13話
次に起きたとき、僕は憑き物が落ちたみたいに晴れ晴れとした気分だった。
でもその代わり、エリアお姉ちゃんやエイミちゃんを好きだって気持ちが、すっかりと抜け落ちていた。何というか、今までの僕は男娼としての僕という感じで、みんなを愛さなきゃって勝手に自分を縛ってたんだ。
けど、今はようやく本当の意味で男娼の鎖から解き放たれたみたい。心の中にあった何とも言えないもやもやが取り払われてすがすがしい。
「おはよ、ミアちゃん」
「お兄ちゃん、元気になったんだね。おはよ」
僕が横になってる間、ずっと添い寝しててくれたみたいだ。相変わらず可愛い奴め。お兄ちゃんから目覚めのキスをしてやろう。
僕が唇を突き出すと、それに気づいたのか逆にミアちゃんのほうから思いっきり濃厚なキスをしてきた。
ぐ、凄い吸引力だ。
「ぷはっ!ご馳走様。大変美味でした」
「あーあ、今日のファーストキス奪われちゃった。明日は奪い返さなきゃ」
「これから毎日奪ってあげる。覚悟してて」
2人で笑いながら、ベッドをから出る。
寝室の扉を開けると、ソファに座るエリアお姉ちゃんが見えた。すっごくしんどそうな顔をしてる。前まではそんなのを見ると、癒してあげなきゃって勝手に体が動いていたけど、なぜだか今日はそうならない。
そっか、エリアお姉ちゃんが惚れたのは男娼としての僕だったんだ。でも、今の僕は男娼じゃない。
僕たちに気づいたのか、エリアお姉ちゃんがこちらを向く。
「おはようレン。安心しろ、公爵令嬢は私が黙らせた。レンは何も心配しなくていい。私が必ず守ってやる」
「・・・ありがと」
僕は普段と違い、ソファのエリアお姉ちゃんから少し離れたところに座る。
「エリアお姉ちゃん、話したいことがあるんだ」
ただでさえ疲れているエリアお姉ちゃんをもっとしんどくさせるかもしれない。けれど、ちゃんと言っとかないといけないから。
「結論から言うよ。・・・やっぱり、村へ帰りたい。ミアちゃんと一緒に」
エリアお姉ちゃんは、一瞬時が止まったように硬直し、目が潤み始めた。
「私では、、、どれだけ頑張ってもレンは手に入らないのだな、、、」
「こんな僕のこと、好きになってくれてほんとにありがとう」
その言葉をきっかけに、エリアお姉ちゃんは大粒の涙を流す。
「・・・分かった。なら最後に、1つだけ、1つだけでいいから、お願いを、聞いてくれ」
「何?」
「レンと私が最初に出会った日、あの日みたいに、一夜だけ私と過ごしてくれないか」
真っ赤な目で僕を見つめる。
僕はミアちゃんを見る。ミアちゃんの顔はすっごく不満そうだけど、何も言ってこない。
「いいよ。じゃあ、エリアお姉ちゃん。今日の夜、寝室で待ってるから、黒いコート来ておいで」
「ああ」
そういってエリアお姉ちゃんは仕事のために部屋を出ていった。
残ったのは僕とミアちゃんだけ。
「ミアちゃん。今日だけはごめんね。これで最後だから」
「いいよ、これさえ終わればお兄ちゃんと一緒だもん。我慢する」
「ありがと。愛してるよ」
「私も」
お互い、いっぱい汚れちゃったけど、またやり直そう。
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夜、ミアちゃんには今日だけ、横の部屋での待機から外れてもらった。最初と同じように、本当に2人だけの空間を作りたかったんだ。
少し待っていると寝室のドアがノックされ、黒いコートを着たエリアお姉ちゃんが入ってきた。
フードを取り、コートを脱ぐと、いつもより気合の入った化粧をしているエリアお姉ちゃんの姿が現れた。ふふ、めちゃくちゃキメてきてるじゃん。
僕が顔を見つめていると、エリアお姉ちゃんと目が合う。
「どうした?」
「ううん。すごくきれいだなぁって」
すると満面の笑みを浮かべながら僕の頭を撫で、それから僕を抱きしめる。
「レンは可愛い奴だな。今日は楽しませてくれよ?」
「うん、頑張るよ」
エリアお姉ちゃんは僕を解放して、あらかじめ用意してあったお酒を、僕はその横にあるジュースを取る。
「この酒は度数が強いんだが、私は一気に飲めるぞ。ほれ、グラスに酒を注いでみろ。見せてやる」
「えー!凄ーい!!見せて見せて!」
無邪気そうにエリアお姉ちゃんの腕を掴み、大げさなリアクションをする。その勢いで、グイっと腕を引っ張り顔を近づける。
「エリアお姉ちゃん、目が真っ赤だよ。さっきまで泣いてた?」
「・・・レン。そこは目が綺麗だよって言うところだぞ」
そう言って、エリアお姉ちゃんは僕の口を激しく奪う。あらら、コイキングキスはしないのね。
「前はもっと激しかったよ」
「うるさい」
それから僕はグラスにお酒を注ぐ。
「村に帰ったらどうしていくんだ?働くあてはあるのか?」
「・・・ない。それもこれから考えてく」
「さっきの間はなんだ。レン、まさかまた自分を売るつもりじゃないだろうな」
「ううん。最後だよ。エリアお姉ちゃんが最後のお客さん」
グラスをエリアお姉ちゃんに手渡す。
「どうぞ。かっこいいところ見せてね」
「見ておけ。私はどのパーティーにいっても最後までつぶれないんだ。この程度造作もない」
おお、久々にみた。エリアお姉ちゃんの一気飲み。
「よーし、もう一杯入れちゃうよ」
「ああ、どんとこい」
何杯か飲むと、エリアお姉ちゃんの目が徐々に座ってくる。
「レン、私のことは好きか?」
今の僕は男娼。相手を癒すことが仕事だ。
「勿論、エリアお姉ちゃんのこと大好き」
そのあと、僕はエリアお姉ちゃんにおいしく頂かれた。
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目が覚めると、まだ時刻は深夜だった。横ではエリアお姉ちゃんが寝て、、、ない。寝ずにずっと僕の顔を見てた。
「おはよう。何してるの?」
「、、、最後だから、絶対に忘れないように、、、見てた」
「寝なよ。体調崩すよ」
「嫌だ。寝ない」
その後、会話が無くなってもじっと見つめてくる。
「なぁレン。本当に行ってしまうのか?」
「・・・うん」
「そうか、、、本当にそれでいいんだな?」
「僕の気持ちは変わらないよ」
「分かった」
エリアお姉ちゃんが短くそう言うと、部屋に備えてあるベルを鳴らす。これは何かあったときにメイドさんを呼ぶためのものだ。
すると、扉が開いた。誰だろう、ミアちゃんかな?あ、でも今日は当番から外れるように言ったっけ。そしたら、エリアお姉ちゃん付きのメイドさんかな?
「女王様、本当によろしいのですか?」
「ああ、構わん。ただ絶対に傷つけるな」
「承知しました」
騎士の甲冑を身にまとった人。どこかで聞き覚えがある声だな。もしかしたらお店に来てくれた人かも。
「みんな、入ってこい」
扉から数名の騎士が入ってくる。みな甲冑で顔は分からない。
最初の騎士さんが僕に近づいてくる。
「レンちゃんごめんね。ちょっとの間だけ我慢しといてくれ」
この声は、、、アダさん?ってことはこの騎士さんたちは王国騎士団の人たちか、、、。
「僕を、、、どうするの?」
「大丈夫、ここから離れに移動するだけだよ」
アダさんは一人の騎士に命令を出す。
「ヨウ。お前が一番レンちゃんを好いとっただろ。お前に運ばしてやる」
「はっ。、、、レン、久しぶりだな」
僕はお姫様抱っこで持ち上げれられる。
「ちょっと待ってエリアお姉ちゃん!どういうことなの。離すように命令してよ!」
「レン、それは出来ない。女王の夫が私のもとから離れて良いわけはないだろ。レンは少しの間、離れに幽閉する。そうだな、、、私を心の底から愛するようになったら出してやろう」
「そ、そんな!ミアちゃんっ!!!!ミアちゃんっ!!!!助けて、近くにはいるんでしょ!!!!!」
「あー、あいつなら、今はフレアのところだ。たまには小さい女の子を食べてみたいと言われてな。今頃どうなってるんだろうか。確か快楽地獄を見せてやるとか言ってたっけ。もしそうだったら、もうレンのことなど忘れて、よがりくるってるかもしれんな」
「そ、そんな、、、。じゃ、じゃあエイミちゃんは?!エイミちゃん!もしいたらお願い!助けて!!!」
「おいおい、騒いでも無駄だぞ。ここは私の王宮だ。誰も助けないように言ってある。それから、公爵令嬢なら、朝も言った通り黙らせたぞ。全くいうことを聞かないのでな、公爵家の密輸の証拠を突き付けてやったら素直に従ってくれた。お腹の子どもだけで我慢するそうだ」
「アダさん!助けて!ヨウお姉さんも!お願い!お願いします!!!」
「レンちゃん、ごめんね。私ら王国騎士団は女王様に忠誠を誓った身。命令があればなんでも従うんだよ。そこに善悪なんてないんだ」
「レンのことは好きだけど、公私は区別してる。命令ならレンであっても容赦しない」
ああ、僕は、僕は、、。ミアちゃんごめん。僕がこんなだから、ミアちゃんの人生まで滅茶苦茶にしちゃった。
「ふふふ、レン。大丈夫だ。私はレンが好きだから、レンだけは絶対に傷つけない。周りは知らんがな。まあ、レンが私の言うとおりにしてくれるのであれば、ミアもそのうちレンの側付きに戻そう。フレアはとんでもない変態だが、最後の一線だけは超えん。ミアの命は無事だろうからな」
身体がカタカタと震える。こんなエリアお姉ちゃん見たことがない。怖いよ。
「さあレン。早く私だけを見て、私だけを考え、私だけのものになれ」
私の拙い作品を読んで下さり、ありがとうございました。
(追記)どうでもいいことなんですが、おすすめのヤンデレ小説を教えて頂けると嬉しいです。




