35:新たな仲間と旧き仲間
昨日、更新休んですいませんでした。
淀み切ったこのカマルの街のどこを探しても人なんてものは歩いていなかった。
霧は常に立ち込めていて以前よりも暗く希望ももてない裏路地通りに寒気を感じながらケルベロスの背中に揺られている。
しばらく揺られていると懐かしいハーピィの館がそこにあった。そこから人が出入りしている。きっとあそこも避難所何だろうと思っていると見たことのある獣人が外に出ている。
獣人もこちらに気づいたのか、声をあげて慌ててこちらを引き寄せる。
「バベル!! どうしたの?」
裏ギルドの受付をしていた獣人のバベルはこちらを指さして叫びだした。
「うしろ、後ろ!!」
振り向くとそこにはヤギ頭の巨人がこちらを振り払おうとしていた。見るからに悪魔と言わんばかりの翼に圧倒されつつも動作が遅いのでサバトと私が共闘して炎をまとった槍が巨人の胸の真ん中を貫く。
「グギャアアアアアアアアアアア」
ヤギ頭の巨人は業火に焼かれてやがて塵となった。バベルもニコも愕然として私たちの方を見上げる。ケルベロスが珍しいのか、悪魔を倒したのがびっくりだったのかもしくはその両方なのかはわからないけど......。
とにかくひと段落したので、ケルベロスから降りてニコ達と合流した。
「グレイス、おまえ大丈夫なのか? 天使警団の勇士や天使が探しまくっていたぞ」
バベルが私を心配して肩を揺さぶって話しかける。いや、まあエルフの村にずっと引きこもってたから大丈夫っちゃ大丈夫だったんだけど。
「そうだよね。だからもうこっちから攻めてしまおうと思って......。天使がどこにいるか知ってる?」
「知ってはいるが、本気で行く気か? ていうか、銀級勇士2人にエルフって大丈夫なのか?」
バベルは以前に天使についていろいろ教えてくれた仲だ。だからこそ天使がどこにいるかくらいは知ってると思っていた。それに、天使嫌いの彼なら二人のことを怪訝するのは当然だよね。
「うん、いろいろあったけど今は頼れる仲間よ」
その言葉に反応したのか、ケルベロスもこちらにすり寄ってくる。そういえば彼はまだ契約もなにもしていないんだっけ。彼自身私になついちゃったみたいだし、正式に仲間にしてあげよう。
「そうだ、あなたも仲間だったわね。ちょっと、待ってて......。天使の名において我と契約せよ、テイム!」
魔法陣が空から降り注ぎ、見事ケルベロスは正式な仲間となった。以前よりも仲間が多くなったことに驚きつつもバベルは間をおいてから天使の所在について語り始めた。
「仲間もいるようだし、悪魔と天使が手を組んだとわかった以上任せられるのはお前くらいしかいない。グレイス・アルマン、街境の監視塔にいる天使を倒して俺たちを救ってくれ」
カマルとソルの間にはすべてを見渡す塔がある。まさか監視されていただなんて知らなかった。それで白銀のデーモンテイマーの噂が早く広がったのね。名乗り始めたのはガラゴだけど、あれのおかげで随分な目にもあったけど天使と対峙できるようにもなったから今ではいい名前だと思ってる。天使と対峙できる今だからこそ、私はたくさんの人の期待に応えられる。
「うん、わかった。ハーピィ館にいるニコにもよろしく伝えといて」
「あ? ああ、当たってみるよ。気を付けて」
バベルと別れてすっかり更地になった児童養護施設を横目に見ながら塔の方へと目指していく。ターニャは剣を二つ持って意気揚々に肩を振り回している。
「いやぁ、これでウチも犯罪者の仲間入りかぁ。まあアリスをあいつらから離した時点で目はつけられてたからいいんだけど」
「ついてきてありがとう、ターニャ」
「別にいいよ。ウチはウチの正義感で動いてるんだ。あんたに就くのが最善だと思ったからの行動だし、あのときもあんたを殺したくないから見逃した。クオーツはいないけどあいつもあの時は同じ意見だったと思うよ」
そういうと彼女はもう一つの剣を見つめる。
「クオーツって死んだの?」
「......。あ、ほらもう着いたよ! 準備できてるかい? グレイス」
異様な空気感の中、塔の中に入ると階段がらせん状に頂上へとつながっているのが見上げた時に見えた。ケルベロスを次元鏡の中に入れて4人で階段を上る。殺風景な階段には窓と大きな絵画があった。日が落ちていくにつれて人物画はやけに気味が悪くなる。人物画は赤の絵の具でしか描かれていない。それを通るたびに血なまぐさい匂いが鼻をつんざく。嫌な予感が頭によぎりつつもさらに上へと昇っていく。塔の中盤に差し掛かると人物画が多くなっていく。そして、私の知っている人物がなぜか描かれていた。
「お、お父様......」
驚いているとサバトは私が頭によぎっていたことを口走る。
「もしかして、今まで見てきた絵って全部上にいる天使に殺された人間なんじゃ......。しかもその人間の血で」
「き、気持ち悪い事言わないでよ。は、速く先に進むわよ」
不穏な気持ちを抑えつつ、私たちは上へと登っていった。
頂上に上るとそこには下半身が球体のようになった女性の天使がいた。
ふわふわと浮かびながら彼女は絵筆を握る。




