17:隣町のギルドとソルエル
重い足取りでやっとの思いで隣町「ソル町」へとやってきたグレイス。
そこで情報を聞き出そうとするが向こうは息をつく暇を与えてくれない。
「似てる......」
俺たちのいたカマル町の隣あるソル町のギルドまでやってきたけどもこのギルドの受付嬢、カマルであった受付嬢とそっくりすぎやしないか? 双子? いやちょっと鼻の筋とかほくろが違うような......。どうでもいいけど。
「ほ、本日はどうされましたか?」
ギルドの受付嬢はまじまじと見つめていた俺に少し困惑してしまっていた。あ、ごめん。
「あ、ああ。テイマーについての情報が知りたいんですけど」
ギルドの受付嬢は後ろの本を探っていた。が、ちょっと遅い気がする。ギルドの受付嬢の様子が変だ。そう考えた瞬間後ろから槍が首筋をスッと通ってきた。
「動くんじゃないぞテイマー。今、テイマーと関わりのある人物をって、中々美人じゃないか」
振り向くと、眉をひそめた若い男が俺を尋問しようとしている。銀の紋章!? 銀級勇士がどうしてここに? 受付嬢が呼んだのか? さっきの口ぶりからすると、テイマー関連の情報を探っている奴全員聞き取り調査してるのか......。ごまかすしかない。
「な、なにかあったんですか?」
「カマル町で児童所が襲撃されたことはご存じですか? あれがテイマーの仕業だって話なんですけど、どうしてテイマーのことを調べてるんです?」
「大きなモンスターの管理法を聞きたくて。町に放ったままだと怖がられちゃうんで」
「なるほど。ところで知ってますか? テイマーは一子相伝、師匠から弟子、親から子へ教えられるんですよ。おかしいですね。教えてもらえなかったんですか?」
「えっ......」
んなこと知らねえよ。自分で勉強したんだからよ!
テイマーの魔法ってそうなのか? 父親の書斎にあった魔術書でしか読んでないぞ!? どうする?
『おい、適当に言えばいいだろ!』
小声でガラゴがアドバイスをしてくる。うるさいな、今はちょっと黙ってろ!
「ポシェットがなんかモゾモゾしてますよ。珍種ですか? 見せてもらえます?」
俺はとっさにガラゴを隠してしまった。まずい、ますます怪しまれる。槍を持った男は、ますます詰め寄ってくる。
「もういいだろ、やめなさい。サバト」
尋問していた男をギルドの入り口を少し越すくらいの大男が制止してくれた。顔は見えないが黒いスーツ越しからでも見えるガタイの良さが目に映る。って今は乙女センサー発動してる場合かっ!
大男はサバトの横まで歩いて肩を置いた。それに口答えするようにサバトは顔を向ける。
「ですが、ソルエル様!」
ソルエル? なに、ソルエルだって? じゃああの麻袋被ったやつがクオーツとターニャが言ってた天界12使団の一人、ソルエルなのか?
ソルエルは私の髪の毛を不躾に触ってきた。
「彼女の髪を見なさい。銀色ですね、態度からも察するに彼女が噂のデーモンテイマーでは?」
髪が銀色ってだけで本人扱いかよ! 狂ってんな
「髪色だけで判断しないでもらえますか?」
俺はソルエルの手をゆっくりとどかしてにらみつけた。ソルエルの外見は普通の人間とほとんど変わらない。紳士のように見えるがなぜか笑顔を描いた麻袋を被っている。気味が悪い。
「ところで児童所から保護された竜人の子は口を割りましたか? サバトくん」
「は? ああ、全然だめです。ちょっとくらい手だしてもいいですか?」
「いいよ。情報のためだ。殺して、血肉を売りさばいてもっ......」
竜人って、アリスのことなんじゃ? こいつ、揺さぶりをかけて来やがった!! あの子だけは、俺に関わっちゃいけなかったんだ。天使にも悪魔にも関わらずに生きて欲しいからあの子の前から消えたのに......!!
「てめえ! アリスになんかしやがったらただじゃおかねえぞ!」
俺は我を忘れて状況も考えずにマリスの力を使って近くにいたサバトに食らいつこうとした。だが、彼の槍術はとてもじゃないが追い込めない。俺の拳をなんなく槍の長い柄を使って振り裁いている。こんな狭いギルドでなんて技巧なんだっ!?
「捕らえろ、サバト」
ソルエルが命令すると、サバトは目つきが変わっていく。さっきより槍の突きが早くなっている! 外に出てジョンと合流しないと!俺は、サバトの槍をよけながら入口へ誘導していく。でも、それは読まれていた。一瞬にしてソルエルは入り口に瞬間移動してきていたのだ。そうというしかない。目の前にあいつの張り付いた笑顔が近づいてくる。瞬間、腕を掴まれて地面で拘束されていた。
「グレイス・アルマン。またの名を、白銀のデーモンテイマー......。死ぬ前に少し手伝ってもらおうか?」
「なに? 天使が協力を要請?」
「遺憾ながら我々では到底不可能なことで、君の力でしかできないことだ。君の悪魔をも統べるテイマーの力を借りなければならない!」
その顔は麻布に隠れて読み取れなかったが、言葉に嘘偽りはないようだ。あの銀級勇士は何を持ってこいつを警戒しろって言ったんだ?
殺される前にやるべき仕事とは?
ソルエルはいったい何を考えているのか!?




