表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/115

33:百鬼夜行と番犬

悪魔たちが徘徊する中、絶望するグレイス。

彼女と手を取り、再びエルフたちの英雄として立ち上がる。

私のせいだ......。私のせいで村が、街が......。どうしてこうなるって予想できなかったんだ!!悲しみがあふれるととともにフェニックスの憑依は薄れてマリスも魔力の使い過ぎで眠りについた。


「グレイス! 自分だけを責めないでくれ。責められるなら僕にも原因がある。君はよくやってるよ。だから前を向いて」


サバトの気休めの励ましは私を優しく包んでくれた。さらにはキオナが現れた。キオナは私に向かって優しい怒りをぶつけてきた。


「何をやっているんだ! 今はやったことを後悔している暇などないぞ! 今は行ったことにどうけじめをつけるかだろう! 自分でやったなら自分で片を付けろ! ボク達も手伝ってやるからしっかりやれ!!」


うなずいて自分を省みる。そうだ、前を向くしかないんだ。今は自分がやったことに責任を持ってこの村を救わなくちゃ! 頬を叩いてキオナ、サバトとともに駆け出す。村の火種は多少抑えられているが地獄から湧き出てきた悪魔がうじゃうじゃとエルフの村を徘徊している。


「悪魔がうじゃうじゃと沸いているな。ボクはターニャくんと合流して右奥を、君たちは左手から掃討してくれ」


キオナの指示に従ってサバトとともに徘徊する紫色のゴブリンのような見た目のモンスターを追いかける。


「イビルデビー!? こんな小さな悪魔までもこんなところに!? グレイス、あれらは弱いけど集団行動で襲ってくる。一気に片をつけてくれ」


「わかったわ」


マリスから離れたフェニックスはそれらをすべて炎で焼き尽くす。ゴゴゴという音とともにイビルデビーは炎をまとい、だんだんと灰となっていく。ふう......。次は


「ニンゲン、オレタチガコロス!! ミナゴロシ!!」


「くぅ......!」


サバトが手足の細長い悪魔に槍で挑むも相手の腕が長すぎて体にまで刃が届いていない。


「サバト、伏せて! エレメンタルエアロフォース!!」


風属性の魔法、竜巻を引き起こさせ相手を吹き飛ばす。さらにフェニックスの炎が交わりあって威力が増して手足の長い悪魔を焼き尽くしていく。だが、その悪魔はびくともしなかった。


「フゥ......。フゥ......。ソンナコウゲキ、ナントモナイ!!」


なんて屈強なやつなんだ!? フェニックスにもう一度マリスを憑依させるか? いやだめだ。もう使えない。迷っている間に悪魔はこちらに進撃してくる。


「グレイス、離れて! 僕が君を守る!」


「サバト、どうしてそこまでするの! あなたもうぼろぼろじゃない!」


「はじめはソルエル様の言いなりってだけだった。でも、もうこれ自分で決めた事なんだ。君と旅して、君の可愛らし気な姿や儚い笑顔を見るたびに僕は絶対に守るって決めたんだ!」


サバトの槍捌きはドンドン鋭利になっていく。フェニックスの尽力もあり、体力はみるみる回復していく。それでも手足の細い悪魔は仲間を呼びつけて私たちを分断する。


その時だった。大きな足音と共に小さな地面の揺れがこちらに近づいてきている。木々が倒れる音、瞬間、三つ首を揺らして手足の細長い悪魔を食い散らかしていた。ぶるんぶるんと勢いよく悪魔の皮だけになった死体が揺れている。獰猛な大型犬の顔が三つ、一つの体にしっかりとつながっている。ファンタージ―のイラストなら真っ先に描かれそうな黒いケルべロスがそこにいた。彼は私たちを悪魔だとは認識していないが警戒している。悪魔だけを倒してきたのだろうか、牙や唇から緑色の血がついている。普通のモンスターやエルフを殺しているならもっと状況は凄惨なことになっていたかもしれない。


だとしたら、この子がもし悪魔だけを倒しているなら私たちと協力してもらえないだろうか。

彼の生傷を触れようとした瞬間、彼は少し後退りしてグルルルと唸り声をあげている。


「大丈夫、怖がらないで......」


正直まだ、ここには悪魔がうろついている。ターニャやキオナとも合流したい。だけど、それ以上にこの子を放っておきたくない。フェニックスの羽を彼の擦り傷に張り付けて回復の魔法を少し唱える。


「癒えろ、癒えろ、体を浄化せよ。リカバード」


フェニックスの効果もあり、彼がいままでついていた傷が嘘のように消え去っていく。

これを機に仲間になってくれるとありがたいけど、そんな期待はしない。それでも、いまだけは......。


「今だけでいい。あなたと協力できないかしら?」


体を少しなでながら話していると彼は優しく大きな三つの鼻をそれぞれ私に摺り寄せた。 良いってことでいいのよね? 彼は姿勢を低くして私たちを見つめた。乗れって事かしら? 私が先に乗り、サバトに手を貸して乗せるとケルベロスは威勢よく立ち上がり、走り出して悪魔を蹴散らしていく。


みんな待ってて。私が、いえ私たちが絶対に守って見せる!!





ケルベロスとともにターニャ、キオナの元へと急ぐグレイス。

彼女はほんの少しの希望を胸に戦い続ける。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ