9話
僕が王宮に来てから一週間が経った。この間に、式はいつでも挙げられるから事務的な手続きは速く済ませよう、とエリアお姉ちゃんが必要な書類を持ってきた。早く書けと急かすが、僕は全く書けなかった。
だって僕、この世界の読み書きができないんだから。
理由を告げると、私が代筆してやるからとすらすらと書き始めた。僕は書類が読めないから何がかかれてるのかも、何を書いてるのかも分からない。もしかしたら変なこと書かれてるかも。
村でちゃんと勉強させてもらえば良かった。多分ミアちゃんも読み書きできなかったから仕事に困って、コールズなんかに入っちゃったんだね。
それからミアちゃんの身分に関しても手続きを踏んで奴隷から解放し、僕の専属メイドとして雇用してもらった。こうなればミアちゃんは常に僕の側にいることになる。
最初は喜んだけど、後になってこれがまずいということが分かった。専属メイドは僕の世話をするのは勿論なんだけど、エリアお姉ちゃんが僕に甘えるときも常に側にいないといけない。さすがに夜伽のときは同じ部屋にはいないけど、それでも隣室で僕たちの声を聴きながら待機する。おまけに事後のベッドの処理とかも。
今日のエリアお姉ちゃんは責められるのが良かったみたいで、先に自分勝手にイってそのまま眠ってしまった。僕はまだだし、なんだかもやもやした状態で水でも飲もうと隣の部屋へ行ったんだ。そしたら、
「うう、殺してやる。許さない許さない、、、うう、、。」
エリアお姉ちゃんへの呪詛を吐きながら、鬱オナしてるミアちゃんと会ってしまった。
「ミアちゃん、、、何してるの?」
僕の言葉で我に返ったミアちゃんは、慌てて服を整える。
「ど、どうしたのお兄ちゃん?」
いや、バレバレだよ。確かに前世で僕も自家発電を家族に見られた時はこんな反応したけど。なんだか僕まで恥ずかしくなってきた。
それにしても10歳で鬱オナは性癖歪むだろうなぁ。将来が心配だよ。
「ミアちゃん、今一人でしてたよね」
「うえっ?あっ、えっと、・・・ぅぅ」
気持ちは分かるよ。でもちょっと場所を選ばなすぎ。
「するなとは言わないけど、もうちょっと目につかないところでしない?例えばトイレとかさ」
「・・・女王様はよくて私はダメなんだ。私のエッチな姿は見たくないんだ。お兄ちゃんは、私のこと見たくないんだ。私のこと嫌いなんだ」
あーあ、またダーク入っちゃった。
「あいつを殺せばお兄ちゃんはまた私を見てくれるはず、待っててお兄ちゃん。今なら眠ってるから一瞬だよ」
「ストップストップ!僕はミアちゃんのこと好きだから。だからストップ!殺したらほんとに嫌いになるよ!」
さすがに女王殺害なんて即刻処刑だ。ミアちゃんが処刑されるなんて絶対に嫌だ。
あ、今僕エリアお姉ちゃんじゃなくてミアちゃんの心配してる。僕は結婚してるのに、、、。
「私のこと、、好きなの?なら、あいつにしたのと同じことして!今すぐ!できるよね?しないと本当に殺しに行ってやる!」
いやさすがに僕は結婚してる身だし、それはちょっと、、、。
僕の雰囲気を感じ取ったのか、ミアちゃんの顔が歪んでいく。
「やっぱり、私よりもあいつの方が良いんだ。あの年増のド変態野郎!くそっ、くそっ!」
ミアちゃんはどこからか取り出してきたナイフを持って寝室に向かおうとする。まずいまずい、これは止めないと!
焦ってミアちゃんの手を掴む。するとその瞬間、掴んだ手をグイっと引っ張られてミアちゃんの方へ引き寄せられる。こんな力強かったんだ。そっか、暗殺の訓練受けさせられてたって言ってたよね。それは強いはずだ。
「止めるってことは、同じことしてくれるってことだよね。嬉しい!私が全部上書きしてあげるから。今日の分と言わず、今までの分全部」
いつの間にか、床に押し倒されている僕。くそ、さっき不完全燃焼だったから、体の方がしちゃってる。
「もうこんなに反応しちゃってるね。妹みたいに可愛がってた女の子に襲われるの興奮するんだ。村にいたときからずっとこうしたかったの。もっと早くしておけば良かった。そしたらお兄ちゃんの初めて貰えたかもしれないのに」
また少し目が暗くなるミアちゃん。この子今自分から闇スイッチ入れた。こうなったら手に負えないよ。願わくばエリアお姉ちゃんにばれませんように。
「これからあいつの相手をした後は私ともしようね、お兄ちゃん」