第7話 待ち伏せ
「やあ」
「あ、あの・・・」
「わたしから名乗ろう、サイオン・バスタ」
「わたしはロウギスと呼ばれたこともありますけど、主からはピョンと・・・」
「・・・ウサギさんですか?」
男性はボクと同じぐらいの背格好、年の頃は50代ぐらいか・・・髪色と目の色が僕に似ていて少し不気味だ。小柄な方は白い短毛の直立2足歩行するウサギ?
目は黒くてクリッとしている。『キモオタ先生』が興奮してうるさい。
アニメのハルだ~~!!ピョンって笑ろた!ピョン吉~~~
「兎獣人です!」
「それでハルさんですか」
「ピョンです!」
「ええと、大賢者のサイオン・バスタ様でよろしいですか?」
「そのと~り」
「お初にお目に掛かります。ケントと申します」
「ふふふ、偽名じゃなくて?ケン・ルグラ・ニホン様でしょ」
「・・・はい」
「もう必要は無いかも知れないが突然故障したら影響が大きいからね、残っている10ヶ所については百年単位でメンテナンスをしているんだよ」
「・・・5千年も前からですか?」
「正確に言うと約4千8百年だね、君の活躍は見ていたよ」
「・・・見ていた?」
「はい、そうですよ、なので、主の加護と『救世主』の称号もつけさせていただきました」
「登録魔道具って・・・」
「わたしどもが、色々とね」
「ふ~む」
「ピョン吉さんの主は創造神ガイナ様なんですか?」
「さっきからピョンと言ってるでしょ」
「あ、すみません、『キモオタ先生』せいで・・・」
「転生時の記憶障害かね」
「まあ・・・」
「今は思い出せないがわたしも転生者だと聞かされていた。ピョン吉の主は創造神ガイナと言っても良いかもしれないが・・・」
「あの、なにげにピョン吉って!」
「あ、すまん。わたしは百年おきに眠りにつく、しがない魔道具士なんだよ。ピョン達より器用で・・・」
「ピョン吉さんは?」
「のぞき魔と呼んで良い」
「失礼な、監視員です、ここの!」
「う~んと、他にもあるんですね」
「まあ、ゆっくりと話そう、結界も発動させるし、この転移門で拠点へ行くよ」
「・・・そこまで信用しているわけではないです」
「ふうむ」
「生意気な人ですね、主に言いつけますよ」
「察するに、あまり来ないんでしょ?」
「ギク!」
「4千8百年前は、サイオン様に泣きついたんじゃないですか?」
「ギク・ギク・・・もう!」
「自分用の転移門を設置しても良いですか」
「ああ、結界は大丈夫だと思うよ」
「せっかく待っていたのに・・・ちょっと納得出来ませんわ」
「妻や友達をさしおいて勝手もできないからね、そのうち伺います」
「しかしなあ」
「第一月、ルルナ旅行を計画していたので」
「え~~~~」
「ハハハハ、なるほどね、君は鋭い、わかったよ。君をココに呼び寄せるために、少し噂を流したんだ」
「プサイ・ダンジョンが崩壊するかも知れないという噂でしたね」
「うむ、何か土産はいるかな」
指さす方にはかつて進攻をしたであろう者達が残したアーティファクトが転がっていた。
「いえ、間に合ってます、それでは半年以内で良いですか?」
「今更それくらいは待つさ」
「まったくもう・・・」
認証式転移門を置き宿に帰った。ペアの転移門はマジックポーチに収納して念のため使えないようにする。
「それにしても・・・」
首輪のビデオカメラを作動させておいたので、後でみんなに見てもらおう。
翌日、ギルドには昨日遅くなったからと依頼達成、蜂蜜瓶1本、ハニーピーチ4個を引き取ってもらった。
宿は引き払い、いったんアトラン国のラベルの実家へ帰る。




