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11:竜人と少女

天使のことを知るためバベルと結託し、カマルエル児童所へと向かった。

コボルトのバベルさんの助言で孤児として児童所に潜入することにした俺たちは児童所の門を叩いた。

門が開かれるとそこには門よりも大きな女性がかがんで出てきた。女性は優しい吐息を混じらせながら語り掛けてきた。


「あら、あなたここでなにをしているの?」


その着ている服の白さ加減が八尺様のような異様さがにじみ出ている。

朗らかな笑みで優しく包む彼女に俺はつらくも嘘をついた。


「あの、12才からでも施設には入れますか? 私、ずっと親も知らないで親戚をたらいまわしにされて......。それで急に追い出されたんです。だから、行く当てがなくて」


そういうと彼女は大きな体を丸めて俺の目線まで下がって抱きしめた。

ま、1歳サバ読んでるし、たらいまわしとかもウソなんだけどね。


「あらあら、かわいそうに。大丈夫、ここは天使が守護する子供たちのための施設。我々はあなたを歓迎します」


潜入に成功したのはいいものの、この女性はイマイチ読めない人だ。俺が12才だって言った時は少し曇っていたけど抱きしめるときにはもう一片の曇りのない笑顔に変わった。一体、何を考えているんだ?


少し歩いたところに子供達が遊ぶ広間が広がっていた。そこで大きな女性は俺に挨拶するようにいった。


「はあい、みなさん。今日から新しくきたお姉さんを紹介します。自分で名前言えますよね?」


「は、はい。マキといいます。よろしくおねがいします」


自分より小さな子供達が純粋な笑顔と拍手で出迎えてくれた。


「カマルエル様、ご本よんで」

「遊んで、カマルエル様~」


みんな一つのことが終わると大きな女性にすがりより保育士や幼稚園の先生のように慕って抱き着いている。彼女が、天界十二使の一人のカマルエル......。思っていたよりもデカい。まあそれはいろいろと。


その日の夕ご飯は野菜たっぷりのシチュー風スープ。風としか言い表せないほどのシャバシャバのスープだ。この世界の食べ物はろくに食べてこなかったからありがたくいただこう。


『人間だけじゃなくていろんな種族もいるんだな。おい、見ろよ竜人族やエルフもいるぜ』


物珍しそうにポシェットの中から見物するガラゴを押し込みながらスープを飲み干した。

この世界が異世界だってことがすぐにわかるような縮図だな。子供たちは晩御飯を食べ終わるとおのおの歯を磨いたり風呂に入っていた。でも、一人だけずっと一人だけ広間の隅っこで座っている子がいた。その子の額には小さな角が生えていた。


「あなたはみんなと一緒にお風呂とかに入らないの?」


炎のように赤い髪の毛をぶんぶんと横に振って小さな声で答えた。


「りゅうじん、だからひととなかよくしちゃだめなの」


「どうして? かわいいのに」


褒め慣れてないのかその子は髪の毛で顔を隠して答える。


「かわいい? ありす、わからない。なかよしいないから」


寂しそうな声に俺は思わず手を差し伸べてしまった。この子を見ているとなぜか小さい頃の俺を思い出す。いや、こんなに可愛くないんだけど......。


「じゃあ、私がなかよしに、友達になってあげる。ほらいこう? ありすちゃん」


ありす。多分この子の名前であってると思う。彼女の手を引っ張り、二人でお風呂に入った。一緒に洗いっこをしているうちにちょっと仲良くなった。手をつないで彼女のベッドへと向かっているとカマルエルがランプを持って現れた。


「あら、マキちゃん。もうお友達できたのね。えらいわぁ」


「え、ええ。それで聞きたいんですけど、この児童所ってその、カマルエル様だけでやってるんですか?」


「そうね、基本は私一人よ。他の児童所は勇士の人達に任せてあるわ。他の天使たちがやるとろくなことなかったんですもの......。さあ、二人とも、もう寝る時間よ。はやくベッドに入りなさい」


潜入一日目ではさすがに何もわからなかった。

得られたものて言ったら、この子とちょっと仲良くなったくらいかな。俺は横ですうすう寝ているアリスの背中を優しくたたきながら安心させるように寝かしつける。


『おい、あんま長居は禁物だぜ、グレイス』


ガラゴが寝ているアリスにちょこんと座って腕組みをしていた。

このぬいぐるみ、少しは場所を考えろよ。


「分かってるよ。無理はせずにもう少し探ってみるよ」


『こんな面倒な事せずに、あのデカブツに痛い目を合わせればいいものを......。貴様ならすぐにでも殺せるのではないかな? ほら、私に身を委ねてみろ』


マリスがいつものイラっとさせるような言葉を投げかけてくる。


「そんなこと言って、体と意志を奪うんだろ! それに、この作戦は相手が天使なんていう退治したこともない生き物だぜ? 慎重にしねえとなにも聞きだせないだろ? 無駄死にでもしたいのか?」


マリスは少しむっすりした感じで消えていった。どうするかはまた明日考えよ。






出会いと別れは突然に......。

次回「出会いと別れ」

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