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異世界魔女放浪記  作者: 白銀のペルチェ素子
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第1話 異世界召喚

 気が付くと異世界にいた。


 ここはどこなんだろう。床には黒い魔法陣があってその周りは鎖で囲まれて紫色の火を灯している蠟燭が数本立っている。鎖の外には本棚や実験道具らしきものが無数にあり、誰かがこちらを覗いている。

 それは人骨だった。ファンタジーの世界だと魔物として有名なスケルトンという奴だろうか。元居た世界の科学者が着ているよな白衣を身に纏いなぜか腹巻をまいている。


 なんなのだろうかあのふざけた格好は。バカなのだろうか。何も着ていないほうがずっとマシだぞカルシウム。

 でも、召喚主がこんなダサい奴でよかったかもしれない。

 いきなり「じごくでもえてしまえばいい」なんて言ってくる最強スケルトンだったらもう詰んでた。


 で、そんなことよりよ。


 「なんで歌ってるときに呼び出すんだよぉぉぉぉぉぉ!!!」


 ノーモーションの雄叫びにクソダサスケルトンは驚いて一歩後ろに飛ぶ。

「タイミングってゆうもんがあるでしょ!死にかけたときとか立ち入り禁止の場所に入ってしまったときとかさあ!!なんでカラオケで一人熱唱してるときに召喚すんの!?」

 その場に倒れこみ頭とカラオケマイクを床にバンバン、叩きつける。その奇行にスケルトンは驚きを隠せない。


 「おい!引いてんじゃねえよ。てめぇ、私の歌聴いたのか、ゴラァ!?」

 勢いよく立ち上がってマイクを口にあて指をさし完全にヤクザの口調でスケルトンをビビらせる。絶対やばい奴だって思われてるわこれ。

 スケルトンは私の怒声に戦慄が走ったのか硬直状態になった。


 「聴いてないって言ってくれよぉぉぉぉ!」

 もはやヤクザというより精神病患ってる人みたいになった。私の人生終わったわ。ああ、いい人生だったよ。せめて今見てるアニメの最終回くらい見たかったな。あははは。

 その場に頭を抱え込み念仏のように鬱を吐き出す。

 そんな私にスケルトンは同情したのか私の肩に手を置く。

 「あはは、同情するなら金をくれ。あはは、あはは。」

 「カカッカカカカカ。」


 はぇ?ん?あら?

 あ、もしかして言葉通じない系ですか?

 

 「カカカッカ。」

 「よっしゃあああああぁぁぁぁぁぁーーー!!!!!!!!!!!!」


 また勢いよく立ち上がり次は盛大にガッツポーズをとって見せる。

 

 「言葉が通じていないということはさっきまでの事は何もわかっていないはず!よしよしよし!私はまだ舞える!舞えるぞぉぉ!!」


 言葉が通じていないとはいえ引かれているのは確かなのだが引かれるくらいどうということはない。

 

 なぜなら今まで根暗オタクとしてクラスメイトからはほとんど引かれていたからな!は-はっは!

 

 まあ、全然笑えることではないのだが。

 

 そんな変人の私に対してスケルトンは唐突に私の手首を掴んでくる。

 「うおっ!?」

 思わずびっくりして後ろに飛んでしまった。その衝撃でマイクも後ろへ飛んでいき何かが割れる音がする。振り返ってみるとガラスの実験器具が割れている。

「あ・・」

 いや人慣れしてないからちょっといきなり手首掴まれるとは思ってなくて・・。まあ、相手は人ではないんですがね。

「え、えーーと。すいませんでしたぁぁぁ!」

 腰を曲げ頭の前で手を合わせてごめんなさいのポーズ。異世界で通用するのかは分からないのだが。

 

 しかし、そんなポーズをとると一つ違和感を感じた。なにか付いている。感覚としてはリストバンドに近い。少し前まで運動部に入っていたこともあったからなんとなくそんな感じがする。が、なんだろうか。すこしゴツゴツしているような。


 何かと思って見てみるとそこにあったのは骨である。

 うん、骨。

 骨が腕に巻き付いている。

 ナニコレ?


 きょとんとしていたのも束の間。その骨からまた骨が生え次は左手首に巻き付く。両手首に骨は巻き付くと腕を前に合わせ動かせないようにする。


 「What's this?」

 

 もう理解できない。どういう原理?まあそれは異世界だと思われるからとりあえずいいとして。

 なんで手錠みたいなものをかけられたのだろう。私何かしましたっけ?まあ、今やっちゃったんですけど。確実にやる前につけたよね?たしかに頭おかしい人っていうのは否定しないけどさ。いきなり召喚しておいて罪人扱いはなくない?


 スケルトンはその頭おかしい人の手錠を握るとずいずいと引っ張って歩き始める。


 「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。すいませんでした!なんでもしますから許してください!」

 なんとか抵抗しようと歩かないようにするとスケルトンはお構いなしにズルズルと引きずる。


 「ちょっ、おいおいおーーい。やめてやめて!おーい!クソダサカルシウムー!」


 



 とにもかくにも異世界に召喚されてしまった私。

 これからいったいどうなってしまうのか。

 あ、名前は知見 真希と言います。

 覚えてもらわなくても結構です。


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知見しるみ 真希まき


 アニオタの女子中学生。元の世界ではこれといった特徴はない。


初期装備

・白のパーカー(普段着)にジーンズ

・カラオケマイク(消失)

・スマートフォン

・財布(4000円くらい入ってる)

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