47:ノマドと新たな情報
ヘルメウスは強敵だった。
ノマドによってなんとか撤退することができたグレイスたち。
彼女は自分の目的のためノマドの話を聞くことにした。
その場を立ち去り、私たちはヘルメウス達も追ってこれないような民家の持つ林の奥の倉庫のようなところに逃げ込んだ。
「ここなら私の魔法障壁で天使や人間の探索も多少くらませられる」
「どうしてあなたがまたこんなところに......。というかあなた、一体何者なの?」
率直な疑問を投げかけるが彼は何も答えない。声からして男のように聞こえるから男っていってるけど実際なんなのかも分かっていない。
「グレイス・アルマン、自由になりたいのなら、契約を結んだ天使を倒したいのならまずは私のいうことを聞け」
そういって、彼は続けて話を始めた。
「天使は人間と契約を結ぶことで相手に力を与える。それは君らも見て知っているはずだ。だが、それは一時的なもので代償はその者の命と魔力。それらを天使に還元する仕組みになっている。それを応用して君らをつなぎとめている」
「じゃあ、私たちの力って天啓ってやつと同じってこと?」
「そうだ。そして、君たちの探す天使がこの場所にいないことがわかった」
「じゃあ、グレイスが今までしたことは無駄じゃないか! おまえは僕の恩人を殺しておいてグレイスに無駄骨を強いていたのか!?」
サバトが代わりに怒ってくれるのはありがたいけど、正直そんな気もしていた。天使が地上にすべているわけがないと......。きっと、最終的に行かなければならない場所というのは
『天界......。そこに行くために天使を倒す必要があるのか?』
マリスも感づいてはいたみたいだ。そう、私たちは最終的に天界にいる天使と対峙するときがやってくるとこの世界の構造を知ってからなんとなく分かっていた。ノマドはまたも少し小難しい話を展開していく。
「そうだ、約束の数が9とされている。天界へ行くには9つの天の魂を犠牲にしなければ扉は開かれない」
「それってどういう意味?」
「天界十二使のような天使を9人倒す必要があると言うことだ」
「4人はもう倒せてるから......。じゃあ、こんなところでしゃべっていないで五属聖を倒さないと」
私が焦っているとノマドは私の肩に手を置いた。
「今のお前では無理だ。さっきの戦闘で分かったはず」
「そんなのどうすれば......」
『待て。これまでこいつに導かれていい目に遭ってこなかったはずだ。少し検討すべきだ』
天使を倒すことしか考えていない私たちに対して、意外にも慎重になっているマリスに驚いた。彼にもそういう冷静さはあるんだ。
「マリス、あんたもしかして天使を倒せないって不安になってる?」
『私は復讐のために天使を殺すまで。誰かに指示されるものではない!』
「その復讐相手が天界にいるって話! なら、罠だろうとなんだろうとツッコむしかないでしょ。私たちの目的を果たすためにも」
私が圧をかけて彼をにらみつける。自分自身に怒ってるみたいで気分が悪くなるけどこの悪魔にははっきり言わなければならない。マリスは目線を外してもうそれ以上何も言わなかった。
「どうにせよ、君たちに選択肢はない。天使は倒すべき悪だ」
ノマドがそういった瞬間、ドアがガタガタっとこじ開けようとする音が聞こえた。
「この家は誰にも見つからないんじゃ!?」
「永続的なものではない。魔法はそこまで万能ではないんだ、それにまだ私は......」
バタンッと何かが何かが倒れる音と共に足音が複数......。まだ人は見えないが何者かがここに侵入している。ノマドが背中にかけていた銃を取りだして狙撃の用意をするとこちらに向いて指示を飛ばした。
「ここは私が引き受ける。五属聖討伐のカギは火だ! 火の国に行け!」
ノマドの言葉を飲み込めないまま、銀と金の紋章を胸元に輝かせた勇士が部屋になだれ込んでくる。
サバトが槍を使って撃退していくも人が多すぎる。私も参戦したいけど、こんな狭い家ではモンスターは出しづらい。
「グレイス、これじゃ不利だ。不安だけど、ここは彼の言う通り火の国に行こう。僕が案内する!」
「仕方ないわね」
サバトと一緒に勇士たち数人を外に出して一気にフェニックスで焼き払う。林を一気に駆け抜け、サバトの案内で火の国というところへ行くことにした。
五属聖討伐のため火の国へと向かうことにしたグレイスたち。
そこは手先の器用なドワーフたちが住む火山に囲まれた国だった。




