第五十二話 切札
◇鉄血一座【てっけつ-いちざ】
組織/探索団
オールディン三兄弟により創設された探索団。
レアルムでも屈指の実力を有する武闘派探索団。
『連絡会』の構成員の一員であり、〝三頭竜〟に欠員あらば、
真っ先に空いた席に座るだろう団と目されている。
団長の長兄オーガスタス・オールディンを筆頭に、
団員は恐れを知らぬ戦闘至上者が揃っている。
最強の名乗りは、決して慢心でも驕りでもない。
◆◆◆◆◆
◆自由都市グアド・レアルム、地下水路、グランドリオ・ジルガ
バクンッ! と勢い良く洞肥鰐の顎が閉じられた。
だが、魔物は不機嫌そうに喉を鳴らす。
その口の隙間からは、地下水路の汚水だけが零れ落ちた。
「――ネメ⁉」
突如、何の前触れもなく登場したのは、メルと一緒に逃げているはずのネメ・カシアだった。
あの女は一瞬で現れると、洞肥鰐のまさしく鼻先、既のところでヨアを拾い上げアイツを窮地から救った。
「ネメさんッ‼」
「……ああ、感謝してくれるのは分かったから、ちょっと離れてくれるかしらヨア君。今の貴方は全身、すごくベタベタしているの」
崇めそうな勢いで縋りつくヨアと対照的に、俺は油断なくネメの挙動に注意を払っていた。
あのバカは気づいていないようだが、出入口が洞肥鰐の粘液で塞がれたこの部屋に、あの女はどうやって現れやがったんだ?
考えられるのは――空間跳躍。
今居る場所から任意の地点へ、距離の制限や間にある障害物を無視して一気に移動する術。空間と空間を繋げて渡る瞬間移動。
本来ならそれは、〝羽の蝕業〟の持ち主が高進値に到達した際に得る極意の力、もしくは〝門の蝕業〟……異なる場所から物体を招き寄せる召喚魔法の亜種、この二つだけが持ちうる能力のはずだ。
空間跳躍はそれだけ高位の魔法・意能に該当する。だから習得している奴は稀。
だが、俺と同じ九等級の探索者……認めるのは癪だが、低進値の駆け出し程度の奴が持つには過分な代物でもある。
……いや、例外は何にでもあった。
七つの蝕業の中でも極めて異質、その危険性のせいで、かつて殺すのが正しいとすら言われた〝眼の蝕業〟ならば――
「グランドリオ君」
ネメが俺に呼びかけている。思考を中断して耳を傾けた。
「今、メル君が単身でキャリカさんを探しに行ってるわ。〝杖の蝕業〟を持つ彼女なら洞肥鰐に対抗できる魔法を持っていることを期待して」
「…………!」
それを聞いて、真っ先に俺がかけた言葉は感謝――ではなく、
「バカがッ、メルを一人で置いてきたのか! 戦えねえアイツを!」
その判断を責める罵倒だった。
はっきり言って、メルが探索者として買われているのは、戦闘以外の、支援に長けた意能面だ。
武闘派な『鉄血一座』に入団できたのも、戦えないことを差し引いても無視できない有用性ゆえだが……こと直接の戦闘に関しては貢献できる事は何もない。
俺たちが遭遇したのは洞肥鰐だけだが、他の魔物がいないとも限らねえし、洞肥鰐が産んだ卵から他の個体が孵っているかもしれない。むしろ、その可能性の方が高い。
そんな危険な状況にアイツを一人残して駆け付けたのは、たとえ俺たちの窮地を救うためだとしても、容認できねえ。
――だが、
「見くびらないで」
と、この女はいきなり訳の分からねえことを言う。
「貴方、彼と同じ探索団にいるのに、まるで信頼していないのね。……よっと」洞肥鰐が繰り出す前脚の叩きつけを軽やかに避けながら、ネメは言う。「彼も浮かばれないわね、心構えのできてない相手と組まされて」
「あア?」
「一人でキャリカさんを捜索することを提案したのはメルくんからよ。もっとも、〝グランドリオ君はきっと怒るだろうけど〟って、貴方の反応を分かってて困ったように笑っていたけれど」
ヨアが洞肥鰐に斬りかかり注意が逸れた隙を見て、ネメが俺の傍に後退してくる。
そうして俺を横目で見ながら、知った風なことを言う。
「彼もまた、探索者だということよ。戦闘はできなくても、戦いに参加することはできるわ。あの名高い『鉄血一座』に入団を認められたのだから、その決意と能力を信じてあげなさい。余所者の私より、貴方はよっぽどそのことを知っているでしょう」
「――――」
アイツは……メルは、いつもビビリちらして泣き言ばかり口にしてたが、確かに逃げ出すことはしなかった。
いつも俺の後ろに引っ付いてくるから、俺もメルは守らなきゃいけねえ存在だと、いつの間にか思い込んでいたが……。
「――あのさぁ、いいかなぁ! 取り込み中のところッ! そろそろ助けてほしいんだけどッ!」
ヨアの野郎が喚きだした。洞肥鰐の攻撃をヒイヒイ言いながら逃げている。そろそろ加勢に行かないとマズいだろう。
「皆、合図を待って」浄化槽にネメの声が響き渡る。「それまで洞肥鰐をこの場所に惹き付けるのよ。コイツを倒す策があるわ!」
ヨアから驚きと、歓喜の気配が伝わってくる。
「……ハッ、やってやるよ」
俺も負けじと火魔法で右手に炎の槍を形成、投擲。
ヨアの尻を追いかけるその不細工な横っ面に叩き込む。
脚を止めた洞肥鰐の目が俺を捉える。やはり全身を覆う粘液のせいで期待した効果はないようだが、注意を引くことには成功した。
「メルに笑われねえぐらいには仕事しねえとなァ」
今度は手に雷撃を纏わせる。
対抗手段も逃げ場所の無い危険な状況の中、俺は牙を剥き出しにした洞肥鰐に向かって、不敵に嗤いかけてやった。
***
◆自由都市グアド・レアルム、地下水路、キャリカ・ポップヴァーン
……ザリザリ、ザリザリ、ザリザリ
何かが這う音が耳に飛び込んできた瞬間、私は最悪の可能性を想定して立ち上がった。
虫――いや虫はこんな音を立てない。じゃあ何? 魔物? でもレアルムの地下に魔物なんて……それを確かめた人は? 過去にいなかっただけで今日が初めてになるだけじゃないのか――
分からない。分からない。
想像するのは自分が死ぬ未来。
探索者である以上、いつか来る死は覚悟していたつもりだった。
人外と化すことによる人間性の死
あるいは魔法の過剰行使による精神の死。
それよりも単純な、生命の死。
蘇る記憶……あの日、私たちが暮らしていた村を魔物が襲い、夥しい数の人が亡くなった。塗料をぶちまけたような鮮やかな赤色。装飾のように村中を彩る肉片と腸。日常を上書きした腐臭。
「いや……」
自分があんな最期を迎えるのかと思うと、魔石灯を掲げる私の手は震えた。
――死ぬのが怖いんじゃない。
探索者としては素人に毛が生えた程度の分際で、死は怖くないなどぬかすなと言われそうだけれど、だからこそ、殺されて死ぬ以上の恐怖が――探索者の栄達に至らぬまま、惨めに消え去る絶望という恐怖が、あった。
私はまだ、この世で何も成していない。
私はまだ、何者にもなっていない。
今ここで、死にたくない――
「よかった見つかったぁ……‼」
「へ……?」
曲がり角から姿を現したのは――メルという探索者だった。グランドリオと同じ探索団所属で、今回の請負依頼で初めて顔を合わせた。
彼はおそらく恐怖で腰が引けた様子で、足をザリザリと擦りながら寄って来る。さっきのはその音か紛らわしい!
「えっと、メル……君はどうして私がここにいると」
「グスっ……ネ、ネメさんが、キャリカさんを探すための助言をしてくれたからです……」
私が虫怖さに無様にも逃げ出した後、四人は洞肥鰐という魔物に遭遇し、二手に散り散りになったらしい。
そんな窮地にいなくて本当にごめんなさい。
私は咄嗟の事で【霧化】を使用して脇目も振らずに、ただ逃げやすい方へひたすら進んでいったのだけれど、メル君と一緒に行動していたネメが追跡の指針を示してくれたらしい。
〝――霧になって移動したのなら、風の影響を大いに受けるはず〟
〝――この地下水路には空気が欠乏しないよう、常に風が送られているの〟
〝――闇雲に探すよりは、その風の流れを辿って行く方がキャリカさんを見つけられる確率は高いと思う〟
〝――気が動転して全力で逃げたのだとしても、そよ風に舞う木の葉のように、砂粒ほどの大きさに分解された体では風向きに逆らうことはできない。むしろ風に乗って遠くに行こうとするはずよ〟
「あと、グランドリオ君のお陰です。ああやって音を出しながら動き回ってくれたから、僕の【音響探査】の意能で地下水路の広範囲を地図化できました。だから、風の流れを予想するのがすごく楽になったんです。……意能で分かるのはあくまで地形だけだから、洞肥鰐を警戒しながら移動してスゴく時間かかっちゃいましたけど……」
じゃあ、あの指笛の音色はやっぱりグアンの……。
「きゃ、キャリカさん。グランドリオ君とヨアさんとネメさんのところに戻りましょう。それで皆で脱出するんです!」
メル君が力強く私の腕を掴む。
「ぼ、洞肥鰐ってあれですよね、第七等級の魔物だから僕たちじゃ逆立ちしたって勝てませんよ。そんな相手なら逃げてもグランドリオ君も怒らないと思うし……。僕たちの任務は地下水路の点検なんだから、仕方がないですよ!」
至極真っ当な提案をする彼に、けれど私は俯くことしかできなかった。
「……キャリカさん?」
「……どんな顔して戻れっていうんですか」
任務の前から散々偉そうな態度で接しておきながら、いざとなると尻尾を巻いて、いや、醜態を曝して無様に逃げ帰った私が今更……。
任務の査定でも、この行動は大きく響く。私の行いは自身どころか徒党をも危険に曝す行為だった。九等級に残留なら温情、最悪降格だってあり得るのだ。徒党の皆どころか探索団に会わせる顔すらない。
沈痛な表情を浮かべる私の耳に飛び込んできたのは、得体の知れない咆哮であった。
「これは……」
「ぼっ、洞肥鰐だ! た、多分グランドリオ君が見つけられちゃった……」
メル君は私の腕を掴んだまま、確かな足取りで走り始める。
引っ張られ、私の足も彼を追う。
「ちょっと、どこへ……!」
「た、助けに――なるかは分からないけど、せめて近くに行けば何かできると思うんです、だから!」
私は呆気に取られていた。
あれだけ怯えた様子で逃げようと言っていた彼が、率先して加勢に駆け付けようとしている。
確かに、本来の依頼内容に無い異常事態が発生した以上、任務の中断は筋のある行動だからおかしくはないものの、それはただ魔物という恐怖から明確に逃げ出したいという感情に衝き動かされてのことだと思った。
だから、恐れる対象に向かって、恐怖を覚えながらも突き進むメル君のことを、私は別人になったかのように思えて困惑した。
そうこう戸惑っているうちに、響いてくる音が大きくなっていく。洞肥鰐へと近づいているのだ。
幾十度目の角を曲がったところで行き止まりに辿り着く。
目の前の道は、名状しがたい謎の粘液によって塞がれていた。その隙間の向こうから光が漏れ出ている……けたたましい交戦音も。
「み、みんな!」
メル君の声に真っ先に反応したのはネメ。「あら、ちゃんと見つけられたのね」と、戦闘の激しさを感じさせない涼やかな声である。
「キャリカさんならこの魔物を倒せる魔法があるってヨア君が言うのだけれど」
「――ってグランドリオが言ってた! ……っ⁉」とヨアさんのほとんど叫ぶような声が続いた。
そして、洞肥鰐が暴れる振動。
「……こっちはこんな感じで、逃げるのも難しそうだから、期待してもいいかしら?」
期待……もちろん私の魔法のことを言っているのだろう。
洞肥鰐……教本でしか知りえていない魔物に通用するかは未知数だけれど、強力な〝呪文〟と言うならば、事実習得している。
上位の蝕業にも到達していない、未だにただの〝杖〟止まりの私には分不相応な代物を……。
私は粘液の隙間から向こう側を見やり――その戦闘に圧倒された。
狭い室内を我が物顔で蹂躙、縦横無尽に暴れ回る大型の魔物と、それを紙一重で回避しながら攻撃を繰り出す三人。
ヨアさんが中心になって魔物の注意を引きつけ、グランドリオとネメさんが支援と遊撃を行う。素晴らしい連携のように見えたけれど、それでも魔物は気持ち悪く体を変形させながら、意に介さず襲いかかる。
ほんの刹那、グランドリオと目が合う。
戦闘中の狭い隙間から覗く目に気づく余裕があったとは思えない。
それでも、確かに――
「キャル!」
私を呼ぶ声。
でも、返事をすることができなかった。
事ここに至って、まだ腰が引けていた。
だから彼は、
「――メル、何とかしろ!」
視線をオロオロと彷徨わせていたメル君がピクリと反応する。
「『鉄血一座』の意地を見せてやれ!」
「――うん、分かったよ‼」
「俺は教えてる時間がねえからよォ、そいつから魔法の内容を聞き出したらブッ放すのに最適な場所に連れてけ。こっちの心配はするな。死ぬ気でなんとかする」
グランドリオの意を受けたメル君が私の手を引いて走り出す。
「メル君、いったいどこへ」
「とにかく、ここにいても何もできません! 走りながらでいいんでキャリカさんの魔法のこと教えてください!」
私は無意識のうちに、自分が使える魔法を教えることを躊躇っていた。
魔法と意能は探索者の生命線。
同じ探索団にあってすら、普段から徒党を組んで〝外域〟に潜っている仲間でもない限り、秘匿することが普通であるという常識が――
「スゥ…………おォーーーーーーーーーーっ‼」
メル君は唐突に大声を出したかと思えば、空いている方の手を拳の形にして天に突きあげる。
「鉄血一座最強! 鉄血一座最強! 鉄血一座最強!」
私は足が止まってしまうほど唖然とした。
「な……んですか、その頭の悪そうな掛け声は」
「グランドリオ君も頭悪そうって言って嫌がってます! 僕は好きですけど!」
……『鉄血一座』の団員は、普段からこんな恥ずかしい掛け声を日常的に叫んでいるのでしょうか。
入団試験を受けなくて良かった……。
「僕は心が弱いから! グランドリオ君みたいに一人で奮い立つことができないけど、団の皆と一緒に叫ぶと勇気を貰えるんです! 誰かの後ろに隠れてばかりの僕でも、それでも一緒に戦いたいって思えちゃうんです!」
けど、
メル君を勇気づけるというその掛け声は、私にも常識を打ち破る勇気を与えてくれた。
「……私の奥の手は――」
私が魔法の威力や効果範囲を説明すると、
「そ、それはまたスゴい魔法ですね。……だ、大丈夫かな、使っちゃっても」
メル君は感心しつつもやや顔を引き攣らせていた。
まあ確かにそういう感想になると思います。
それと、行使には相応の集中時間が必要なので、問題はどこで魔法を撃つかなのかですが……。
だけど、メル君は魔法の概要を聞いただけで最適な場所に思い至ったようで、心得たと言わんばかりに、また先導して進んでいく。
「……そう言えば、どうしてこんな迷路のような水路で、メル君は迷わず進めるんですか?」
「僕、記録には自信があるんで!」
そうして幾つもの角を曲がり、潜るように進み続けた途中の水路で停止した。
「ここです! ここで魔法を使ってください!」
見たところ何の変哲もない、これまで駆け抜けてきた水路と同じ光景。
……いや、そうか、出来るだけ被害を抑えようと思うなら、確かにここしかありえない。
私は可能な限り呼吸を整え、瞼を閉じて精神の集中を開始し――
――カサッ カサッカサッ
――カサッカサッカサッカサッ!
「ひっ……‼」
聞こえてきた、あのおぞましい音。
思わず目を開けた視界、魔石灯の明かりの届かない暗闇から這い出る虫の群が。
「いや……いやっ」
「キャリカさん!」
恐怖心は私の全身を絡め取り、束縛する。
闇雲に腕を振り回すことも、震える脚で逃げ出すことも許さなかった。
迫りくる虫の群に対して、メル君は私の前に立ちはだかって「このっ! このっ!」と足を振り下ろしている。
虫たちの群は私たちを避けて、しかし引き返すことなく通り過ぎようとしている。
次々と仲間が踏み潰されていることに気づいていないように。
まるで、それ以上の脅威から逃げるように。
私はついさっき、同じ光景を見ている。
「まさか……」
――咀嚼音と共に、複数の洞肥鰐が虫を追って姿を現す。
今しがた初めて見た個体よりはかなり小さく、メル君の腰程度の全高。おそらくは幼体。
ですが、口腔には鋭い牙を生え揃え、立派な捕食者として徘徊していることを確信させる。
あの個体は既に産卵を終えていたということになります。そう言えば、洞肥鰐は有精でも無性でも増えることができると教本で読んだ記憶がありました。
そんな事よりも、今は魔法を……でも虫が……。
いえ、先に洞肥鰐に対処しないと。そうなると、遅れれば遅れるほどグランドリオたちに危険が――
「――うううああああああああああッ‼ あっちいけえええ!」
メル君の振り回した魔石灯が洞肥鰐の幼体を襲う。
「安心してください! 僕がキャリカさんを守りますから!」
怯えを隠せていない震え声で、それでも安心させようと笑うメル君。
「――――」
それを見て、本当に、心の底から、私は何をやっているんだと思うことができた。
瞼を閉じる。精神を集中。
魔物を目の前に無防備を曝す。
でも不思議と恐怖は無かった。
私を守るという言葉に、今だけ全身を委ねる。
そうすることが一番早く彼の為になるから。
「う、ぎっ、あああああ!」
メル君の苦悶の声が響く。
目を開けるな! 目を開けると、きっと私は彼を助けようとするから。
捕食者から逃げようと、虫たちが足の甲の上を駆けていく感触。
平時ならとっくに卒倒していた私が、今は奇蹟的な平衡の上に、なんとか意識を保っている。
誰かの大切な命が懸っているという極限の状況が、私に気を手放すことを許さなかった。
頭の中で〝呪文〟が次第に形を取り始める……非常に曖昧で茫漠なこの感覚を表現することはできない。
――早く早く早く。
――あの頃のまま臆病で、頭ばかりが大きくなった私だけど。
――でも、今だけは勇気を掻き集めて、立ち向かえ!
「――メル君! 本当に大丈夫ですよね⁉」
瞑目したまま問いかける。
「はいっ! この真上に人は住んでません! 思いっきりやっちゃってくださいぃ!」
準備が完了したことを理解したメル君が叫んだ。
完成に至る最後の一欠片を埋めるべく、その〝呪文〟の名を唱える。
「――【光展光条絶輝砲】‼」
◇音響探査【おんきょう-たんさ】
意能/共通意能
音の反響により周囲の地形を把握する意能。
蝕業を問わず習得しうる共通意能。
一部の生物は、跳ね返ってくる音を聞き
対象の位置を知る器官があるという。
この意能はまさに、その知覚を授けるものであり、
目に頼らない索敵を可能とする。




