6お兄ちゃん
夕方、帰宅したおれは自分の妹がどれだけ可愛いのか気になっていた。
まだ妹は帰ってきていない。
お父さん、門限過ぎているよ! え? 門限はない? じゃあ兄のおれが門限を作ってやろうではないか。
「典正、あんた宿題やったの?」
なんだこのおばさんは――って、おれの母親か。高校生になっても宿題の進捗を聞いてくる母親か、なんかめんどくさい母親だな。
「宿題なんかやってないけど」
「あ、そう、だったらやっときなさい、やらなくてもどうでもいいけど」
なんだこのやる気のない母親は、息子のおれを大事に育ててないだろ。
ガチャリと玄関の開く音が聞こえた。
帰ってきたのか我が妹!
「あ、おにぃだ、気持ち悪い」
えぇ!? いきなり死の宣告くらったんだけど。お兄ちゃん無茶苦茶妹に嫌われてるじゃん。そういうもんなの兄妹って、そういう感じなの? それでいいの? おれは良くないと思うなぁ、だって血を分けた兄と妹でしょ。そんなに冷たくならなくてもいいじゃない。
「よう、我が妹よ」
「は? マジキモい、死んで。わたしが朝起こしに行っても起きなかったんだからもう一生起きるなよ」
あ、はい。そういう感じなのね妹って。ツンデレ系妹だったら良かったんだけど、ツンドラ系だったのね。お兄ちゃんマジショック死にそう。
転生初日の今日はいろいろなことがあったなぁ。
転生大戦か。そのゲームの勝者は夢が叶う。
まさかおれが記憶喪失的なことになっているとは思いもしなかった。夢か……昔のおれはどんな夢を持っていたんだ?
ああ、今日は疲れた、明日は今日より素晴らしい日になりますように。