場面2*大切な彼女
「今週もお疲れさまでした!カンパーイ!」
金曜日の夜。18:30頃
ショッピングモール内にある3階の飲食兼居酒屋で、それぞれ好きなお酒を片手に、一週間の労をねぎらい乾杯する3人。
「はーチャンは、今週も忙しかった?」
今夜、はーチャンを誘った彼女は、ショートボブの髪の 月野うさぎ 24歳 さそり座 O型 151cm 中肉。ライムサワーを手にしている。
「やっぱり月締めの週は、忙しいなぁ。そう言う月チャンは?」
月野うさぎの言葉に応えてから、カクテルを口にするのは、ボブカット姿の はーチャン、狭間ひろ子 24歳 山羊座 O型 146cm ややぽっちゃり。
「うーん。うっとこの会社は、締めじゃないけど、やっぱり金曜日は忙しいな~。」
二人は、高校時代からの同級生。高校卒業して、就職した二人は24歳にして、社会人として6年間OLを勤めている。
「そぉかー!二人とも頑張ってるんやなぁ!良かった♪良かった♪」
ガハハハと満面の笑みを浮かべながら、ビールを美味しそうに飲んでいる、日に焼けた短髪の中年男性は、月野と狭間の恩師 坂上先生。
なかなかの強面、でも授業で生物を教えている、れっきとした(心優しい)教師。そのギャップもあって、生徒から人気がある。
三人が、とめどない話をして2時間過ぎ。食事とお酒を楽しんで、そろそろ終盤に入る頃…。
『キャーッ!!ケイ様ーッ!!』
女性の甲高い喜声と、パタパタと女性達が走り出す足音が聞こえてきた。
三人はチラッと見た。特に気にしている様子は無い。
「相変わらず、竹田クン超人気者やん。」
と、はーチャン。
「うん。そーみたいやねー。」
と、素っ気ない態度の月チャン。
「お前ら、何年目になるんや?えーと…7年くらいか?」
と、指折り数える坂上先生。
バタバタバターー!!!
そこに、何か(?)が乱入してきた。
「うさぎ~待たせてゴメーン!!」
月チャンの前に立ち、頭を垂れながら頭の上で両手を合わせ真剣に謝るスラリと背の高い男性。彼は、竹田啓太 24歳 さそり座 A型 178cm 中肉。月チャンと、はーチャンと同級生だ。
先程から外を騒がせているケイ様とは、彼の事だった。
あやまる啓太に対し、月野うさぎは
「うん。大丈夫!はーチャンと坂上先生が私の相手してくれてたから、大丈夫。啓太、お仕事お疲れさま。」
と、おしぼりを差し出した。
スラッと背が高く、超イケメン俳優にも負けず劣らず、整った顔立ちをしている。啓太はホッと胸をなで下ろして、座りなおした。でも目立たないよう座高は低めに。
坂上先生と、はーチャンに、挨拶と お礼を言うと、うさぎが差し出した水も受け取り、それを一気に飲み干した。
うさぎが怒っていないか。と言う心配はしていなかったけれど、食事を終えて 帰ってしまってはいないか。と言う事の心配の方が大きかったのだ。
「うさぎ、俺 今日早く帰れる様に店に段取りつけてあるから、一緒に帰ろ!な!」
啓太は、コレを直接うさぎの顔を見て言いたかった。それを言い終えると うさぎの頭をニコニコ顔で撫でている。
「うん!わかった!じゃあ待ってるね。」
髪が少し乱れても気にせず応える月野うさぎ。さすがのケイ様も うさぎの笑顔には形無しだった。
うさぎの返事と笑顔が見る事が出来て啓太は、素直に嬉しかった。こんなに素直に、向き合えるようになるまで、色んな事があった。
ほんわかと、お互い顔を見れた事に喜んでいると、お店の表の方で話し声が聞こえてきた。
「やっぱり、ここら辺りで、いなくなったよねー?」
「もしかしたら、この近くのお店に入ったのかも♪」
「そっか♪じゃあ このお店から覗いてみよっか?」
と、隣の店を覗く女の子達。
啓太と うさぎは、お互いに顔を見合わせ『仕方ない。時間切れ』と言う顔をする。
今も困難が無いわけじゃないけれど、啓太も うさぎも お互いを大切に想う気持ちは、同じだった。
「坂上先生、はーチャン、ありがとう。ゆっくりご飯食べてって!ここはオレが払っとくから♪俺の名前でつけといて。 じゃ!うさぎ、また後でな。」
と言って、乱れた うさぎの髪を大きな右手で優しく整えたかと思うと その手を そっと左耳からアゴの辺りに手をそえて うさぎの右のほっぺに『トンッ』とキスをした!
違う角度からみれば 口にしたように見えたかも知れない。
ビックリして大きな目を見開いて固まっている うさぎにニコッと微笑みかけて(女の子達が隣の店を覗いている間に)サッ!と、来た時の通路に消えて行った。
坂上先生と、はーチャンは、うさぎを見てニカッと笑った。
「ほっぺだから!!ほっぺ!!!」
と、うさぎは慌てて弁解した。