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LEVELING FOR DEATH ―殺し、死に、蘇り、殺せ―  作者: 鹿紅 順
第一章後編 殺し屋たちの狂宴
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第八十一話 ありふれた話

◇銀清船【ぎん-せい-せん】

組織/探索団


レアルムを活動拠点とする探索団において、

確かな実力を持つ中堅どころとして有名な団。


団長のギブソンが操る銀、それにより生み出される

銀船を用いた団員との超火力の連携攻撃は有名。


船に乗りながら戦う珍しい戦法は、『蒼の天盤』の団長

テンペスタ・ラインボルトの興味を大いに引いた。


「僕と戦うなら、相性が良い魔法だね」


そう言われ、ギブソンは大いに困った表情をした。

嵐に小舟で漕ぎだすか、大船で挑むか程度の違いだと。

   ***




◆???、???



 他愛もない話をしよう。

 とてもありふれた話を。

 同情を引く話ではない。

 ただ、人間が狂う話を。




 一人の娼婦が子供を産んだ。


 娼婦はとある富豪の男に囲われており、出産の暁には正式に男の妻となる約束だった。

 娼婦は己の未来に歓喜し、幸福の中で子を産んだ。




 産まれた子は女だった。

 娼婦は男に手切れ金を渡され、一方的に縁を切られた。






 富豪の男が求めていたのは、己の資産を継ぐための男子だった。


 正妻の間に子供がなかなかできず、それを理由に夫婦仲に溝ができたことから、男は外に癒しを求め、見初めた娼婦のもとに足繁く通った。

 娼婦も男を丁寧に労わった。富裕の客は大歓迎だ。それが固定客になるなら、なおのこと。


 そうして男の脳裏に昏い(くら)考えがよぎる……この女との間に生まれた子を嫡子としよう。正妻は、子が生まれてから離縁すればいい。それを理由にすれば、正妻の実家も強くは言えないだろう……そんな浅はかな考えが。


 男は娼婦に婚姻を申し出た。既に結婚していることなどは伏せ、子を産むことを条件に。

 さすがの娼婦も二の足を踏んだ。娼婦にとって避妊の処置を止めて子を孕むとは、その間、稼ぎが難しくなること意味する。その後はもちろん食い扶持が増える(・・・・・・・・)分、生活は厳しくなる。


 だが、娼婦は結局、男の話を飲んだ。

 春を売って糊口をしのぐ娼婦の理想と言えば、金持ちの男に水揚げされ、夫人として貧乏と無縁の生活を送る……まさにそんな浪漫譚のような話を持ちかけられて、断れというほうが難しいだろう。

 子を産んでからという条件が引っかかったが、それも、男との確かな証を先に作ると思えば些末な不安だった。


 娼婦にとっての不幸は、娼婦が生んだ子が女だったこと。


 そして、もはや義務的にこなしていた作業の結果――正妻が懐妊したことであった。


 子が出来た途端、夫婦仲は嘘のように改善したようで、正妻が無事に男子を生むと、男は家族を愛し、幸せに暮らしっていった。






 かたや娼婦にとっては苦難の日々の始まりだ。


 縁を切られた当初は、男が自分の元に戻ってきてくれると信じていたが、時が過ぎ、それが幻想だとわかると、彼女の生活は荒れに荒れたのだ。


 もはや男の血を引いた子供も憎悪の対象でしかなかった。

 しかし殺すこともできない。

 殺せば進値が上がってしまう。進値が1より高い娼婦は、手を一度血に染めたとして、男たちが安心して抱けないと忌避するのだ。

 かといって育てないという選択肢も取れない。衰弱死でも、自分が世話をしなかったことを理由に殺したと見なされ、もし進値が上がってしまったとしたら……。


 歪な育児理由は当然、虐待という形で発露された。

 そこに愛はなく、家畜の扱いと大差はなかった。餌をやるように食事を与え、ただ聞き分けをよくするために痛みのみをもって躾ける。


 娼婦の……大人の身勝手に翻弄され、何の罪もなく罰のような日々を生きる女の子。

 幼い頭で女の子は必死に考えた。自分がなぜ母親を怒らせているのかを。

 考えても考えても分からず、唯一分かっていることは――自分が悪いという事だけだ。

 母が言うのだから、きっと、自分は悪いのだろう。


「そんなことはないわ」


 少女の脳裏に声が響いた。


「だれ?」「私はあなたの姉妹」


 多重人格……医術の分野でそう命名された症状は、過酷な環境で女の子の心を守るために生まれた、存在しない家族だった。


「あなたは一人じゃない」「私は一人じゃない……」

「なんでお母さんが怒ってるのか一緒に考えよう」「うん」


 考えても考えても分からない。

 でも、二人なら考えることも分からないことも、楽しい。

 やがて出した結論は、


「私が可愛くないからだ」


 母はいつも着飾って外に行く。家から出るときは必ずそうだ。

 女の子は生まれてこの方、家の扉から一歩も外に出たことがない。少なくとも記憶にはなかった。

 母も家から出るときは可愛く見えるようにしてから出ていく――つまり、可愛くないと(・・・・・・)外に出ては(・・・・・)いけないのだ(・・・・・・)


 母の……娼婦のそれは、少しでも客を引くためという打算から来る行為でしかなく、身形のみすぼらしい者は出歩いてはならない決まりがあるわけではない。しかし、部屋の中(己の世界)しか知らぬ少女の瞳にはそう映ったのだ。


 たまに覗き見る窓の外。

 自分と同じ年頃の子供が洒落た服を着せられ、親に手を引かれて楽しそうに歩いていた。


 ――欲しいなあ。


 ――可愛い姿が(・・・・・)欲しいなあ(・・・・・)


 羨ましいではなく、欲しい。

 どうやって自分も可愛くなるかではなく、他人の可愛さをどうすれば奪えるか(・・・・)


 手段を知らない女の子にとっては、必然、手に入れる方法は極めて原始的な、他者から奪うというものしか考えつかなかった。

 この女の子が壊れているとしたら、きっとこの時点で既にそうだったのだろう。


 ――そして、もし神と呼ばれる存在がいるとしたら、この女の子に一片の慈悲をかけたのだと言わざるをえない。


 女の子がいつものように食事……家畜が食むようなそれを食しているとき。

 床に直接置かれた汚い皿には虫がたかる。

 食事を奪うものとして見るたびに叩き潰していたが、


「……? ……!」


 数えるのも忘れたほど虫を潰し、少女は進値が上がった。

 その虫はどこの家にも出没するくせに、極めて弱いながら魔物として扱われていた。

 遠い魔物の祖先から、人間と共生するために、小さく、弱く、速く、多くなるよう姿を変えてきたのだと言われている。

 とはいえ魔物なので、駆け出しの探索者に依頼して家全体に殺虫処理を施してもらうのが普通だ。

 そうとは知らずマメに(魔物)を殺してきた結果、進値の上昇とともに女の子は意能を授かった。

【少女擬態】――自らを背格好、体重が同じ少女の容姿に変貌させるという。


 女の子は喜んだ。これで可愛くなれる。


 娼婦は狂乱した。


 ――見て、お母さん。どれが可愛い?


 ころころと自在に姿を変え、選べ選べと迫り来る女の子(化物)

 殺してはいけないという最後の一線すら頭から吹き飛び、我が子に馬乗りになり、その首を絞める。

 絞める、絞める、絞める、絞める絞める絞める絞める絞める――死なない!

 空気を求め喘ぎ続ける女の子(化物)

 女の子が進値1のままなら、容易く逝けただろう。

 だが進値1と2では、肉体の強度に天地ほどの差があった。


「殺して!」


 朦朧とする意識を切り裂くように脳へ直接声が響く。


「殺して!」なんで?

「殺して!」お母さんだよ。

「殺して!」怒られているの。

「殺して!」私は可愛くないから。




「殺して――可愛いを奪えばいいじゃない!」あ……。




 鮮血が飛び散った。


 女の子の首から手が外れた。

 代わりに娼婦の手は己の首元を掻きむしる。尖った木片が突き刺さった喉を。


 嗤う女の子。なんで簡単な事に気づかなかったんだろう。可愛いは一番近くにあった。それを奪えば外に出られる。床に落ちていた木を手に取って一突きすれば、ほら簡単に。


 少女の進値が上がる。

 新しい意能がもたらされる。


  ずりゅ ずりゅりゅちゅ



 ――一つが二つに別たれますように。



「やっと、会えたね」「うん……お姉ちゃん」


 虫と腐った残飯と新鮮な死体の横たわる部屋で――(ふた)つの星は地上に生まれたのだ。




 いとけない女の子から少女へと成長していく過程で、彼女は、いや、彼女たちは〝欲しいものは有る所から奪う〟という哲学を確立していった。

 待っていても欲しいものは手に入らないことを本能的に理解していたためか、その言動の本質は極めて積極的かつ攻撃的であり、実力で障害を排除することに躊躇いを覚えない。


〝殺し屋〟という職に就くのは必然と言ってよかった。

 他者を殺して奪い、依頼人から報酬も貰えるなど、彼女たちに言わせれば「こんなに頂いていいのかしら?」と申し訳なさを覚えるほどだった。


「もっともっと殺しましょう」「もっともっと奪いましょう」


〝殺し屋〟はまさに天職だ!

 こんなにも素晴らしい仕事をありがとう!

 仕事として成り立つほど需要があることに感謝を!


 少女たちはくるりくるりと喜び舞う。


 可愛いお化粧と、可愛い衣装と、美味しいご飯と、楽しいお仕事。

 可愛い可愛い〝殺し屋〟さん、積み重ねた屍の上。




 狂う話と言ったでしょう。

 同情などめっそうもない。

 ありふれた悲劇が生んだ、

 愛を知らない、化物の話。




   ***




◆自由都市グアド・レアルム、旧区画



 地中からの百足の大樹の出現は、周囲に隠れ潜んでいた探索者たちも目の当たりにしていた。


「……オイオイ、聞いてねえぞ……!」


 この危険な捕縛作戦に志願して参加した彼らは『連絡会』に並ぶほどではないが誰もが名を知られている。

 主なところでは……


 探索団『銀清船』、『玻璃の弓』、『巨山大岩堂』、『クラウス・ヴェイン』。


 徒党『流浪の鋼』『アレックス』『青めし焔』『魔の夜の狩人』『黒竜』『蝶々姉妹』『灰と煙』。


 ゆくゆくは背中を追いかけられる立場になることを確信させる、将来有望な若手たち。

 その彼らでさえ自由都市グアド・レアルムに超巨大な魔物が出現することなど予見しようもなく、戦場に親しんだ足を止めさせるに十分な衝撃をもたらした。

 だが、それもこの瞬間までだ。


「ッ、事前の取り決めどおりだ! 伝達役はギルドに報告、魔法使いは準備を始めろ、剣士と盾持ちは前に来い!」


『銀清船』の首領ギブソンが声を張り上げ、素早く指示を出す。

 最も魔物討伐実績が豊富ということで頭を張ることになったが、その判断は間違っていないようだ。

 指示に従う者も、鎬を削り合う相手に指図されることに思うところはあるが、感情を切り替えて行動を開始する。それが出来る時点で優秀であることの証左だった。


 ――だが、指示に従わず、突出して駆け抜けていく影があった。


「……! 持ち場に戻れ『蝶々姉妹』、陣形を崩すな!」


 いるだろうと覚悟はしていた……功を独り占めしようと先行する身勝手な者が。


 今回の捕縛作戦は徹底した多対一を厳守しなければならない。〝殺し屋〟の手札が全て割れていない以上、相性の良い能力持ちをぶつける手段は採れない。ならば数の有利を活かし、安全を確保しながらじわじわと削っていくしかないのだ。


 ゆえに、その優位を捨てるような独断専行は許されない。多対一の勝負が、一対一を繰り返す勝負になった途端、こちらの勝率は危うくなる。


「『蝶々しま……、――――」


 ギブソンは何度も呼びかけるが、拭いきれない違和感を覚える。


『蝶々姉妹』は二人組の魔法使い。蝶の羽を模した特注の外套に身を包み、蝶の名を冠した魔法で舞うように戦うという。

 また、「魔法使いは安全な後ろから魔法を撃つのが当然」と言って憚らない典型的な後方支援型だ。


 ――それが剣士を振り切ってまで前に躍り出る?


 いったい何を考えている――だが表情を読むことはできない。

 彼女たちは皮膚をさらすことを極端に嫌っているため、どんなに暑い日でも頭巾を目深に被り、顔を見た者は誰もいないことで有名だ。

 それとなく、『銀清舟』以外の、集まった探索者全員に声をかけてみたが、やはり誰一人として『蝶々姉妹』の顔を知らず――


「――ッ⁉ やられた‼」


 ギブソンは袖に隠していた金属片を手の中に落とすと意能を発動させた。

 銀色の光沢を放つそれが液体のごとく溶けたかと思えば、一条の線となって空中を駆け、前を行く『蝶々姉妹』を射抜いた。


 突然の同士討ちにギブソン以外の探索者の思考が停止する。

 彼らが声を荒げる先に、




「――あは!」「正解よ!」




 射抜かれた外套だけをその場に残し、


 ――元の容姿に変貌したメアリーサリーが走る。


 ギブソンは歯噛みする。あえて顔をさらしたのは不信をかわすためだったのかと。一度注意を引き付けてその上で受け入れさせてしまえば、もう一度疑念を抱くのは難しい。


 そして自分自身に強く憤った。


 魔法、意能。

 この理外の力は人間が完璧に推し測れるものでは到底ない。


 そんな事はとうに弁えていた、そのつもりだったはずだ。

 なのに、姿を変えて潜り込んでくるという恐れを抱けなかった。




 ――メアリーサリーの意能【少女擬態】。


 効果で表出する少女の姿は常に無作為。法則性はなく、一度として同じ少女の姿になることはない。ゆえに特定の人物に成りすます行為はほぼ不可能。


 しかし、相手の意識から姿を眩ます……自分だと気づかれないように正体を隠す用途には極めて有効な意能だった。


 情報収集に特化したモーサンパッションでも行えない潜入調査や舞台への仕込みといった作業は、この意能を有したメアリーサリーが担っていたのだ。




 そして今。


〝殺し屋〟捕縛作戦に参加した探索者の集団にまんまと溶け込み、標的へと一直線に疾駆する。

 彼女たちの乱入は彼女たちが独断で決めたもの。

 ヴァルガは知らない。

 モーサンパッションは知っていて無視した。

 いや、たとえ知られていようが、カビ臭い貯水槽に寝転がり、傷を舐め合っているのだけは嫌だった。

 だって、


「私から楽しいを奪うのは」「許されないことよ!」


 戦場に白と黒の衣装が躍る。


「「さあ、存分に殺しましょう‼」」


「〝殺し屋〟だ! 止めろ!」


 ギブソンが叫ぶ。これにすぐさま反応できた者が多ければ、状況は変わっていたかもしれない。


 だが――最後の最後。実際に本物の〝殺し屋〟を目の当たりにしたせいで、彼らをわずかな恐怖が襲った。


 恐れを知らず百戦に臨み、己を錬磨してきたと豪語する彼らでさえ、戦ってきたのはあくまで魔物や人外といった異形だけだ。

 同じ人間、それも絶対的禁忌の人殺しを厭わない〝殺し屋〟という存在は、彼らに数瞬の判断を遅らせ足を止めるほどの未知の恐怖を植え付けたのだ。


 とはいえ、時間にすれば極短い間でしかない。

 これまでもそうしてきたように、恐怖を勇気で乗り越え追走を開始するだろう。

 しかし、戦場においては刹那の判断の遅れが容易に命運を分ける。


 今回もそうなるはずだった。メアリーサリーは二人悠々とギルのもとに辿り着き、その凶刃を振るうことに……


「「あら」」


 それを阻止せんと駆ける、ただ一つの影。


「――させるかよ……!」


 ヨアは、ギブソンが指示するよりも先にメアリーサリーを追い始めていた。

 ギルが単身で――グランドリオも近くに隠れていたが――囮役を務めると聞き、胸が潰れそうなほどの心配に襲われたもののその覚悟を汲み取り、せめて近くで助けになれるように捕縛役に加わっていたのだ。


 そして無法の限りを尽くした少女の姿を視界に映した瞬間、その足は動き始めていた。

 言ってしまえば命令より先に動いたのであるが――理屈ではなく本能で正解を選び取る獣のような嗅覚が、彼と彼以外の行動を分けたのだ。


 メアリーサリーが辿り着く。


「「――【恥無き牢獄】」」


 狂気の少女がその身に宿す極意(・・)が発動され、


 ――ヨア以外の、後を追っていた探索者たちは直前で不可視の壁に阻まれる。


「は、入れない……⁉」

「……ダメだ、魔法も意能も効かないぞ!」


 何も無いように見えるそこには、だが確かに何人もの侵入も許さない障壁が出現していたのだ。


〝羽の蝕業〟、〝殺し屋〟メアリーサリーの極意――【恥無き牢獄】。


〝羽の蝕業〟が得意とする空間掌握の範疇に漏れないその能力は、地中までも覆う無色透明な球体状の障壁を発生させること。

 その強固さは、同じく空間操作系の魔法・意能による干渉を除けば、鉄壁とも言える頑丈さをほこるだろう。

 しかし、ただ堅いだけの防御ならば類似する能力はいくらでもある。


【恥無き牢獄】、その真価は――転移による脱出の阻害。


 転移系の能力の特徴である空間を超越した移動すら封じてしまう。

 これで中に閉じ込められたものは効果時間が切れるか、発動者本人を倒すまで脱出は困難。


 この牢獄に閉じ込められたのはギル、グランドリオ、キャリカ、ヨア。

 そしてヴァルガ、ツェラ、メアリーサリーの八名。


 ――否。


 メアリーサリーが懐から放り投げた――()






【恥無き牢獄】は転移すら阻害する。

 だがそれは内から外へ(・・・・・)の脱獄の話。

 外から内へ(・・・・・)――自ら獄に繋がれに来る者を拒む能力は、ない。


 殺し屋たちは、各々が転移符を持ち合っていた。

 もしもの事態に備えて、互いが互いの位置へ緊急避難できるように。


 あるいは――強敵に遭遇した場合、加勢できるように。






 熱を発していた符は瞬く間に激しい炎を噴き上げる。

 その炎の渦を突き破り、現れる。


「――良い具合に、場が温まっているな」


 その出で立ちは激戦の直後を窺わせるも、未だ脅威は健在とばかりに圧倒的な存在感を撒き散らしている。


 かつて南方都市連合に〝殺し屋〟の恐怖を刻み込んだ怪人、〝頭陀人形〟モーサンパッションが降臨する。






 ここに全ての役者がそろった。

 四対五――すなわち、


 ヨア。

 ギル・ラーゴット。

 グランドリオ・ジルガ。

 キャリカ・ポップヴァーン。


     対


〝双星〟メアリーサリー。

〝頭陀人形〟モーサンパッション。

〝孤独〟ヴァルガ、ツェラ。


 視界を遮るもののない牢獄(舞台)で、最後の戦いの火蓋は切って落とされた。

◇恥無き牢獄【はじ-なき-ろうごく】

蝕業/極意/〝羽の蝕業〟


自身を中心とした球状に結界を展開する極意。

〝羽の蝕業〟の究極、空間掌握、その具現の一つ。


物理的干渉の遮断の他、結界外への転移を阻害する。

ただし、外から中への入獄はその限りではない。


この牢獄には鉄格子すら、覆い隠すものは存在しない。

虜囚たちに、恥じ入る罪などないかのように。


あるいは、その良心を忘れたがゆえに、繋がれるのか。

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