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22:エルフの村と願い

洞窟を抜けるとそこにはエルフの集落が広がっていた。

グレイスたちはエルフに誘われるがままに集落に泊まることになった。

洞窟から出るとそこには森に囲まれた村落があった。国から隔離されたこの場所なら俺たちを知る人物も、報告する人物もいない。そう踏んだ俺たちはエルフの村へと足を運んだ。


「もう、くたくただよ」


「おんぶ、してやろうか?」


サバトが少し優しい声で聞いてくる。


「珍しく優しいな」


「悪魔つかいとはいえ、子供だ。世話くらい焼かせてくれ」


「子供とは失礼な! 私は13だぞ」


「28の僕にとっては十分に子供だ。それに、洞窟に入ると言う君の機転がなければ、こんなところにたどり着けていなかっただろう。これはそのお礼だ」


まあ、そういうことならいいかと思って俺はサバトの背中に乗った。槍が後ろで支えられていて安定している。誰かにおんぶしてもらったのはいつ以来だろう。安心できる背中に頼っているとそこに一人のエルフが現れた。


「おお、旅のお方。お疲れのようですね」


「ええ、少し困っているので今晩だけでも泊めてもらえるところはないでしょうか?」


サバトがそういうと、エルフは少し困り顔をしたがすぐさま晴れやかになって、良い提案をしてきた。


「残念ながら宿はないですが、うちに泊まってもらってかまいませんよ」


「ありがとうございます! あの......」


「ロンドです」


男性のエルフ、ロンドは私たちを彼の家に連れて行ってくれた。初めて優しさというものに触れたかもしれない。いや、エルフが温厚そうな性格でよかった。


家は簡素な木造でロンドと同じ年代くらいの女性と俺と同じか少し小さいくらいの少女が俺たちを出迎えてくれた。


「ようこそ、こんな辺境へ。なにもありはしませんけど、今日はゆっくりしてください」


女子のエルフは朗らかな笑みで俺たちを温かく迎え入れてくれた。こんな優しい人格者がいたなんて、いままでの世界が嘘みたいだ。さすがに名乗らずにただ止まるのも申し訳ないと思ったのかサバトが自己初回を始めた。


「今日はご厚意で泊めていただきありがとうございます。私、各地を冒険しておりますサビィと申します」


「お、同じく冒険者のマキです」


用心に用心を重ねて俺たちは偽名を使って苦笑いを浮かべた。

すると女の子が、俺に引っ付いてきて話してきた。


「ねえねえ! あなた魔法は使えるの?」


「えっ? まあ、テイマーだから契約魔法は使えるけど」


そういうとエルフたちは一気に俺に詰め寄って眼を光らせていた。

特にロンドは俺の手を掴んできた。


「おお! テイマー様なのですか! エルフ族以外のテイマー様は初めて見ました。これは余計に晩餐は豪華にしないとですね。エリエ、ともにがんばろう」


そういうと女性であるエリエとともにロンドは台所に立ち、作業を分担して調理を始めた。

俺は少し気になって話を振ってみた。


「ロンドさんも台所に立つんですね」


「そうですね。特にだれかを招いての食事となると男のエルフが台所にたつことが多いですね。オオイノシシやワイバーンのような力のいる肉料理を捌くのが主な役割です」


そういって彼はつり下がっていたワイバーンと思わしきものを取り出してでかい包丁で豪快にさばいていく。ワイバーンの肉っておいしいの? そう思いつつ、どんどんと料理がテーブルに並べられていく。

おいしそうな匂いが俺の鼻に入ってくる。

本当に久しぶりの豪華な食事。ありがたくいただこう。


食べてみてわかったことはワイバーンの素揚げがかなり手羽先の感覚だったことだ。ワイバーン料理は前世で味わったものみたいで安心して食べた。腹がいっぱいになって休憩しているとロンドが神妙な語り口で話し始めた。


「先ほど、マキ様はテイマーとおっしゃいましたよね? それは本当ですか?」


「ええ、本当です」


「唐突なお願いをしてもいいですか?」


ロンドは歯切れ悪そうにお願いをしてくる。まあ一食一夜のお礼くらいには聞いてもいいだろう。話を拭てみるとロンドは続けて話し始めた。


「実は、このエルフの村の奥には湖がありまして......。そこには魔王がすんでおります。その魔王は毎度女を要求して困っているのです。なんどもこの村きってのテイマーが魔王の捕獲に挑みましたが中々かなわず、今度私の娘が......。ジーンがいけにえになろうとしているのです。自分の娘が助かりたいというのもありますが、これ以上被害を増やしたくないのです。ですから......」


俺は少し悩んだ。できれば関わりたくはない。が、ここで恩を売っておけばテイマーについてもう少し話を聞けるかもしれないし、拠点にもしやすくなるだろう。やってみる価値はある。


「私ができる範囲でやってみます」


「おい、gマキ! 大丈夫なのか?」


サバトが怪訝そうな顔で見つめてくる。なにも俺一人で行くとは言ってないよ?


「大丈夫、だって私にはあなたがついてるもの」


そういうとサバトは俯いて顔を赤らめた。はい落ちたー♪ チョロチョロじゃん。


「しょ、しょうがないな。明日偵察に行ってみよう」


そういうとロンドは明るくなった。そうなったら明日に備えて今日は早く寝よう。いままでよりましな寝床に目を閉じた途端ぐっすり寝ることができた。

突如として魔王のことを聞かされたグレイスたちは、事情も聞かずに自分たちの拠点作りのために協力する。


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