黎明へ
どうして現代詩というものが生まれたか
深く語ることを知りはしないが
これだけは言える
因習や幻想、そして老臭に満ちたスタイルからの解放が必要であったこと
時代であっただろうそして必然的な渇望であっただろう
言葉はいつも口にされ耳に届く
テキストとは説明文だけではなくて
初めての声ならざる声との出会い
それは繰り返されることのない経験として
まるで出合い頭の一言のように
或いは眠りの中の夢のように
見知らぬ誰かの言葉が目の前に現れること
定型に従ってしまうかもしれない不安と戦い
そしてどこか慕ってしまう矛盾の甘さ
もう死に絶えたはずの古さを
どうしてまだ追いかけてしまうのか
消えてしまった面影はいつでも
我らそのものとして続いているというのに
きっと顔を毅然と上げていた荒れていた時代の詩人たちへ
日本語の誇りを模索の中で見失った
我らの愚かさを若さだと笑ってほしい
これこそが最も新しい日本語であると
下らなさまでも許容する最大の巨大な文字コードであると
そしていつか声高に叫ぶ新たな時代の黎明であると
かつて時代があり、そして今黎明が始まりつつある。いつまでも変わらぬことがあり、そして変わり続けることへの抗いがある。巨大なうねりが黎明を生む。