目覚めると幸運な私だった
「んっ………よく寝た。」
なんか変な夢見たなぁ…。
背伸びして周りを見てみる。
あれ?
ここは…私の部屋だけど、私の部屋じゃない…。
私は看護師で、夜勤明けで………。
でも、アネットで………。
ん?どういうこと?
どっちかが夢?
………いや、どっちも私だ。
あの時、振り向いたら車が来てた。
そこからの記憶がない。
そして、気がついたら今だ。
でも、アネットとして育ってきた記憶はある。
あれ?私、前世の記憶が甦ったってやつかな。
混乱はあるものの、アネットとしての記憶があるた
め、意外に冷静に考えがまとまった。
これでも異世界系の小説や漫画を読み漁ってたから、あり得ないと思ってたことが自分に起きた感じよね。
なんか、もっと焦るもんかと思ったけど受け入れられるもんね。
とはいえ…、私あのまま車にぶつかって死んだってことよね。
まだ24歳になったばっかりだったのになぁ。
仕事も順調でやりがいもあったんだけどなぁ。
ふぅ………。
ため息をついたところで仕方ない。
人の生死を見てきた職業だったこともあり、人はいつなにがあるかわからないと思ってきたため、とりあえず受け入れられるみたいだから、受け入れるようにしてみよう。
まぁ、今はこうして生きてるしね!
こういうときには楽天家な性格が役立った。
さて、まずはここがどこなのか整理してみることにした。
まずは今の私。
アネット·ライル·レスラート。
たしか…今年で12歳を迎える。
レスラート家の伯爵令嬢。
4歳上の兄と両親がいて、兄は去年からアカデミーに入学している。
両親は仲が良く、領地も暖かな気候で農作物が豊かで穏やかな地域。
なんとなく整理したけど………ラッキーよね?
伯爵令嬢だし、すごく大切に育ててもらっている記憶がある。
つまり周りに恵まれてるってことよね。
しかも………
この容姿!
あの両親にしてこの子ありよ。
父親譲りのブラウンの髪に、母親譲りのパープルの瞳。肌は白く、顔が小さい。パーツがとにかくきれい。お人形みたい。
平均的な日本人の容姿だった前世とは大違い。
あとは、ここがなんらかの小説や漫画の舞台でないことを祈るのみよ。
ロマンス小説とかで悪役令嬢の転生とかよく聞くけど、あんまり興味なかったからわかんないんだよね。
鏡を見たり、唸って色々考えていると
コンコン
部屋のノックがした。