憧れのスローライフはどこ?!
「ふふ、これで君は僕のものだね。」
目の前にはきれいな金髪碧眼の美青年。
その奥には装飾の素晴らしい家具が見える。
さらに近づくきれいなお顔。
「お待ちくださいませ!リオナス皇子!!」
「なぜ?やっと君を手に入れられるのに、待たなければならない理由が私にはわからないな。」
「いえ…あの…リオナス皇子殿下にはもっとふさわしい方がおられるはずです……。ですからっ」
むぅっ!
キスされてる?!ちょっ!しかも舌っ!
身体を離そうとしてもびくともしない。
私が抵抗しているのに、気にしない様子で左手は押さえている手のひらを指でなぞったり、右手!あなたちょっと耳とか触らないで。
あー…ヤバ……。キス上手いし、さすがにぼーっとなってきたわ……。
「はぁっ……。」
「私は君がいいんだ。ね、口づけ気持ち良かったよね?私たちはきっと身体の相性もいいと思うよ。」
……え?…相性?
ぼんやりとした頭に流れてくる声。
どうしてこうなったのかな…?
「今日も忙しかったぁ。」
夜勤明けのお日様は眩しい。
看護師3年目ともなると、こんな日々に慣れてくる。
なんか軽く食べて帰ろうかなと考えながら歩いていた。
あっ、携帯小説の続き今日更新だった!
‘転生令嬢のスローライフ’
社蓄だった主人公が異世界転生して、優しい魔物たちとのんびり暮らすスローライフを書いた小説。
恋愛小説じゃないから、大衆一般向けではないかもしれないけど、のんびりしてて癒されるのよねぇ。
ん?運営からのお知らせ来てる。
《あなたが選ぶあなたが主人公になりたい小説は?!》
おっ、投票したらポイントくれるんだ。
それなら…‘転生令嬢のスローライフ’っと。
投票したら今のランキング見れるんだ。
1位、野獣皇子に愛されてます
2位、婚約破棄の悪役令嬢は皇太子に愛でられる
……みんな愛されたいのね。
恋愛なんて面倒なのに。
てきとーに仕事して、好きなことして過ごせたらそのほうがいいのになぁ。
なんて考えてたら後ろから後輩の声が聞こえたので、振り返った。
「先輩!危ない!」
えっ?なに?
視角から車が一瞬見えたときには、世界が暗くなった……。