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3話

3日後、今度はアダさんが若い女性騎士を連れてきた。何でもかなり大きな犯罪組織を捕まえるという大手柄を成し遂げたらしい。


・・・そんなことができるんだったら、僕のことだって救って欲しかったよ。田舎の小規模な野盗なんて相手にしないんだね。それでも王国騎士団かよこの野郎。


「へえすごーい!それじゃあヨウお姉さんは一人で潜入してみんな捕まえちゃったんだ」


「べ、別にすごくはない。誇り高き王国騎士団の仲間ならみんなできる。たまたま私が選ばれただけだ」


違法な超高級風俗は黙認してるのに。違法な男性奴隷は見逃してるのに。そりゃ誇り高いだろうね。男に飢えた女性には誉めそやされるだろう。


だめだ、今はお客さんなんだからちゃんと相手しなきゃ。最近は気を抜くとすぐ暗い思考になる。これが病んでるってことなのかな。


「そうなの?でもヨウお姉さんがすごいことに変わりないや」


「レンちゃんや、ヨウはそういってるけどね。普通の団員にはできないことなんだよ。普段から自分のことを下げる癖があるからさ、今日はとことん甘やかしてやってくれよ」


アダさんが間に入ってくる。この人は団員さんのことをしっかり見てて、こうして僕がどんな対応をすればいいか教えてくれる。


「へぇそうなんだ。・・・じゃあおいでヨウお姉さん、よしよししてあげる」


そう言うと、一瞬いやらしい顔つきになったヨウお姉さんは、僕の胸に顔を埋めてきた。11歳の胸に縋りつく20歳くらいの女性、犯罪的だ。いや、実際このお店自体犯罪なんだけども。


「よしよし、頑張ったね。いい子いい子。今日は目一杯甘えていいからねぇ」


優しく頭を撫でる。あ、髪さらさらだ。


顔をうずめてぐりぐりしているヨウお姉さんの髪を少し掻きあげておでこを出す。それからおでこにそっとキスをする。あ、下から僕を見上げるヨウお姉さんと目が合った。おおぅ、すでに出来上がってらっしゃる。お目目とろん状態だ。


「も、もう、、、」


「まだだーめ。ほら今度は太ももに頭乗せて?」


今度は膝枕の体勢になる。頭を撫でながら耳も触ってあげる。あはは、耳触るとぴくぴくしてるよ。


「耳そんなにいいの?」


ヨウお姉さんは黙ってこくりとうなづく。


「じゃあこれは?」


耳に息をふぅーっとする。あ、ヨウお姉さんから変な声出た。えらい悶えてらっしゃる。


近くの椅子にはお酒を飲みながら笑っているアダさんがいる。あのお堅いヨウがこんなになるなんて、と楽しそうにしてるよ。ヨウお姉さんはもう聞こえてないみたいだけど。これは後でからかわれて恥ずかしいだろうなぁ、ふふ。


「ヨウお姉さん顔熱いね。真っ赤っかだよ。僕も熱くなってきたし何か飲む?」


ヨウお姉さんはお酒飲めないみたいで、僕とおんなじジュースを頼んだ。その性格でお酒も飲めないんだったら、発散するところないんだろうなぁ。こういう人は何かきっかけがあれば風俗とかはまりそうだ。


届いたジュースで乾杯する。ヨウお姉さんは緊張してたのかすぐ飲んじゃった。


「ヨウお姉さんお代わりいる?」


「ああ、では頂こうか」


・・・そうだ!そのまま新しいの頼もうかと思ったけど、良いこと思いついちゃった。


僕は自分の分のジュースを少し口に含み、ヨウお姉さんに顔を近づける。そのままキスをして口移しだ。びっくりしたようで目を見開くヨウお姉さん。


「どう?おいしかった?」


「、、、おいしかった」


「ふふ、じゃあ僕の分まだまだあるからね」


それから僕のジュースがなくなるまで何度も何度も口移しをした。


「今度は普通のキスがしたい」


「いいよ。・・・けど、一つ条件があるよ」


「な、何だ?」


「ヨウお姉さんずっと僕の名前呼んでくれないよね。だから、一回呼んでくれたら一回キスしてあげる」


「うぅ、、、、レ、レン・・・これでいいか?」


ヨウお姉さんは名前を呼ぶとき目を逸らす。


「だめ、ちゃんと目を見ながら言って。じゃないとしてあげない」


「、、、、、、レン」


目を合わせて、またすぐに視線をずらしてと繰り返したヨウお姉さんだったけど、最後は覚悟を決めて、見つめあいながら名前を呼んでくれた。


「はい、レンだよ。ご褒美のキスしてあげる」


そっと唇を当てるだけのような奴。さっきまで口移ししてたとは考えられないくらいのソフトさだ。

ヨウお姉さんは不満げにこっちを見る。


「レン、もうちょっと」


そこでキスをする。ちゃんと目を見て名前を呼んでくれたから。しかもさっきよりは長めに。


ヨウお姉さんも分かってくれたようだ。いっぱい呼べば段々良いのしてあげるからね。


何度も繰り返していくうちに、僕はするすると体勢を変え、ヨウお姉さんに膝乗りする。首の後ろに手をまわして、ほとんど顔を抱きかかえるように。これだけ顔が近かったら目線の外しようがない。

だからあとは名前を呼ぶだけ。それだけでヨウお姉さんは僕とキスできる。


「レン、、、レン、、、レン」


条件付け完了だ。ヨウお姉さんは名前を呼べばキスしてもらえると思ってる。


「レン、、、レン?まだ?」


おでこがこつんとぶつかるくらいまで顔を近づけているが唇は触れない。そんな距離。僕は何も言わないで首の後ろに回していた手をヨウお姉さんの背中に這わせる。


アダさんは一度連れてきた団員を二度と僕のもとへ連れてこない。だからヨウお姉さんと会うのは今日で最後。僕のことが忘れられないくらい特別な日にしてあげる。いっぱいイチャイチャして、恋人みたいにさ。もしかしたら僕のこと好きになってくれるかもしれない。そしたら嬉しいな。僕のことが好きなのに、エイミちゃんに身請けされてもう会うことは出来なくて悲しくなる。精神的寝取られってやつだ。今の僕にできる精いっぱいの復讐。


「このままゆっくり、朝までしようね」

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