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32:地獄の解放戦線と百鬼夜行

地獄から戻ってきた途端、天使の急襲に驚きを隠せないグレイス。

彼女の元に再び混乱が訪れる。

「地獄の門を見つけてどうするの?」


私は天使のところに向かい拳を握りしめて睨みつける。とりあえずはエルフのみんなから興味をそらせないとこの人にみんなの居場所が壊されてしまう。


「悪魔を使ってすべての町、国を天使の所有にします。どうせ、国王は無能でしょうし、騎士は腑抜けになって動けていませんから。現にもうカマル町は我々が占拠してます。じゃ、地獄の門の入り口を捜すため、燃やし尽くしますか」


「国がどうなろうと私は関係ないけど、この村を、私を幸せにしてくれたみんなのためにあなたはここで絶対に倒す! 倒す前に聞くけど、あなたが悪魔と私を契約したんじゃないわよね?」


「君とは初対面ですよ? ていうか天使が悪魔と君を契約させるっていう変なことするとは思えませんね。もしかして......利用されているのでは?」


「利用、どういうこと?」


「さあ? さてとあなたとのお話は終わりです。悪魔の行列、百鬼夜行を起こさないと我々は英雄に慣れませんから。この村は百鬼夜行の最初の餌食だ!!」



天使は嬉しそうに高らかに笑い始める。久しぶりに笑い声に対して怒りが沸いた。私はフェニックスを繰り出して天使を炎で焼き尽くした。

だがフェニックスのバーンブレスは効いている様子は全くなかった。


「嘘......。フェニックスの灼熱の炎にびくともしないなんて」


「君はなにを見ていたんですか? 五属聖には劣るものの灼熱の天使であるワタクシ、オムエルがフェニックスの火に負けるわけがないんですよ!!」


そういってオムエルは腕から炎を出して空を優雅に羽ばたいているフェニックスの首根っこを掴んだ。

掴んだその瞬間、フェにクスを地面にたたきつける。


「こんなちんけなモンスターで本当に天使と渡り合えると? 我々を舐めてもらっては困りますよ!」


闇が落ちていく感覚が全身を襲う。木陰の心地よさのような優しさと闇夜に一人さまようような孤独感と不安が私を包んだ。マリスが私と一緒になろうとしている。私はゆだねていく。


「マリス、ジョンにやったようにフェニックスにも憑依できる?」


『それは面白いのか? 私を満足させられるのか?』


「いいからやれ!!」


マリスはそれ以上何も言わず、フェニックスに憑りついた。フェニックスの炎は青く光りだし、オムエルの炎をも跳ね返した。周りを見渡したけど彼の協力者はいないようだ。地獄の方も問題ない。


「なるほど、そちらの方ですか......」


そういうとオムエルは私を飛び越えて背後の方へと走っていった。そっちは井戸の方だ。まずい!!

マリスが憑りついたフェニックスがオムエルを追いかけるも火事が心配だ。そう思っているとターニャとキオナがこちらを見て叫んだ。


「火消しはうちらに任せな! あんたは井戸を頼んだ!行くよ、キオナ」


「分かっている! グレイス、今は君が頼りだ。がんばって」


二人が燃え盛る村の火消しに参加していった。今のうちにあの天使を追いかけないと!

見失って井戸の方に向かうとサバトが井戸を背にオムエルと戦っていた。


「銀級であるあなたがどうして僕に歯向かうのです! こちらに危害を加える理由がわからない!」


「それは、一人の少女を守りたいからだ!! 悲しい生まれのデーモンテイマーを好きになってしまったからだ!!」


「悲しいです。悲しくてワタクシ、笑顔になれそうです! とんだ茶番だ」


「フェニックス! あいつを焼き尽くせ!」


サバトごと井戸を焼き尽くそうとするオムエルにフェニックスの業火を浴びせた。蒼い業火はオムエルを着実にとらえている。オムエルも対抗して炎を出しているがこちらの勢いには耐えかねているようだ。


「オムエル、あなたは私たちの復讐に関係なく殺す! 私の安寧を奪おうとした罰だ!!」


「できるのかぁ!? ワタクシは死んでも百鬼夜行は遂行される! どうにせよワタクシの勝ちだ!」


炎の温度が上がり、オムエルもサバトも汗がにじみ出ていた。かくいう私も熱を帯びてきた。それでも戦うことはやめない。あの天使が悲鳴をあげるまでは絶対に火を耐えさせない。オムエルが後退するのを私とサバトが追い詰める。


「グレイス、天使を倒す必要ってあるの?」


「ここまで来てなにを言ってるの? こいつはエルフたちの住処を崩壊させてさらに混乱を起こそうとしてるのよ? 止めないと......」


「そうだけど......」


「殺せ、殺して見ろ! デーモンテイマー!!」


オムエルの最後の言葉だった。サバトの槍を借りて彼の胸に一突き。するとオムエルの体が点滅し始めた。まさか、自爆?


「グレイス、伏せて!!」


槍を引き抜いて、サバトが私の体を覆った。爆音が鳴り響く。私たちは爆風で飛ばされそうになったけど彼が槍を地面に突き立ててくれたから軽傷ですんだ。でも、地獄の門はそうもいかなかった。



「井戸が、破壊されてる!?」


破壊された井戸の周りからヒビが割れ始める。死霊や悪魔がひび割れから抜け出していく。轟音とともに紫色の空へと変わっていく。まさに地獄のような雰囲気だった。私が天使を手にかけたせいで悪魔がこの世界に死と恐怖を届けに百鬼夜行が始まったのだ。かすかにオムエルの笑い声が聞こえる。高らかな喜びの声は私にはこれから始まる絶望の始まりを告げる鐘のようだった。

悪魔が世に放たれ、グレイスのいる村や育った町が悪魔の巣窟と化した。

その中で見える希望とは?

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