王様ゲームからのプチ宇宙アイス大戦争
初投稿です。
誤字や脱字があるかも知れませんが、そこは生暖かい目でスルーするか、コメントで教えて下さい・・・。
それでは、よろしくお願いします。
「さあ、早速やって参りましょう! 王様ゲームを!!」
『珍しく片付けを頑張ったが普段はやってないもんだから物を端っこに寄せただけ』という雰囲気を具現化したようなこの部屋の家主の元気な声が、この家全体に響いた。
おそらく、この近所にまで響き渡ったものと思われる。
そんなことは気にせず、狭い部屋の真ん中で、しかも仁王立ちでニカッと爽やかに笑うイケメンこと、池田 正二がその大声の音源であり、その部屋の主だった。
この馬鹿みたいにハイテンションな彼こそ、この王様ゲームの主催者でもある。
しかし、この場で盛り上がっているのは、彼一人だけであろう・・・。
「「「「「・・・・・・。」」」」」
何故ならば、彼のほぼ自己満足とも言えるであろうこの王様ゲームに参加させられた五人の心情は、殺意に満ちていたからだ。
しかし、殺意が湧くほど無理矢理参加させられたのかと言われるとそうでは無い。
彼にしては珍しく、強引ではなくちゃんと昨日の内に「明日空いてる?」と確認をしておいたのだ。
・・・だとしたら、何故か。一体何がこの五人の殺意を滲み出させているのか?
答は無雑かつ簡潔。このかき集められたメンバーの相性が最悪過ぎるのだ。
「・・・いぇーい・・・」
流石に何とかしなければなるまいと空気を読んだのか、かき集められた五人のなかの一人である御影石 弘栄が、場を少しでも和ませようとしたのか、手をパチパチと叩きながら正二に笑いかけた。
・・・この場を盛り上げようとした彼の行動に一つ問題があるとするのならば、それは、彼の笑みが明らかな作り笑顔だと言うことだろう。
それを見ていた岡本 裕太と中川 鈴花が、一応愛想笑いをしながら弘栄に合わせ、正二に拍手を送り始めた。・・・しかし、正二を見つめるその目は冷たく、凄く嫌々ながら、と行った感じを隠しきれていないようだ。
「早速やっていこー」
「ええ、楽しみねー」
凄く棒読みな顔と声でそう言い始めた裕太と鈴花に、正二がうんうんと頷いて言う。
「そうそう、皆もっと盛り上がろうぜ? せっかく今から王様ゲームやるんだって言うんだからさぁ!」
天然の頂点を極めている正二が呑気にわははと笑って言った。
「・・・王様ゲームをこのメンバーでやるからこんなことになってるのよ・・・!!」
女子にしてはかなり低い声でそう言ったのは前田 麻美だ。声のトーンから察するに、相当お怒りのようだ。
そんな彼女もまた、例の如く正二を冷たく睨んでいる。
「全くだな。 一体、あいつは何を考えているんだ?」
彼女の隣に座る醍醐 健も、麻美に同意して、唸るように言った。
彼も彼女達と同じく、憎しみと恨みと怒りが混じったような顔で歯を食いしばり、上目遣いで正二を睨んでいる。
気のせいでなければ、彼の奥歯の方から『ギリギリギリ・・・』という恐ろしい音が聞こえて来ているような気が・・・。
ここまで来ると、睨まれっぱなしの正二が可愛そうになって来るが、彼の人選にも問題がある。
いや、問題と言うと生温い。無為無策の大問題と言った方が良い。その方がしっくりくる。
今回のメンバーは、男子四人、女子二人の合計六人。本当は女子も四人だったはずだったのだが、一人はどうしても外せない用事が入り、一人は運悪く風邪を引いたのだ。その二人は明るくのほほんとしていたため、この場にいたら場を和ませてくれただろうに・・・。
元から良い雰囲気とは言い難かったのに、その雰囲気を調和してくれる二人は欠席と来ている。笑いたくても笑えない冗談だ。
相性が悪い組み合わせが多すぎる・・・。
まず、弘栄と麻美の組み合わせ。この二人の相性の良さは有り得ない程に無い。
目を離した空きに殴り合いを始める位の仲の悪さを誇り、絶対に一緒にしてはいけない二人組だ。
・・・席替えで隣の席になったならば机が破壊される程の大乱闘を起こし、工場見学で、移動手段であるバスの座席で隣になったならばバスの手すりと窓ガラスが破壊され・・・と、その喧嘩の威力は大きい。
さらに近年、その二人が成長期を迎えたせいでそのスケールが大きくなってきている。
次に、弘栄と健だ。弘栄と麻美の組み合わせよりはマシだが、それでも達の悪さは引けをとらない。
最初は馬鹿にし合い、次に罵り合い、最後は怒鳴り合う。喧嘩する程仲がいい、という諺があるが、この二人を見ているとそれは嘘なんだなぁと思う組み合わせだ。
その次が鈴花と健。この二人は、実際に喧嘩する事は無いが、お互い憎み合い、軽蔑しまくっている。
お互いすれ違っただけでも舌打ちや、「死ね」なんて言葉が飛び交う。
その他、麻美と裕太、弘栄と鈴花もタブーの組み合わせだ。
・・・そもそも、健と裕太は元から正二をよく思っていない。『煩い奴』『面倒臭い奴』だとは思うが、良い奴だとは生理的に思え無いらしい。
このメンバーで唯一敵視されていない裕太は怯えて縮こまり、周りの様子をさりげなく確認している。
おそらくここにいる誰よりも帰りたいと願っている、正真正銘の被害者だろう。
そんなこんなで、雰囲気はこれ以上無い程に険悪。これ以上上があるのなら、おそらく彼らの胃には穴が空くだろう・・・。
そして、今からこの最低最悪の状況とメンバーで、今から王様ゲームをやるのだから、全くのお笑い種である。
しかし、そこは無自覚ド天然正二である。麻美と健の不満の声はスッパリ無視し、何事も無いように物事を進め出した。
「えーっと、まず、王様ゲームの説明をするぞ!」
『王様ゲームのルールくらい知ってるからさっさと始めろ。そしてさっさと帰らせろ。
・・・と言うか、ルール説明なんてこいつには絶対出来ないだろ・・・』
正二を除く五名からは明らかにそんなオーラが漂っているのにも関わらず、正二は笑いながら説明を始めた。
「王様ゲームは、このクジを引いて、えーっと、赤い印が付いてたらアイスと交換だ!!」
やはり説明は無理だった。
所詮、無自覚ド天然の説明なんて、これが限度なのだろうか。
クジ、という単語が出てきただけ良かったのだろうか。
「それ、絶対に王様ゲームのルールじゃねぇよ!!」
待ってましたと言わんばかりに正二にツッコミを入れたは弘栄だった。最早アイスのクジ引きに成り下がろうとした王様ゲームを、かろうじて元の路線に引きずり戻そうとしたのだ・・・が。
「え!? 王様ゲームってこれで良いんじゃないの!?」
「弘栄、何言ってるんだ。 本物の王様ゲームはこれだぞ!」
「何そこ二人アイスに釣られてるんだあああ!!」
周りにいた麻美と裕太はアイスに釣られていた。
その二人にもツッコミを入れ、「お前ら王様ゲームのルールくらい知ってるだろ!!」と怒鳴る。
「ええっ、アイスいらないのか!?」
ルールを全く知らないであろう正二が、まさかと言わんばかりに口を大きく開けて叫ぶ。
それを呆れたように眺める弘栄。
「当然だ。 早く王様ゲームのルールを説明しろよ」
早くやれよオーラが溢れている弘栄が、正二に説明を促したその時。
正二にとっては救いの声が、弘栄にとっては絶望的な声が聞こえた。
「ルールくらい知ってるから、アイス食べましょうよ」
・・・と。
ちなみに、この声の主は鈴花だ。
釣られているのは鈴花もだったのだ。
・・・いや、おそらくここにいる人間は、弘栄以外は皆アイスに釣られているのだろう。
さっきの正二へ対する殺意は何処へやら、今や健も弘栄を『黙れ』と言わんばかりに睨んでいる。
「おう! 棒付きアイスあるぞ! 全員分!
誰か取って来るの手伝ってくれ!!」
「よし、オラが行く!!」
「アタシも行く! アイス何味あるの?」
正二が手伝ってくれと言うと、すぐに裕太と麻美が名乗り出る。
「えっと、確かバニラと~、チョコと~、ストロベリーだったかな?」
「よっしゃあ、オラの大好きなストロベリー味がある!」
そんな会話をしながら部屋を出ていく三人を唖然としながら眺める弘栄と、嬉しそうにほくそ笑んでいる鈴花と健は正二の部屋に残った。
「・・・王様ゲームは・・・?」
「ほっとけ」
「多分皆忘れてるわよ」
呆然と立っている弘栄に対し、鈴花と健は冷たい対応で返した。
その二人の返答でも納得しないようで、弘栄は「う~ん」と小さく唸っている。
・・・弘栄は、地味に王様ゲームを楽しみにしていたのだろうか・・・?
「アイスはバニラとチョコとストロベリーがあるらしいぞ」
「あんたは何にするの?」
「俺は無難にバニラかな」
「・・・そこはチョコじゃない?」
そんなこんなで落ち込んでいるらしい弘栄を放置し、健と鈴花はアイスの味ついて討論している。
「やっぱりバニラだろ。 それ以外は邪道だ」
「何? チョコ派の私に喧嘩売ってるの? チョコの何が悪いのよ」
「全てが、だ。 大体、アイスは甘く有るべきなのに、チョコはほんのり苦いじゃないか。
あれは宇宙の法則を乱していると思うね」
「何よ、宇宙だって日々進歩を遂げているのよ?
それなのにバニラという一つの味に執着して。 少しは学習しなさいよ」
二人が「執着してるのはお前だろ」「私はバニラも好きよ」と二人が喧嘩腰になったところで、弘栄が口を挟んだ。
「・・・なんか仲良くなってないか?」
「「は? どこが?」」
「いやそこが。 声被ってるじゃん」
し、しまった・・・。という顔をした鈴花と健が、一瞬その顔で固まった後、お互いをジロリと睨みあった。
「ほら、お前のせいで誤解された」
「私は関係無いわよ、このでくの棒」
「ヤベェ、俺地雷踏んだかも・・・」
と、この部屋の雰囲気が悪くなったところで、正二がタイミング良くアイスの箱を持って部屋に入って来た。その後ろに麻美と裕太が続く。
「アイスお待たせっ!!」
と、正二。そう言い終わるや否や持っていた二つのアイスの箱の中身を床にぶちまけた。
出てきたのはチョコとストロベリーだ。
「オラはストロベリー!」
「ちょっと、アイスばら撒かないでよ~。 ・・・あ、私はチョコで」
裕太と鈴花が次々とアイスを拾う。二人共すぐに袋を開け、嬉しそうに一口目にかぶりつく。
「ストロベリーうめぇ!!」
「ずるいぞ裕太! 俺もストロベリーだ!!」
「おい、バニラねぇぞ!」
「今から開けるわ、ちょっと待って!」
裕太と正二がストロベリーで意気投合している。
その隣では、批判するような口調の健を睨みつけつつ、麻美がバニラアイスの箱を開けている。
中々開かない様子だったが、何とかこじ開け、中身を全部引っ張り出した。それをすかさず健が掬い上げる。
麻美はチョコを拾った。
「これ、一箱に六本ずつ入ってるから、一人三本いけるぞ~!」
いつもは鈍感な癖に、食べ物の事になると途端に目付きが鋭くなる正二が全種類のアイスの袋を早々に開けて、一気に二つのアイスをかじっている。
その顔は、はちきれんばかりの笑顔で溢れている。
「・・・っておお、本当だ! オラも三本も~らいっ!
あれ? 弘栄、食べないのか? 早く取れよー!」
その正二の情報に歓喜の声を上げた裕太が弘栄に気づき、声をかけた。
それに気が付いた弘栄は無気力にのそっとやって来て、バニラの袋を拾って開けた。口からは始終「王様ゲームはどこに・・・」等という言葉が漏れていた。
「うめぇ! 流石母ちゃんナイスセンス!」
「そうね。 このアイス当たりじゃない。
・・・でも、こんなに人の家のアイス漁っちゃって、正二の家の人に怒られないのかなぁ?」
「大丈夫だって。 俺ん家裕福だから!!」
「何それ、始めて聞いた」
「だって、俺が今決めた事だからな!」
正二と麻美という珍しい取り合わせが会話している隣で、やはりアイスの味で健と鈴花が抗議し合っている。
「大体、チョコの黒はお前の腹の名前から来たんじゃないのか?」
「私が腹黒いって言いたいの? だったらバニラの白はあんたの頭の色ね」
「俺がハゲって言いたいのか? 大体チョコのあの苦々しい味はお前の心で出来てるみたいだろ」
「私が冷たいって言いたいのね、分かるわ。
だとしたらバニラの一時的な甘さは、あんたの偽善者っぷりから来てるのね」
・・・全くどうでも良い話をしている二人だが、以外と仲良くなっているようだ。
いつもの「死ね」「そっちがな」みたいな会話より全然良い。
またその部屋の中央では弘栄と裕太が話している。
「王様ゲームは・・・?」
「まだ言ってんのか弘栄。 もう皆忘れてるっぽいし、諦めたら?」
「はあぁ・・・。 あ、バニラ美味いな」
「はぁ!? バニラよりストロベリーだろ!」
「なんでお前怒ってんの・・・?」
呆れている弘栄を余所に、全く新しい四つの殺意が巻き起こった。
弘栄が気づいた時、周りで仲良く話していた正二、麻美、健、鈴花がこちらを冷たく見据えていた。
「・・・え?」
弘栄は、自分の愚かさにそこで気がついた。
・・・ここにいる人間は、弘栄を除くすべての人々が狂ってる程のアイス好きだということに。
前言撤回したいがもう遅い。
最早全宇宙を賭けているような迫力のアイス大戦争は、幕を開く寸前までに迫っていた。
「「ストロベリーだ!」」
声を合わせてプチ宇宙アイス大戦争の先陣を切ったのは正二と裕太。
この二人はストロベリー派の様だ。
違う党派であるバニラ派とチョコ派の三人を恐ろしい顔で睨んでいる。
「いいや、バニラだ!」
その次にストロベリー派の二人を睨みつけながら声を限りに叫んだのは健だ。
さっき鈴花と話していた内容からも分かるが、彼はバニラ派の様だ。
・・・鈴花と話していた時はまだそんなに感情の突飛は激しくなかったのに、なぜ今は感情が大きく突飛しているのだろう・・・!?
「「いいえ、チョコよ!」」
このかなり高めの二つの声の主は、麻美と鈴花だ。
この二人はチョコ派の様だ。
麻美は完璧にほかの党派を見下し、腕を組んでいる。
鈴花も麻美に並び、澄ました顔でほかの党派を眺めている。
「「ストロベリー!!」」
「バニラ!!」
「「チョコ!!」」
その三つの党派に別れてそう叫んだ五人は、周りの党派を見渡した。
そして、思い思いの主張を叫ぶ。
「苺は赤い天使だ! 赤い悪魔なんて言わせないぞ!!」
「そうだそうだ! オラ達にとって苺は神様だ!!」
ストロベリー派の二人によると、苺は神様が地上にもたらしてくれた不老不死の効果がある神聖な果物で、それを原料としているストロベリーは、この中で一番魅力的らしい。
それに異議を唱えるはバニラ派の健。
「いいや、違うな。 バニラこそ人類の元素、原子として頂点。 バニラこそが正義だ」
バニラ派の健曰く、世界中の人々がバニラアイスを食べれば戦争などの争いは収まり、世界に真の平和が訪れるらしい。
そしてそれにまた異論を持ち出すはチョコ派の人々。
「チョコの原材料であるカカオこそ最強! 甘やかしていたら何にもならない。
甘ったるすぎるのよ、バニラやストロベリーは」
「そう、チョコのようにほんのり苦みを含むことにより、チョコ本来の甘さが強調されるの」
チョコ派の二人に言わせると、チョコのような苦しさと、本来の甘さが調和することにより、物事の向上に繋がると言う。それに、カカオは自分達の祖先が大昔の祭で神に捧げ物として出された歴史を持つ、神秘的な木の実らしい。
そんな感じで、一通り違う党派の人達を睨んだアイス大好き人間達の視線は、不思議とその部屋隅に逃げ込んだ一人に集まった。
「・・・弘栄く~ん?」
「ヒィ!?」
猫撫で声の正二に名前を呼ばれ、座っていたのにも関わらず床から三十センチくらい飛び上がった弘栄は、滑稽な悲鳴を上げて壁にへばり付いた。
彼の目からは、恐怖を通り越した絶望的な感情が伺える。
「弘栄くんの好きなアイスの味は何かなぁ? ストロベリーかなぁ? ストロベリーかなぁ? それとも・・・ストロベリーかなぁ?」
選択肢を全てストロベリーにした正二が、明らかに裏がある笑顔で弘栄に話かけた。
「お、俺は・・・。 やっぱり・・・。 その・・・。」
「『その』じゃあわからないな~あ。 その答は、バニラと受け取っていいのかな~ぁ?」
しどろもどろな言葉を口から漏らす弘栄に、健が詰め寄る。
最早逃げ場も無くなった弘栄は、冷や汗をダラダラ流して、顔を引き攣らせ始めた。
「ああ~ら、バニラと決めつけるのは良くないわよぉ、健。 弘栄は、チョコって顔をしてるじゃない? ねぇ、そうでしょう?」
決めつけてるのはどっちだかよくわからないが、そう言ってにこやかな笑顔を浮かべている鈴花。
ここまで不気味な笑顔は見たことがない。
弘栄は、おそらく何を選んでもただでは済まないだろう。なにしろ、ここには極度のアイス大好き人間達が集まり、しかもそれぞれの党派に別れて他の党派に異議を唱えているのだから。彼らの望む回答をしなければ、自らの命が危ない。
しかし、ここには三つの党派がある。必ず二つの党派の怒りは買ってしまうだろう。
それでも、選ばなければならない。選ばなければこの状況は打破できないのだから。
「お、俺が好きなのは・・・」
頼りない声が、とうとう答えを言おうとした。
見守る五人が唾を飲む。
「俺が、好きな味、は、抹茶、だ・・・」
途切れ途切れ単語を何とかしてつなぎ合わせた様な短い言葉だったが、彼は『抹茶』が好きだという事実は、此処にいる全員に伝わった。
そして、弘栄が、ここにいる五人の怒りを買った事は明らかだった。
しかし、その五人は怒る事は無く、むしろニッコリ笑った。ひょっとして、怒ってはいないのだろうかと弘栄が思った時、五人はこう言った。
・・・それは、勿論希望的な言葉の筈が無かったのだ。
「「ストロベリーの素晴らしさを、」」
「バニラの美味しさを、」
「「チョコの神秘を、」」
「「「「「じっくり教えないとねぇ・・・」」」」」
その時、手遅れだということを悟った弘栄は、諦めながら訂正した。やはりこの五人は怒っている・・・。
・・・その次の日。
張り手で叩かれたように頬を腫らし、げんなりした顔の弘栄が、「もうしばらくアイスは見たくない・・・」という断末魔の何かを口から漏らしつつ、アイスの食い過ぎで風邪をひいてボロボロなったせいで家で寝込むことになったのは、別の話。
「昨日のアレでチョコ派になってくれたかしら・・・」
「鈴花、まだよ。 まだチョコの良さは伝わっていないわ」
「何故バニラの素晴らしさが分からないんだ・・・?
しょうがない、今度は脅迫で行くか! バニラの旨さを分かってもらうために!」
「おお、皆凄いやる気だな! こうなったら、オラ達も頑張らないとな、正二!!」
「そうだな!! せっかくだから、ストロベリー神聖行進教でも創るかな!!」
・・・プチ宇宙アイス大戦争の一件ですっかり仲良くなった五人の努力が続くのも、また別の話。
ここまで読んで下さり、ありがとうございます!
キーワードにもあった通り、やっぱりタイトル詐欺状態でした。王様ゲームが何処かに紛失してます。いつか拾いに行かなければ・・・。
急展開からの急展開だったので、混乱した方はすみません。
もう二度とこうならぬよう、精進していきたいと思います。
感想・評価は精進する為にも気軽にして頂けると嬉しいです!
ここまで読んで下さり、ありがとうございました!