過去の母
「母上、母上。今日は何を話してくれるの・・・??」
母に駆け寄るシンラ。母が話してくれる話をまだ理解できないシンラ。
「シンラいつも言ってるけど、ここでの話は誰にも言っちゃだめなの・・・。
たとえ、父上にもね・・・。分かった・・?」
優しく話す母。どこか、悲しそうな顔をする。
「うん。言わない。」
一生懸命宣言するシンラを見て母は、笑う。
「そうね。ありがとう。」
一端、間を置き話しだした。
「狼が怖いと思う?」
「いえ、怖くないわ。母上が言ってるんだもん。」
くすくす笑う。
「そうね。怖いのは吸血鬼なのよ。戦いを始めたのはトルート族なの。許せないわ。
許してはいけないの。何としても・・・。
でも、シンラの周りの人は優しいわよね。だからと言って信用してはだめ。
自分を信じなさい。周りは敵よ。」
母の目には、子供でもわかるような怒りが差していた。
なんで?コキもライクも父上もいい人だよ。
母上はなんで怒っているの?
コキはウィンソン族が悪いって言ってた。
どちらがホントなの・・・?
(な、ん、で、なの、は、は、うえ・・・??)
シンラの気持ちは大きくなるばかりだった。
「--!~・・・。---!」
「シン、ラ様!!起きてください。朝ではなくもう、昼です。」
コキの声で、がばっと起きる。体は汗だらけだった。
「湯あみしてはどうですか・・・?魘されて汗すごいですよね。」
いつもの声に安心する。
もし、あの夢のまま現実がおきたら、ぞっとする。
「湯あみするから、準備しておいて。お腹すいた。今日の昼ごはんは??」
ベットを直し終わったコキが
「広間に用意させてます。行きましょう、シンラ様。」
長い、広い廊下を歩いていった。
「!?・・・。」
「コキ、先に行ってて。忘れ物あったから。気にしないで、ね。」
と言うと
「・・・じゃあきちんと来てくださいね。」
一言いうと廊下を進んでいった。
誰もいないことを確認すると、誰もいないはずの廊下に話しかえる。
「はやく出てこい。いるんだろ?リシャス・・・。」
イライラして足を鳴らす。
背後の天井から降りて、着地する音が聞こえる。
「シンラ~様。気ずきましたかぁ~。さすがぁ~!!」
拍手までしてるが、顔は馬鹿にしたようだった。
「そして、まだ出てこないのか?レイ。分かってるから、ね。」
その感は、合ってたようだ。
「おぉ。ばれてましたか・・。結構がんばったですけど・・。」
軽やかに、目の前の天井から登場した。
「2人がいきなり近ずくから、何事かと思って、神経使ったんだから・・。」
とため息混じりに、首を傾ける。
「すみません。悪気はないはずなので。」
けらけら笑う。
「視察官なんだから何か動いたか・・・?」
「えぇ。トルート族がぁ大量に武器を作ってましたぁねぇ。しかも、いままでのなら問題なしなんですけどぉ、魔術系のなにかかかってますよぉ。こちらも対策をとらなくてわぁ。」
話し方にイラつきがするがおいておき
「魔術か。トルート族は弱いからな・・・。考えておく。」
まったく、頭が痛くなる。
「レイはどうした?」
一礼して
「はい。トルートの暗殺部隊の動きが上の息がかかり、実行に今日移るそうです。」
冷静に淡々と話し終える。
「いったい、誰を・・・?上って・・・。調べてこい。」
命令すると2人は頭を下げ自分の仕事に戻った。
謎は深まるばかりだった。