したいと思ったのに姿が見えないから帰ったのかなと思って探してたら見つけて…、告白でもされた?」

勘よすぎ…

告白に違いはなかったが、険悪な雰囲気だったのは気づかれていないようだ。と思ったのに

「何か変な雰囲気を感じて声かけられなかった。恋人の勘ってやつかな?」

しばらく沈黙…、居た堪れない。

吉井は小さくため息をついた後

「やよいを傷つけた元彼って藤田さんなんだろ?。いくら俺が馬鹿でもおかしいと思うよ。君はうつむき加減で落ち着かない様子だったし」

小さくうなづいた彼女に

「やよいのことを好ましく思ってる人が、たくさんいるのは知ってるけどけど、別に気にしなかった。でも元彼となると別だよ。しかも藤田だったなんて」

やよいがいつまでも傷を引きずっているのに、もう会いたくないとか声も聞きたくないというのは、忘れられないの裏返しだと、彼はすこし震え気味に言う

「絶対にそんな事ない!」

彼女も少し声を荒らげたが、

「あれから馬鹿な想像ばかりするんだよ。何せ初めての相手だし、6年も傷ついたままだし、寄りを戻そうって言われたらグラつくんじゃないかって」

「傷なんて慎さんと出会って消えたよ?、…信じられなくなったの?」

「自信が無いんだよ」

「誰かに何か言われたの?」

「そんな訳じゃないけと…、何か…どんどん人気者になっていく君を遠く感じて、離さないように頑張らなきゃって。そんな時のあれだから…、頭がグルグルするよ」

やよいは初めて、怒っていると感じる事に、何と言ったら信じてもらえるのか言葉が見つからない。

「はっきり言って嫉妬だよ、こんなの初めてでちょっとパニッくってる。」

そして長い沈黙の後

「しばらく頭の整理が付くまで考えたいんだ。やよいも藤田さんのことや、俺とのこれからをどうしたいのか考える時間が必要なのかもしれない…。ちょっと距離を置こうかと思ってる……。えっと…別れ話じゃないから」

そう言われても、実質、距離を置くは、恋人同士の中で別れを意味することが多いと、彼女は納得出来ずにいた。

「ごめん……、ホントごめん」

彼はそう言ってこの場を離れて行った。

彼女には迷路にいる彼を引き止める勇気はなかった。

(最後の恋だと思ったのに…たった数分の元彼との会話のせいで、とこまで藤田さんは私を苦しめるの…。辛くて辛くて息が苦しい…。…慎さん…慎さん…、どうしてこんな事に…)

声が震えて、彼女は本当に息がしにくくなってきた。

フラつきながら何とか大通りには出たけど、立っていられずに座り込んでしまった。過呼吸になってしまったようだ。

過呼吸はしばらくすれば治まるのかもしれないが、彼女が座り込んでいるのを見つけたカップルが心配して救急車を呼んでくれた。

病院に運ばれ、しばらくして過呼吸は治まったが、お礼を言って帰ろうとした時、寒気が身体中を襲った。

声が出ない!、ため息のような微かな声しか出ない…。そしてまた過呼吸になってしまい、このまま様子を見た方がいいとの判断で入院することになってしまった。

このままでは今入っている仕事のスタッフ全員に迷惑をかける。震える手でマネージャーの加藤沙耶子にLINEをした。

1時間もしないうちに沙耶子は飛んできてくれた。

「やよいちゃん!、声が出ないってどういう事?!」

やよいは沙耶子の顔を見た途端、出ない声を振り絞る様に泣いた。

声が出なくなった訳は言えない。吉井と付き合ってた事は言ってないから…。

「泣いてちゃ分かんない!、しっかりして!」

いつも冷静な判でやよいを支え続けてくれた彼女が取り乱して泣きそうになってる。

泣くばかりで埒が明かないと、彼女は医師に話を聞きに行った。

(私は何をやってるんだろう。好きで好きでたまらない仕事ができないほど恋に溺れて…。

その仕事の支えが慎さんの存在で成り立ってる。私とっては仕事も恋表だから無くしたくなかったのに…)

心の中で自問自答し、両立できて幸せでいる人が羨ましく思えた。


医師との話が終わって病室に戻ってきた沙耶子は

「検査しても、喉にも身体にも問題は無いって…。精神的な要素が大きいって。何があったのか教えてくれないと対処のしようがないわ。」

失恋でこんな事になったなんて、とても言えない。あまりにも弱すぎる自分に呆れるかもしれない。自分には仕事も恋愛も向いていないのかもしれない。壊れるほど人を好きになった私がいけなかった。そのせいで両方失った。この自暴自棄が薄れる事はあるのだろうか?…。やよいは、心が壊れかけている弱さに不安で不安でしかたなかった。


5日経っても声は戻らず、食事が通らないため点滴の毎日。体重の減りが体力を落とす。食事がしにくいのは仕事が出来ないことが大きいのかも?と、吉井の事は諦めようと努力し、るけど、あんなに純粋で優しい人には二度と出会えないと思うと、一生独身だな?と我ながら呆れる…と、全身の力が抜けるやよいだった。


声が出なくなる前に決まっていたアニメの代役は沙耶子と制作関係者の人達の尽力で、問題なく進められていると沙耶子からは連絡があり、その先のやよいの仕事も何とか目処をつけているらしい。

何度も何度も沙耶子や事務所の社長に謝罪のLINEやメールをしながらも、この世界から干されるかもしれないと、少しだけ覚悟した。東京に送り出してくれた両親、応援ををしてくれた居酒屋の大将やファンの人たち、お世話になった全ての人達に合わす顔がない。やよいは益々体力が落ちていく。

人間の弱さは心ひとつで何とかなると言えるのは、苦しさを知らないか強い人なのか、その人たちには想像出来ない心なのだろう。


その頃、吉井慎はアフレコを終えた休憩ロビーで友人たちと話をしていた。

「やっと一区切りついたなぁ、これからどうよ」

先輩の声優が打ち上げを誘う。

「いいですねぇ、なんか久しぶりですし」

後輩の声優がノリノリで言い

「吉井くんも行くだろ?最近元気ないし、疲れてるのか?」

「まあ…疲れてはいるけど、息抜きも必要なのかも…」

吉井は本当に疲れていた。やよいとのあの日の出来事からモヤモヤが付きまとい、自分の言動がやよいを苦しめているのでは?と後悔していたが、元彼が藤田だと知り、役者として才能溢れる彼に適うのだろうか、自分よりはやよいのためになるのでは…などと、彼女の吉井への想いを知らずにいた。彼もまたガラスの心の持ち主のようだ。

「疲れてると言えば、やよいちゃん大丈夫なのかなぁ?」

先輩声優の一言にそこにいた2.3人が”どうした?”という顔をしている。

「5日くらい前から声が出なくなったらしい。」

先輩声優はやよいが降板したアニメの共演者だった。

「声がって…声優として致命的じゃん。心配だよね。やよいちゃんってさ、あの声と大人びた顔とは全然違って気持ちの可愛い人だもんなぁ」

吉井と比較的仲の良い声優の言葉にそこにいたみんなが心配そうに頷く。

5日くらい前といえば、あの公園での出来事があった日。吉井は震えが止まらなくなった。

「今はまだ入院してるらしい」

先輩の言葉に

「どこの病院なんですか?!、お見舞いとか…」

吉井は冷静を装い尋ねると

「聞いた話では○○医大らしいけど…。俺のマネージャーとやよいちゃんの事務所の人が友達で、俺がマネージャーに見舞いのことを言ったら、今は話せないから声優が行ったりしたら良くないんじゃないかって」

「そりゃそうですよね、辛い時期だし…」

きっと彼女なら大丈夫だと確信めいた感じで深く考えていない様子の彼らは行きつけの居酒屋に行くことにした。

「すみません、俺は遠慮ます、お酒も苦手なので…」

吉井は自分の動揺を押さえるのに必死だった。

ノンアルなら構わないだろうにと思った先輩だったが

「まあ、じゃあまた今度な」

先輩は後輩たちと居酒屋に向かった。

先輩は、吉井は絶対病院に行くなと察し、彼はやよいが好きなんだと直感したようだ。


吉井は病院に向かうタクシーの中で、”俺のせいだ…”の繰り返しで震えが止まらなかった。

病院に着いた彼は受付で彼女の部屋番号を聞くが

「面会謝絶ではありませんけど、今はそっとして置いてあげて欲しいですね」

看護師はそう言ったが

「なんで今頃来た?って、思われるかも知れませんがが色々あって…。彼女は恋人なので!」

噂になってもいい。彼女となら望むところだ!とキッパリと恋人宣言をした。

看護師は渋々ではあるが部屋番号を教えてくれた。

看護師の1人が彼のことを知っていて、噂になるのは時間の問題なのだろう。

部屋の前まで来た彼だが、軽率な自分の言動を許してもらえるか自信が無かった。でも今を逃したらもう二度と…、意を決し、深呼吸をして部屋をノックした。


相変わらず、息抜きの散歩くらいでほとんど病室を出ないやよいは、担当医の先生に”このままじゃ死んでも知らないよ!”と叱られ、こんなところにまで心配や迷惑をかけては行けないと、無理やりではあるけど少しづつ食事を摂るようにいているが何も出来ず何も考えたくないと、ノックに気付いたが、看護師や沙耶子マネージャーなら勝手に入ってくるだろうと寝たフリをした。

扉を開ける音がして聞こえてきたのは

「やよい…、入っていい?」

吉井の声に動悸が止まらない。嬉しくて恋しくて今すぐ起き上がりたいのに、こんな情けない姿を見られたくはなかった。どうしてらいいのか分からず、そのまま寝たフリをしてしまった。

「寝てるのか…。その方がいいかもな…。顔を合わせたら俺まで言葉が出なくなるかもしれない」

彼は小声で独り言を言っていた。そして彼は寝たフリをする彼女に話しかけた。

「俺が壊したんだよな…。あんな辛かった恋でも傷だけで済んだのに、俺の大人気ない嫉妬のせいで。、…俺は自分に自信がなかったのもあるけど、やよいのことを俺より前に知ってるあの人に心が揺らいでも仕方ないんじゃないかって…。俺の恋人としての自信を持つためと、君がどうしたいと思ってるのか考える時間が必要だと思ったんだ。ホント軽率過ぎた…。やよいを失う怖さを考える余裕ないくらいの嫉妬で苦しかったんだ。」

やよいは息を殺し震えを殺し、涙で枕がビショビショになる。

彼は話を続ける。

「よく考えたら、俺がいれば壊れずに済んだはずの強化ガラスを自分で壊してどうすんだ!って…。どんなに傷ついても割れずにいてくれたのに…。よく考えたら分かることなのに…、ホントごめん。」

少し長い沈黙の後

「愛してるんだ……。また来るよ、やよいが許してくれるまで…」

そう言って彼は部屋を出ていった。

今まで好きとしか言わなかった彼が愛してると言ってくれた。彼女自身にも自信がなかっただけなのに……。

引き止めるべきだったのかもしれない。声は出なくても”怒ってなんかいない”と止めるべきだった。

タイミングを逃し、勇気を逃し、ただただ、”また来るよ”の言葉に、”今度はちゃんと起きてに謝りたいから待ってる、ごめんね”と心の中で呟いた。


翌日からは、吉井の言葉や想いを精一杯受け止め、少しづつ食事の量がふえるようになった。

やよいは、”私って単純”と苦笑いをした。

看護師は

「食べられるようになったのは恋人さんが来てからですよね?」

えっ?!、という顔をしたやよいに

「ここに来た時、部屋番号はちょっと……って言ったら、そう言いましたよ?」

吉井は人前で躊躇無くそう言ったらしい。この人は彼のことを知っていた看護師さんだった。

「あのアニメも見てましたよ、ファンなので…。恋人宣言で納得!」

と、親指を立てて笑った。

優しい人たちに応援され、ホントに頑張らないとと、時間があれば散歩がてら声を出す練習をしたり、毎日来てくれる沙耶子マネージャーのに、もう大丈夫アピールをして安心して貰えるように努力した。


そんな、初めて吉井が病室に来てくれた日から3日後、散歩から戻るとテーブルに(体調どう?、また来るよ)とだけ書いたメモと彼女の大好きなお菓子が置いてあった。彼が来てくれてたのに、またタイミング逃したと、今日一日くらい散歩を休めば良かったと後悔した。

愛おしくて愛おしくて涙でメモがボヤける。

LINEをすることも出来たが、せめて普通に声が出るまではと我慢した。

2日後、何とか普通の会話ができるくらいまでに回復したやよいは今日のうちに退院できるようになった。

そして、迎えに来てくれた沙耶子にようやく私がこうなってしまった訳を話した。

「アイドルじゃあるまいし、何も隠す事じゃないじゃない。吉井さんはホントにいい人だし、言ってくれればスケジュールも何とかなったかもしれないのに…」

少し怒ったように言う。

「うんん、多分今回のことは仕事だけじゃない、弱い私の問題だもん。本当にごめんなさい」

「じゃあ、もう復帰しても大丈夫そう?」

沙耶子は彼女の見る見るうちに変わっていく様子に1ヶ月後のオーディションの予定を入れていていた事を明かす。

「無理しないでいいけど…まだオーディションの段階だし…」

「ううん!、頑張る!。改めて養成所に通ってリハビリ続ける」

やよいの所属する事務所は養成所でもあるため、社長にお願いして、しばらくは通うつもりにした。

「ところで…、退院の事、吉井さんに知らせなくていいの?。何度かお見舞いに来てたみたいだけど?」

彼の名前が出て身体中が熱くなった。

「正直な子…」

やよいの顔を覗き込んで沙耶子は優しく笑った。

自宅に着いたら電話をすると約束して、お世話になった先生や看護師さん達に、今度は自分の声でちゃんとお礼を言って病院を後にした。

看護師さんの中に、やよいと吉井との事を応援してくれた人もいて、頑張れポーズで手を振ってくれた。

優しい人達に囲まれた今の人生、こんな私でも幸運を持っているのかと彼女は自惚れている。


夕方、自宅に戻できたものの、いつ何時に彼に電話したらいいのか、携帯を持って座り込んでいた。

通じなくても着信履歴で気づいてくれると思い、電話をかけたがやっぱり通じず、いつあるか分からない返信を待ちながら、吉井の出ている最近の動画を見て過ごした。心なしか元気がないと感じた様子に”私のせいだ…”と、心が傷んだ。

午後7時過ぎ、着信相手に彼の名前…、震えながら出ると

「やよい!、何かあった!?」

心配そうな彼の声に「慎さん…、ごめんね」

としか言えなかったが

「今どこ?!」

慌てた様子の声に、自宅とだけ答えると

「退院出来たんだ…、良かったぁ…。1時間…あと1時間くらいでそっちに行く!」

そう言って電話を切った。。

今までの数日・数ヶ月より1時間が長く感じた。彼が来てくれたら何を話そう、何も言えないかもしれない。色んな事を考えているとチャイムが鳴った。

人生で一番の緊張とドキドキで心臓がうるさい。

落ち着かせながらドアを開けると、紛れもなく吉井が立っていた。

彼は泣きそうな表情で玄関に入るなり彼女を強く抱き締めた。

「ごめんな、ごめん…」

必死に謝る彼の声は震えていた。

「慎さん…、ごめんなさい」

やっと、彼に声を届ける事ができた。

「声が聞けて良かった…。」

と、しばらく離してもらえなかった、やよいから離すつもりはない。


2人とも少し落ち着き、彼女自身が落ち着かせるために飲み物を用意していると

「それはいいからこっちで来て」

緊張しながら彼の隣に座ると

「家に入れてくれたということは許してもらえたのかな?。何か…怖くて、来る途中も心臓バクバクで…」

「許して欲しいのは私よ。いっぱい心配かけてごめん」

「もう普通に話せるようになったんだね」

そして彼は病院で話してくれた事をもう一度話してくれた。

寝たフリをしていた事は言えないけど、何度でも聞きたい彼の言葉だったから。

「強化ガラスを壊したのは私自身だよ。慎さんに仕事をしている私が遠くなるって言われた時、声優でなかったら私自身を愛してくれたのかなって思ったら、こんな事になっちゃった…」

薄笑いを浮かべる彼女をグッと引き寄せ

「声優でもやよい自身でも、どっちも君なのに、あの時はホントに余裕なかったんだ、ごめん」

「こんな事態になる前の幸せな時間に戻れるかな?、そうすれば、慎さんに迷惑かけずに済んだのかな?って。」

「だから!、迷惑かけたのは俺の方だって。それに戻る必要は無いよ。俺たちがどれだけ想いあってるか試されたんだと思う。神様のイタズラってやつ?。打ち勝ったぞ!って気分だよ。俺たちにとっては大事な時間だっと思うから、戻る必要ないよ。」

吉井はそう言うが、やよいは彼を含めてたくさんの人に迷惑は無かったことにしたい気持ちだった。ズルくて自分勝手だ思う。

やよいは勇気を出して彼の手を握り、自分から彼の唇にキスををした。

彼はキョトンとがすぐにキスを返してくれて、強く抱き締めてくれた。

そして、

「結婚して欲しい、やよいと結婚したい。ダメか?」

本当はずっと待っていた言葉。やよいは座り直し、

「吉井慎さん、私にあなたの苗字を下さい」

「えっ?、プロポーズは俺が先なのに何で?」

「だって…、いつか些細なことで喧嘩した時、あなたがプロポーズしたんじゃない!、なんて言いたくないから」

「まったく…、君って人は…。いくらでもあげるよ、俺の全部をもらってくれ!」

「私の全部も…ね」

しばらく抱き合ったままでいると、

「近いうちに温泉にでも行かないか?、俺、我慢限界かも…」

彼の言いたいことは子供じゃないんだから理解できた。変に想像して恥ずかしくてたまらない。

恋人同士になってから1年ちょっと。35歳と30歳の今どき珍し過ぎるプラトニックである。

彼はこれからラジオの収録があるからと11時頃に帰った。彼女のために忙しい時間を割いてくれたようだ。


やよいは改めてボイスレッスンをして現役復帰を進めた。

1ヶ月後、お互いのSNSで交際宣言をし、結婚後は仕事を控えると言う彼女に

「君の声を聞きたいのは俺だけじゃないんだよ」

と、望まれる限り続けた方がいいと言ってくれた。

この1年ちょっとでの色んな出来事は、人を強くも弱くもすると学んだ。例えガラスでも重なれば強くなる。

人生は、尽きない勉強の日々なのかもしれない。


数ヶ月後、2人は結婚し、やよいの妊娠を機に彼女は少し長い一時活動休止をした。


一児の親 になったこの夫婦が一生お互いを愛し続けたことは言うまでもない。


終わり


最後まで読んでいただきありがとうございました。

この物語はもちろんフィクションですが、作者が実際、歌手・声優を夢見た思いを小説にしました。現実は、普通に結婚し普通に歳を重ねて普通の人生を歩んできましたか、夢は幾つになっても見ていいじゃないと思い、こんな将来、こんな恋愛がしたいと思う、想像と妄想の物語です。正直、歌手・役者の世界を知りません。本当に想像の世界です。役者関係の方が見たら「あれ?」と思うかも知れませんが、素人の戯れと暖かい目で見て頂ければ幸いです。でも、作品を作っている間は楽しくて楽しくて、まさに夢心地で時間をわすれました。

慎とやよいの生きる世界はちょっと世間離れしていて、有り得ないと思うかもいるしれませんが、誰もが一度は思うかもしれない”もし人生をやり直せたら”という夢の世界を感じて頂ければ幸いです。

*誤字脱字はご容赦を( * . .)"

作者より

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