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第十五話 ジョナサンという男1

「……」


 おじさんはいつもよりも神妙な表情。言い淀んでいたところを見るに、あまりお話をしたくない事柄だったのでしょうか。藪を突ついてしまった、という気分です。


「そもそも、だ」


 おじさんは口を開きました。


「どうして私のようなカモメが人と会話できているのか、そんなところすら君には話していなかった。しかし、どう話したものか。私の話など聞いて面白いことは無いと思うが……」


 自分のことをお話しすることが好きではないのかもしれません。しかし、わたしはおじさんのことが知りたい、沢山の知らないを教えていただきたい、もっと仲良くなりたい。そう考えていたらわたしの身体は勝手に動き出していたのです。


「わたしは!」


 突然立ち上がり、大きな声を出したわたしにおじさんはびっくりしています。そしてそれに驚いたのはわたしも同じです。決して天井に頭をぶつけて痛かったからではありません。


「わたしはひかりといいます!」

「小学校の五年生、十歳です!」

「お勉強は好き、でも運動は少し苦手!」

「お化けが出てくるテレビ番組を見ると、しばらく一人でおトイレに行けなくなります」

「パパの入れてくれるカプチーノと、ママの作るお菓子が好きです! ナスはちょっと苦手です……」


「尊敬する人は、パパと、ママと」


「ジョナサン=クレゼントおじさんです」


 なぜわたしは、自己紹介を始めたのでしょうか。それは自分でもよくわかりません。でもなんとなく理由を付けるのならばきっと、わたしなりにおじさんへ礼を尽くしたかったのだと思います。

『ロケットのことだけでなく、おじさんのことをもっとたくさん教えてください』

 そのような気持ちが爆発してしまったのです。それがきっと、先ほどの自己開示でした。語気荒く興奮してしまいましたが、おじさんにはどう伝わったのでしょうか。


「ーーそうだね。私もひかりさんに自分のことを教えなかればいけないね」


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