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20:悪魔と一緒に逃避行

グレイスとソルエルの対峙がはじまる。

「俺の本来の姿まで晒したんだ。負けたよ」


口がするすると麻袋の中に戻っていき、背中をむけて麻袋を取り換えていた。よほど見られたくない姿なんだろう。


「で、聞きたいことがあるんだけど」


俺はこいつに聞き出さないといけない。俺たちをこんなめにあわせた張本人を調べ上げないと......。


「残りの天使はどこで何をしている! 全部言え!」


「おいおい、全員の居場所を知ってどうすんだよ」


「殺す。殺して、呪いを解く。そうじゃないとわたしは自由になれないんだ」


「どうして全員殺す必要がある! 呪いの類いは一人がかければいい話だろ。落ち着け、もう少しかみ砕いて説明してくれ」


俺はふと冷静になってみた。確かに、全員殺すのは労力の無駄だ。

俺は少し彼に吐露した。異世界からきたこと、異世界から来た際にマリスが契約の魔法によって縛られていたこと。それから解放されるために旅をしていることをすべて話してみた。思うよりソルエルは聞き分けがよく、理知的な部分がある。人間のために俺を利用したことも一つ一つの言動に全部は飲み込めないけど、なんとなくわかる信念のようなものを感じている。


「悪魔と契約できる天使を、探している......。心当たりは?」


「君の捜している契約の天使、少し思い当たる者がいる。だが......」



少し困ったようにソルエルが悩ませていると一瞬の光が彼の頭を撃ち落とした。コロンと転がる麻袋がしぼんでいく。あたりを警戒していたサバトがこちらにやってきた。


「貴様、仲間を呼んでいたのか! よくもソルエル様を!!」


『私は大丈夫だ』


「ソルエル様!?」


サバトが急に上を見始めた。俺には何も聞こえない。それよりも、誰がこいつをやったんだ! せっかくの情報源を......! 光の放っていた方をじっくり確認するとそこには仮面を顔に覆った人物が長い銃をもって睨みつけていた。


「待て!」


仮面の人物はスッと消えてしまった。


「くそっ! また振り出しかよ!!」


浜辺の砂を叩いているとサバトが切りだしてきた。サバトも俺よりも遠くの場所から熱線が放たれているのが見えていたのか、犯人扱いせず淡々と話しを続ける。


「いや、違うぞ。悪魔使いよ。お前を信じるわけではないが、僕が手を貸してやる。それがソルエル様の願いでもあるからな」


「どうして?」


「僕だって知りたいさ! でもな、ソルエル様は最後にお前を助けろとしか言葉を残してくださらなかった! お前と関わらなければソルエル様は......」


サバトが悔しがっていると浜辺にいきなり勇士団が集まってきた。銀や金の紋章が胸元に輝いている。どうしてここが分かったんだ!? 勇士団の一人がサバトにけしかける。


「お前が内通者か! サバト!」


「えっ、なんのことです?」


「そこにいるデーモンテイマーと内通していたのはお前かと聞いているのだ!」


サバトは訳も分からず混乱しているみたいだ。当たり前だ、俺だって混乱する。だけど彼は真面目に弁明しようとする。


「ソルエル様がこの者を護衛せよと! 天界へと導けと」


「お前の穢れた口でソルエル様を語るな! この悪魔の手先め」


金級勇士団の一人がサバトに刃を向ける。

今、こいつを殺されたらまずい。俺はサバトの手を握り、必死に走る。


「サバト! ソルエルの敵を取りたければ私とこい! 今は生き残ることに専念するんだ!」


「放せ悪魔め! 僕は......僕は!」



「お前も悪魔扱いされていたろ。現実をみなさいよ、バカ!」


そういうとサバトは少しおとなしくなって一緒に逃げることにしたようだ。

追いかける勇士団たちを背に俺たちは必死に浜辺を走り抜ける。



とっさの判断により、サバトとともに逃げることになったグレイス。

二人そろって指名手配の逃避行。

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