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記憶障害の転生者って  作者: 日川文月
第1章 転生
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第12話 魔道具学習

「お、はりきってやってるね」

「ジルギスにヒントを貰って魔動回路がようやく把握出来たようです。ただ、もうちょっと理解を進めないとですけど」

「ほう、どういう?」

「魔素理論です。魔素は物質なのか、物質なら粒子なのか、西域と東域の濃度差はなぜか、魔素濃度を測ることができるか」

「それができたら、前に言っていた魔力の数値化もできそうだね」

「はい」


 指導講師はゼネス・ハリエット、平民出身でも王立学校に採用され、準男爵の名誉爵位を授かっている。給与以外の特典は無いが、勤め上げれば男爵に昇進して恩給が貰える。講師は結構自由がきき、学校に迷惑が掛からない範囲で副業も可能、ゼネスは魔道具職人として王都の魔道具屋に製品を供給している。

 その他、工房へのアドバイザーとか裕福な平民相手の家庭教師、武技講師だったら冒険者への指導員等、給与より稼いでいる先生もいる。

 ゼネスは頭が柔らかく押しつけがましいところがないので教わりやすい。ちゃんと話を聞いて一緒に考えるスタイルだ。今作っているメダル型の魔道具はゼネスのヒット作、小型軽量汎用性があって安く作りやすい。


 まずはじめに光魔法のライトで勉強、極細魔法ペンとも言える専用工具で魔動回路を基板に刻み込んでいく。頭の中に数式のような形で全て組み上がっている。

 魔力を通す場所に小さな魔石をはめて発動条件の声で命令してみた。

「ライトオン」

 設定した位置に微少魔方陣の場が出現、魔素を変換し全方向に向かう可視波長の光子を生成、明るく点った。

 デフォルト設定のエネルギー量は可変だ。

「ライト2」

少し暗くなる。

「ライト3」

前より明るく光る。

「ライトオフ」

完全に暗くなった。


「できた~」

「そんな小さな魔石で明るいな」

「小型ランタンですね」

「基盤に樹脂を充填して乾かせば終了だ」

「はい」

 専用工具でイレーズ・リライト、再確認をして樹脂を充填、基盤と一体化、環境中の魔素を魔石にチャージする回路もついているので半永久的に使える。


 脳内の魔動式を変更、頭上30セタに微少魔方陣の場を設定、体内の魔素を使う設定にして試してみた。

「ライトオン」

 口に出すと思い通りの光が現れた。

「ライトオフ」

 思っただけで動作する。無詠唱か。

「魔法使えるようになったのかい?」

「ええ、当たり前のことに気がつきました。もう大丈夫です」

 ボクの才能が開花した瞬間、自分で自分を褒めてやりたい。位置設定や明るさを色々いじり、指動作と関連付けたり試しまくった。


「おい、ケン、昼飯行こうぜ」

「おう」

 入学して半年でみんなも慣れて余裕ができている。昼食は学内レストラン、等級ごとに分かれていて、職員や先生専用室には貴賓席もある。

 同じくゼオスに習っているワンドと食堂に行くと3人がすでに席に着いて待っていた。カフェテリア式で銀貨1枚だ。


「いつも二人は遅いな」

「先に食べて良いぞ」

「毎度のやりとりだわ、いただきましょう」

「いただきま~す」


 剣士や騎士を目指すがたいの大きい連中が超大盛りの皿をこれでもかと喰いまくっているのが目立つ。高等部は訓練も厳しく最初は青い顔で食事も喉が通らないようなところも目にしていたが、今では信じられないほどの健啖家ぶりだ。

 女子はやっぱり微妙か、太る恐怖と食への満足感を秤にかけている。でもってデザートが多くなるってどういうことだろう。


「ケン君、ゴムはどうなってるの?」

「あ、そうだ、父から催促があったんだが」

「そうそう一朝一夕に事は進まないよ。ジルギスの仕事だ」

「なんかな~人を使うのが上手なのね」

「錬金術師じゃないし」

「土魔法を極めれば錬金術を極めることになるんだろ?」

「分析・抽出・錬成・成形だけでも習熟すれば無敵だな」

「農工業には必須だから頑張ってるわ」

 農業国ツェリンのクルトは祖国のために役立ちたいと心から願う娘だ。エルフが使う精霊魔法にも興味があっていろいろ調べているそうだ。


「頑張るのも良いけど休息も必要だわ、夏休みの予定を立てましょうよ」

 6月後半と7月前半は夏休み、12月後半と1月前半も冬休み、割とゆったりした学習環境だ。旅行とかで見聞を広めるのが主流で、腕に自信があればダンジョン攻略とかも申請すれば許可が貰える。

「それならルグラ領に来ないか?観光地やダンジョンもある。ゴムも気にはなってるからな」

「お大尽旅行になりそうだな」

「色々世話になってるし任せてくれ、祖父にお願いしておく」

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