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40:サバトとマリス

宿屋で一休みしているのも束の間......。

サバトは何者かに寝込みを襲われようとしていた。

 体が重い......。まるで人一人が乗っかっているみたいだ。気持ちが悪くて起きてみるとそこには真顔でコップを持っている女が馬乗りになっていた。


「おみずおもちしました」


流れるように抑揚のない声、そして張り付いたような笑顔。彼女は白い服を着ていた。教会でであったやつか?


「いや、どいてくれ」


「おみずおもちしました」


言葉が通じないのか?というか話を聞いているそぶりを見せていない。彼女の体が重くのしかかる。体を押さえつけ、体を密着させる。僕の鼻をつまんでコップ一杯の水を飲ませようとしている。今何が起きているんだ?


「だだいじょうぶですよ、いたくしませんから」


「どいてくれ!!」


押さえつける彼女を掴んで横に飛ばした。ベッド横に立てかけていた槍を取り出し、ガラゴの寝ている机の下から思いっきり槍でたたき起こした。


『な、なんだよ。乱暴だな』


「ここから離れるぞ! この町なんか変だ!」


ガラゴが肩に乗って身支度を整えて部屋を飛び出す。階段を降りようとすると大きな爆発音が聞こえた。後ろを振り向くと女が四つん這いになって駆け寄ってきている。


『あ、あいつ人体の構造どうなってんだよ!? 腹を天井にむけて顔が正面向いてるとか人間じゃねえぞ』


「耳元でギャーギャーわめくな! うるせえんだよ!! 今は戻ることに集中しろ!」


外に出るとまだ夜明け前で白んでいる。だが、大きな音につられたのか住民が徘徊している。覇気のないようにフラフラと動きながら明後日の方向を向いている。


「逃げろ! 悪魔がいるかもしれんぞ!」


「あくまはおまえだ」


「あくまはおまえだ」


「あくまはおまえだ」


住民が僕を指さして同じ言葉を同じ口調で話している。教会の時のような気持ち悪さを感じる。住民が僕たちを囲んでくる。何の意図があって......。


「さぁ、儀式を始めるのです! 悪しき殺人者に罰を与える儀式を! 彼は聖水で溶ける悪魔だ! どんどん水をかけなさい!」


 昨日訪れた教会の修道女が両手を広げて住民にたきつける。住民は修道女の水魔法で生成された瓶を開けてこちらに引っ掛けようとする。ただの水だろうと思って気にせず突破しようと思ったらガラゴが叫びはじめた。


『やべえ! ありゃ酸だ! お前マジで溶けちまうぜ』


 目の前の蒸気が異様に出ている水をよけると石造りの道が少し溶けていた。どうやらこの小さな悪魔のいうことは正しいようだ。こいつはたしか毒沼に潜んでいたと言ってたな。だから毒性のあるものがわかったのか。


「こんなの一人一人対処しきれるかよ」


水を掛けられる前に瓶をからめとって落としていく。罪のない住民だが、危害を加えようとしているなら話は別だ。何人も抑えようとする白い服を着た住民を刺さないように持ち手の部分で気絶させる。それでも人が次から次へと押し寄せてくる。


昨日であった修道女は率先して僕たちを追い詰める。ヒーラーとはいえ金級勇士、魔法の実力は折り紙付きだ。


「ヘルメウス様、教祖復活のため私はこの悪魔を殺して見せます! 地下に幽閉した悪魔とともにすべてを焼き尽くせばルシエル様は復活する。ならば、あなたたちを殺すまで!!」


五属聖のなかで水を司る天使、ヘルメウス......。そいつが今回の首謀者ってわけか。それにしてもこの異常なまでの水攻めはどうにかならないのか? いつの間にか僕は、修道女の水の魔法で教会まで追い詰められていた。


「ここに地下室があるって言ってたよな、そこに一旦隠れるか?」


『おいおい、そりゃ飛んで火にいるってやつだぜ。俺様いい予感がしねえよ。サバト、一旦帰ろうぜ』


「なんの成果なしでグレイスの元に帰れるか! 僕は絶対にマリスを取り戻す。それまでは彼女の元には帰らない」


彼女に生きて欲しい。その一心でここまで来たんだ。もっと、彼女の笑顔がみたい。だから、天使とも対抗すると決めたんだ。散々、守っておいてここで無理なんて言ったら男じゃない。考えるんだ、地下室に潜って、ここから脱出する方法を......。


「あった、地下への入り口!」


「隙あり......」


入口を開けた瞬間、体が前に放り出される。後ろを振り向くと修道女が足を向けていた。

階段を転げまわり、床に着地するとそこは真っ暗でジメジメとした場所だった。暗くてよく見えないが小さな檻のようなものが近くに散乱している。


「ガラゴ、ろうそくはないのか!?」


『ちょっと待ってろ。悪魔使いの荒い奴だな!』



しばらくするとガラゴが声を掛けて手にろうそくを握らせてきた。燭台ごと持って来いよ......。仕方なく地面に置いて火の魔法でろうそくに火を灯した。


「ここにマリスがいるのか?」


『知るかよ、いっちょ、読んでみるか? おーい、マリちゃーーーん』


地下は静まり返っている。確証もなくここに来たんだ。いないのも頷ける。だが、しばらくした後一人の女のような声が聞こえた。


『こっちだ』


声のした方に近づいて魔法で明るくすると驚いたことにグレイスが檻に閉じ込められていた。


「グレイス!? どうして......いや、彼女は動けないはずだ」


『何を言っている? 私はマリスだ。決して“マリちゃん”などではない』


マリちゃんと読んだガラゴ本人がおどけて彼女に言い返す、いや、彼と言うべきか。


『聞こえてたか、なら返事くらいしろよマリス! ってえええええ!?』


これは一体どういうことなんだ? どうしてマリスがグレイスと同じ顔になっているんだ......?

マリスを見つけたがなぜか、彼はグレイスと同じような容姿になっていた。

いまここで何が起きているのか。そして悪魔と戦士の共同戦線が始まる。

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