3転生者
「おはよう! わが友、典正よ!」
誰だこいつ。こんなナルシストじみた奴おれの友達にいたのか。
ちなみに学校にはぎりぎり間に合った。
「おはよう」とおれ。
「なんだなんだ? 元気がないな典正! 今日は初の試験だろ」
モブナルシストは言う。試験? なんの試験だ? 初めての試験ってなんだよ。もしかしてあれか? 女の子が男の子を品定めする試験か? 別に初めてじゃないぞ、昔いた彼女なんてキスする前に別れたというか「マイナス百ポイント!」とか言ってそれっきり疎遠になったからな。自然消滅というやつだ。
「典正、お前今日の試験受かる自信ある? ちなみにおれはあるね、自信に満ちているよ」
「そうか、おれは自信ないな」
転生している身だし、どう勉強しても間に合わない試験だろ。言っとくけどおれは頭がとてつもなく悪い、自慢ではないけど、おれは頭が悪い以外に悪いところは……かなりあるな。顔も良くないし、学力もないし、運動も得意という訳ではない。
「分かるよ典正君、どうあがいてもあの試験は突破することは難しい、言うなれば戦場、いや、大戦そのもののような試験だ」
「大戦なら得意中の得意だ」(死ぬ意味で)
「はははっ……ところでお前何回目だよ」
ん? 転生の話か? それとも試験の話か?
「六回目」とおれは転生した回数の方を言った。
言ったところでバカにされるか驚かれるかのどちらかだ。
「そうか六回目か、スゲーなお前」
どうやら転生の話で合っているようだ。
「おれはまだ一回目だ。それより典正、気を付けろよ――お前だけが転生しているわけじゃない。周りには敵ばかりだ」
と、モブナルシストはおれに耳打ちしてきた。
まさかこいつも転生者だったとは……てかおれ、記憶ほとんどねぇんだけど。もしかしてステータスSSSになるけど記憶失うってデメリットだったりする?
「はぁ」クソデカいため息が出た。
「ほら、席につけ。授業はじめるぞ」と、先生が来た。
それにしてもこの世界は平和だねぇ。てか、試験ってなんの試験だ?