第3話 冒険者ギルド登録
「おまたせしました」
「登録お願いします」
「え、あ、はい・・・では、ここに記名と、年齢、出身領地を」
「ええと、偽名も良いんですよね」
「教会に登録している本名は確認しますよ」
「わかりました。本名欄に書けば良いんですね」
「ええ、登録料は大銀貨4枚ですけど」
「了解です」
問題なく登録完了、改名した本名は一般に知られてないし、ヘルン領地の貴族でルグラは有名だが、セカンドネームなので庶子だと思われたらしい。
父上ごめんなさい。
「パンフレットを確認して下さい、ケントさんはF級魔道士で登録されます。冒険者カードの再発行は金貨2枚になりますので無くさないように、いくらか貯金を入れておいた方が良いですよ」
「じゃあ、これ」
「え、ええ・・・まあ」
金貨20枚程度は何かのため(治癒関係)とエステルさんが教えてくれていた。
「今まで土木関係の仕事をしていて貯めたんです」
「土魔法が使えるんですね」
「はい」
「パーティメンバー募集書を確認して下さいね」
「ありがとう」
親切な受付嬢はエーサさんだ。実力試験は昇級時に行われるそうで、F級新人はパーティに入って修行した方が良いと教えてくれた。
どこのギルドカードもF・E・Dは銅色、C・Bは銀色でA・Sは金色。
役職つかないなら金寄越せで押しつけられたSランクは魔具・魔法・商業・工業・船員と5枚持ってるが、それよりもなんか嬉しい。
「よう、兄ちゃん、魔道士の新人さんだって?」
おおお~脳筋キター!!!
久しぶりの『キモオタ先生』生きてたのか・・・。
新人潰しという絡み役。冒険者の情報屋、新人の実力情報を流す役割らしい。
「オレが見てやるから訓練場で魔法見せてみろや、おうおうおう」
「はい、いいですよ」
ムキムキマンに連行されていく。
エールン国内に2つあるダンジョンのうち北部のプサイは大賢者エジル・ドス・ヘルムートが暮らした迷宮都市として有名、宿屋や道具屋、お色気も含む飲食店等が揃っていて、冒険者ギルドには訓練場も併設されている。西側にある教会は上級治癒士が常時待機と国策で力を入れている。
土魔法は、フィールド型では使えるが迷路型では使えないのが通説。
火魔法や風魔法は使い勝手が良い。水魔法は生活魔法で使えない方が珍しい。
ただ水弾となると魔道士の独壇場らしい。防御系の結界術士は人気がある。
「さあ、どーんと来い!」
「それなら行きますよ~」
嘘の実力を示すため古典風初級中級魔法の魔動式を作って練習してある。
怪我はさせたくないが、ミスリルナイフを抜いて対峙、脳筋ムキムキマンはベルガーさんというC級剣士、近接格闘技もできるショートソード遣いだ。
「モニョモニョ・・・ファイヤーボール(古典風)!」
「うわ!」
詠唱もどきでトテトテ飛んでいく火の玉、D級魔物なら一発でこんがりおだぶつぐらいの威力、ベルガーさんはかろうじて火線をよけて驚いていた。
「モニョモニョ・・・ウインドクラッシュ(古典風)!」
空砲とも呼ばれる風魔法、囲まれたときに敵を蹴散らすのに有効だ。
「うげ!」
ベルガーさん、まともにくらって飛んでいきましたとさ。でもって酒場に誘われた。情報収集では個人情報は聞かないので少しホッとした。
「・・・だけどよ、魔道士ったら杖じゃネエのか」
「杖術は得意じゃ無いし、魔木の長いのって高いですから。このナイフは発動体代わりで、峰のところにミスリル線、握りの魔結晶に繋がっていて、剥ぎ取りもやりやすいし~」
「へ~」
「パーティ組むなら人柄の良いリーダーのところが良いわよ」
「はあ、しばらくは3階の採取をやって慣れたいです」
「それもわかるわ」
ベルガーさんのお友達も大型チームを渡り歩いているC級魔道士2人だ。
C級からB級へはかなりのギャップがあってなかなか上がれないらしく、しがらみのできる年齢になるとパーティ維持は難しいと愚痴を聞かされた。
ヘルンに行ってA級に昇格した『沈黙の森』はラッキーな方かも知れない。
制約がある(マジックポーチ持ちなど怪しまれる)ので、単独で依頼を受けつつ迷彩結界で身を隠して深く潜るつもりだった。
適当にお茶を濁して宿に帰った。『金竜亭』と名前は豪華だが、前世のビジネスホテルみたいな安宿、セキュリティはしっかりしていて1週間前払いで金貨1枚。
地図は毎年版が発行されていてそれほど高くない。大賢者エジルの門派が20階に設置した結界転移装置のおかげだ。
翌日、常時出ている薬草の採取依頼書を選んで、受付に持っていった。
「おはようございます、エーサさん」
「あら、ケントさん、1人?」
「ええ、とりあえず単独で採取してみます」
「まあ、それでもいいけど、間違っても7階層以下には行かないでね」
「はい」
唯一制限無しといっても事故情報からの注意喚起はしている。
「え~1階で農業?」
パンフレットを見直す。1・2・3階は密林フィールドだが、1階は開発が進んでいて、農産物を迷宮都市に供給している。
「それにしても下から害獣が上がってこないのかな・・・わ!」
あぜ道でネズミがミミズのような魔獣に襲われていた。
「なるほどね・・・」
「よう、おまえさん新人だろ?」
「は、はい」
「1階は危険は無いぞ、採取なら2階からだ」
「わかりました~」
麦の状態を見ているお爺さんに聞いたら魔素のおかげで成長が早いらしく4期作して大儲けしているそうだ。
「オレも昔は冒険者で活躍したがなあ、あれは・・・」
話が長そうなので早々に退散した。




